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新緑対談 国を変える大同団結を! 

国民新党幹事長・下地幹郎氏 vs 元参議院議員・村上正邦氏

明治以来の変革促す大河に

 小泉政権時代の郵政民営化路線を見直す改正郵政民営化法が4月下旬、衆議院を通過した。だが国民新党としては悲願のゴールを前に、亀井代表が離党し、分裂騒動となった。亀井代表と肝胆合い照らす仲とされた下地幹事長の本心はどうなのか。石原新党への期待や橋下大阪市長の評価など、政界再編への展望を軸に国民新党の下地幹郎幹事長と元参議院議員の村上正邦氏が対談した。


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村上 石原新党をどう見ている。

下地 石原さんはこの国を変えたいという強い情熱を持っている。今日(4月19日)でも「塾」を作りたいと言っている。「白紙撤回」イコール「やらない」ということにはならないと確信している。

村上 アメリカでの石原発言では、あの連中と一緒にやれないということだったが。

下地 あくまでカムフラージュだと思う。

村上 尖閣を東京都が買うというのはどうか。

【村上】 自己捨ててこそ公の謀(はかりごと)
【下地】 政界に二人といない亀井氏

picture     下地幹郎幹事長
【プロフィール】しもじ みきお
昭和36年8月14日、沖縄県平良市(現:宮古島市)生まれ。中央学院大学卒業。平成8年、衆議院議員選挙で初当選。沖縄開発政務次官・経済産業大臣政務官就任。平成17 年、自民党離党、「政治団体そうぞう」を結成し代表就任。平成20年、国民新党に入党。平成21年、国民新党政調会長。平成22年、国民新党幹事長。夫人との間に娘1人の3人家族。
ミキオブログ http://www.mikio.gr.jp/blog/index.php

下地 民間より公的機関がもったほうがいいというのは誰しもが思うところです。

村上 石原都知事は何か文句あるかと開き直っていたが、大いに文句がある。まず、プロセスに問題がある。大阪の橋下市長に事前に伝えるより、まず沖縄知事に了解をとっておくべきだ。石垣市長には、前々から連絡していたようだが。

 ただ、考えそのものは僕も同じだ。中国にちゃちゃを入れられることはない。しかし、アメリカに行って物議をかもしたとなると一物をもってアメリカに行ったことになる。それはそれでいいとして、橋下市長に言う前に、沖縄知事に伝え、東京が買うにしても、側近を通して、多少の根回しをしておくべきだった。

 尖閣は、地権者に年間2000万円以上の借り料を払って維持されるような性質の島ではない。

 東京が守るといっているが、東京がどう守るのか。外交や国防の問題になってくると、やはり国が関与せざるを得ない。

 国が守るべき領土問題に、石原知事が一石を投じたということであれば、それはそれで、評価に難くないが、石原知事の言葉を額面どおりに受け止めていいのか、という問題もある。

 石原知事一流のスタンドプレーが先走れば、国政とのバランスが崩れる。政治は個人の芸術作品ではなく、国権の運用だ。謀(はかりごと)は密なるをもって旨とすべしというが、公の謀は、おのれを捨てなければならない。おのれを視すぎて、天を瞻みることを忘れてはならない。

下地 国が地主へ賃料を払って、総力をあげて実効支配している。国の役割は役割として果たしていると思う。しかし、もう一歩すすめて、国が買う方向でアプローチしてきたかといえば、まあ、中国との外交を考えて、国がアプローチしなかったことが弱腰だということになっている。今回、東京都に売るということになれば、石原都知事を間に入れて国が買うというのがいい方法だと思う。

 地主さんによれば、国というより、石原都知事個人に売ることを決断したということなので、国が買うのは難しいかもしれないが、もし買えるなら外交問題などといわずに堂々と買ったほうがいい。

 この件一つみても、石原さんの政治的意欲の旺盛さは、変わっていない。

picture 村上正邦氏
【プロフィール】むらかみ まさくに
1932年8月21日、福岡県嘉穂郡生れ。拓殖大学卒。80年に参議院議員。「タカ派の武闘派」として頭角を現し、影響力を参議院全体に拡大した。86年、中曽根首相主導の衆参ダブル選挙では自民党全国組織副委員長として、中曽根の全国遊説すべてに同行し、首相演説の前座を務めた。労働大臣、自民党参議院幹事長など歴任。

村上 「(新党問題を)白紙に戻す」という石原発言を深刻に受け止めている。石原さんはそれなりの覚悟をもって米国で発言した。覚悟の上の言葉だ。それだけに亀井さんも根性をすえて、対応を考えなければならない。新党への道はそんなに甘いものじゃない。

