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石原都知