下地 石原さんも亀井さんも、国を変えたいという思いから、政界再編成を考えている。二人が腹をすえてやれば多くの人がついてくる。

村上 小異を捨て、大同につくのが大局観だ。大局は、国を変えることにつきる。その一点で話を進めていけば、新党はできると思う。

 だが、小異を取り上げて、右往左往していては、何も変わらない。

 石原知事は、これまで新党結成にむかって、努力してきた同志の心を傷つけたことを知らねばなりません。

下地 大阪の橋下市長は、国家のありかたに対して明確な発言をおこない、一歩一歩前に進んでいる。石原新党は、あまりにも戦略に走りすぎたきらいがある。橋下市長は、大阪都構想についても、自民党がいいアイデアを持ってきたら賛成すると、柔軟なところもみせています。

村上 橋下市長は喧嘩師だから、駆け引きがうまい。大向こうをうならせるツボも心得ている。

【下地】 願いは唯一つ郵政終結
【村上】 ぜひ実現させたい石原新党

下地 石原都知事や橋下市長が、地方から政界再編成を考え出したというのは、初めてのケースです。

村上 ぜひ、石原新党を実現させたい。それが政治に大きな流れをつくりだし、明治以来の大きな大河になっていく。役者は揃っている。石原知事のカリスマ性も、亀井さんの情熱も貴重だ。切った張ったができる亀井さんの高い政治力と政局観は、こういう場にこそ活かせると思う。

 さて、連休前には、郵政改正法が通る。亀井さんの消費税反対に足並みを揃え、連立を離脱するという話だった。

 ところが、郵政改正法案は、自民公で出すことになった。

 亀井さんとしても、そういう形が望ましいということで、黒子に徹した。3党が共同で出せば通ることは間違いないのだから、これはこれで、一つの筋を通したことになる。

 消費増税に反対の国民新党から出ている閣僚は、閣議決定に署名しない。これが公党としての筋であり、国民への約束だ。

 ということで、亀井さんは国民新党の代表として、連立から離脱すると宣言をした。

 それに対して、下地幹事長は、自見さんに閣議決定の署名をさせた。

 常識で考えると、閣議決定に署名するということは、その法案に対して責任を共有するということになる。党として法案に反対していながら、その代表として出ている大臣が署名するのは、いかにも節操がない。

 閣議決定に署名した自見さんは、消費税賛成と報じられているが事実か。

 あなたは、政治に筋を通す人と思ってきたが、一方で、二枚舌を使ったという評もある──。

下地 国民新党として、4月18日(水)にコメントを出した。TPP(環太平洋連携協定)は、現状では賛成できない、反対です。消費税に対して論議はするが、現状認識では、賛成できる状況にはない。反対か賛成かは採決のときに全員で相談して決めるが、経済状況が厳しい現状では難しい。

 3点目の原発に関しては、脱原発でいく。40年以上経ったものや立地条件の悪いものは廃炉にする。そして将来、新たなエネルギーを開発して、脱原発に関しては加速させていく。40年経たない原発を再開する場合、地元の合意を取り付ける。その場合、国内だけの合意だけでなく、IAEA(国際原子力機関)の同意など国際ルールを入れたものにする。この3点を18日にマスコミに発表した。これは総会で話し合って決めた党の基本的な考えです。

村上 そこらあたりはもう少し明確にしないと僕らの胸にストンと落ちてこない。自見さんの「私はもともと消費税には賛成だった」という発言はいただけない。

 下地さんについても、「私は鹿児島の山中(貞則)門下生です。山中先生は増税派だった。だから私は増税には、もともと賛成だ」という発言があったと伝わっている。

下地 僕の発言は公式の記者会見の場でやったわけではない。

村上 新聞かなんかで読んだ記憶がある。

下地 新聞には出ていません。山中先生の話は、公式の記者会見の話ではなくて、だれがこう言った、ああ言ったというゴシップの類です。

 これから国会で通さなければならない法律は、年金に子育て、マイナンバー(個人識別番号法案)や消費税など11本もある。これらすべての論議を終えて、その後、消費税で、本格的な論議は、5月以降になる。

 われわれは消費税賛成に回ったわけではありません。消費増税の支持率60パーセントが基準で、そのレベルに達しなければ、採決そのものもやるべきではないと明確に言っている。

【村上】 下地氏は政治に筋を通す
【下地】 腹を据えれば政界再編可能

村上 それでもトーンは落ちている。亀井さんは土砂降りの雨の中で、運動会の話をするのはいかがなものかと言った。これは一つの分かりやすい理屈だ。

 ところで、亀井さんに対する尊敬心は変わっていないのか。

下地 変わらない。

村上 下地さんは亀井さんについていくと僕は思っていた。「親に孝」というのはそういうことです。「親に孝」、これが人間としての第一義だ。そこらあたりの筋はちゃんと通していくものと思った。

 亀井さんは、「下地は俺の考え方を一番理解している政治家だ」と常々言ってきた。

 だからあなたの今回の、亀井さんとのギクシャクした関係について、何か釈然としないものを感じる。

下地 私も割り切って決断したわけではなく、周囲から、いろんなことを言われることも覚悟していた。今回の決断は、私ども6人だけではなく、この党の背景もあって、その方々のご意見も聞いたうえのことです。

 代表を裏切ったと思われる方も少なくないと思うが、紆余曲折があった。

 もともと、国民新党は、亀井代表がお作りになった党で、菅内閣の時、亀井さんが降りようとした時も6時間かけて、離脱するかどうか、話し合いをした。

 亀井代表が決めたことに、結局、菅元首相は嘘をついたけど、この法案が通るまで連立を離脱せずに、筋を通そうと決め、自見さんが大臣に就任した。

 郵政改正法案へのわれわれの思いは、格別なものがあり、代表にしてもそのことは同じだ。消費税とか石原新党よりも、このことが大きいということは、ずっと言ってきたことです。

 党内に、郵政改正法を終わらせ、新党を作り、消費税を反対してゆくという考えに反対の者はいません。問題はその順番で、消費税に反対し、それを元に新党を作り、党を割るという逆コースはとらないというのがみんなの気持ちで、今回のことは一時的な感情問題ではありません。

 向かい風の中、裏切り者呼ばわりされたら、それに耐えながらこの法案を通していくというのが大事だろうと思っている。

村上 亀井さんとは、今日も昼飯を一緒にとったが、あなたに裏切り者の烙印を押していない。

 政治家としてのあなたの将来を心配している。彼の偉さというのは、そういうところだと思う。僕はもう少し、どろどろとした争いになるのではないかと心配していた。

 彼は、「子どもに出て行けといわれたら立つ瀬(居場所)がない」と言っていた。

 子どもと争って、家をどうするか、こうするかなんて、無駄な争いはしたくない。それで潔くスパッと明け渡した。助成金も亀井さんの署名がなければもらえないといってきたので、即刻、署名した。そういうことについても、多少、悶着があるかと思ったら、そこらあたりは、あなたたちを思う心があらわれていると思って、あの晩、一句ひねった。

 「かの人の、花散り際を、今ぞ見た」

 今、永田町にああいう人はいないよ。本当に僕はそう思う。

 袂は分かったけれども、亀井さんの真情は汲み取ってやらないとね。苦渋の選択をしただけに、あなたには分かると思う。だが、自見さんあたりから、一向に心が伝わってこないのが情けない。

 政治に大事なのは、理屈や利得より、むしろ、情や侠だ。

 ところで、前田交通大臣や田中防衛大臣の問責に対するあなたの発言は正論だ。与党の中で、このままでいけると思ったら間違いというあなたの発言は際立っている。下地という政治家は、恐れずに正論を述べる、あなたが与党に残った意味はそういうところにあるのと思う。

下地 亀井さんは、政界に2人といない政治家で、これまで2年半、ずっと一緒に郵政改正法案をやってきた。亀井代表がいなければ、この郵政改正法案の成立は100パーセントありえなかった。

 郵政改正法案をめぐる環境が厳しい中、日本郵政株の売却による復興の財源確保や無利子非課税国債の発行など、国民の理解を得る工夫を重ね、消費増税に反対の立場から、いかに国民に負担をかけずに同法案をすすめるべきか、亀井代表と知恵を絞ってきた。

 各団体や政党にパイプを持ち、2年半をかけて、そういうことをやってきたのも、最終的に改革法案を修正法案に変えたのも、亀井代表で、私は亀井代表の下で毎日、十回以上、報告しながら指示を受けて仕事をしてきた。だから私は、亀井代表が、法案成立を最後まで見届けると思っていた。

 3党が法案を出すから一件落着ではなく、法案の成立を最後まで見届け、小泉の新自由主義や市場原理主義、格差化社会から脱却して、それから次のステップと思ってきただけに、意外だったというのが率直な感想です。

 郵政改正法案は一つの法案ではなく、政治の誤りを正して、社会構造の変革をすすめる政策でもあるわけで、順番として、消費増税の議論は、郵政の後という認識でした。 >

【下地】 向かい風に耐え進む
【村上】 「かの人の 花散り際を今ぞ見た」

村上 消費税の閣議決定が出てきた。

下地 消費税というのは一般的な法案ではありません。特別委員会をつくって11本の法律をこの委員会の中に入れて審議しなさいというのは、憲政史上、初めてのことです。

村上 土台、無理だよ。しかも6月には会期末というデッドラインがあるわけだから。結局、この国会は何だったのか、国民新党が割れただけじゃないか..そこを僕は憂えている。

下地 亀井代表に、「この法案が閣議決定だけで通ると考えている政治家はいない。採決できるかどうか、委員会を作れるかどうかもわからない」と申し上げた。

 社会保障と税の一体改革を謳い、消費税見直し法案ではない手法をとったのは、社会保障を隠れ蓑にして、消費増税をやろうという戦略からでてきたもので、それだけに難しさがある。

村上 閣議決定は、署名した閣僚を出している連立政党が、その法案に対して、内閣と共同の責任を持つということだ。

下地 私は国民新党に入って3年目ですけど、綿貫民輔さんも負けた、亀井久興さんも負けた、参議院の長谷川憲正さんも負けた。郵政選挙で負けた人たちは、これまで代表がおっしゃってこられたように、郵政民営化法改正案の見届け人となって、衆参で再び立つという展望のもとでがんばっている。

 この法案は、与党にならないとできなかった。自民党政権だったら葬り去られている。

 8人しかいない政党がこの法案を通そうとなると、民主党がいいとか悪いとかではなく、全部を束ねてリードする人が必要で、この内閣で郵政改革法案だけはしっかり終わらせたいというのが、再三再四、言ってきたことです。その説得ができなかったことが残念です。

村上 1丁目1番地の郵政民営化法改正案を最後まで見届けるというのは、野田さんが政治生命をかけるとまでいい、閣議決定した消費増税と比べると、センチメンタルな感じがする。

下地 簡単に法案が通ると思われますか。自民党は、郵政民営化法改正案の委員会にさえ参加していない。

村上 問責という新しい問題も出てきたが、今回の郵政改正法案は、自・民・公三党共同の議員提案として提出された以上、かならず成立する。

 菅さんが延長国会をせずに、1週間で鳩山さんがやめるとは分からなかったから、郵政法案はだめになった。

下地 今日も、民主党のひとたちと一緒に、公明党や自民党などを回って、委員会に出てもらいたいとお願いした。それでも自民党はでてこなかった。

 一日先、2日先に何が起きるか分からない。3党が合意した後で民主党が反旗を翻すわけですから、3党が合意しているからできることにはなりません。

 自民党だって、それはある。中川秀直さんも立たなかった。郵政改革の反対勢力、自民党相手に、消費税論議から始めたら、論議が振り出しに戻りかねません。

 その論議で踏みちがえたら、郵政は通らないかも知れない。永田町というのは何があるか分からない魔物みたいなものです。

村上 閣議決定したことは99%通すことができなければ、与党として責任のある政党とはいえず、国を束ねる政府とはいえない。

 下地さんに一言いいたいのは、政治の世界に、絶対はないということです。人間関係もそう。今日の友は明日の敵。明日の敵は今日の友だ。だから、絶対の敵を作らないこと。

 亀井さんとの関係も、細い糸でもいいからしっかりつないでいてもらいたい。

下地 そのとおりです。私の性格は、喧嘩するタイプじゃない。

村上 そんなことはない。あなたは喧嘩できるタイプだ。正しいことをいう人は、喧嘩をこわがらない。あえて敵を求め、挑戦してゆく。

下地 僕が幹事長でなかったら亀井代表についていった。幹事長を2年半つとめてきた下地幹郎としては、亀井代表を裏切るのではなく、亀井代表の指示の下で、二年半、働いてきたからこそ、今回、そういう決断をした。

村上 これからあなたの政治家としての生き様が問われることになる。怒られながらも顔を見にいくことが大事だ。

下地 5人の中で亀井代表の悪口を言う人はいません。みな代表のお世話になってきた。われわれの願いは、ただ一つ、郵政民営化法改正案の成立を見届けたいというだけです。

村上 国民新党によって生まれた郵政法案であることは国民が認めている。いつまでも未練がましく感傷的につかまえておくものではない。大きく育つことを見守って「放つ」ことがあなたたち政党人のこれからのあるべき道と思います。

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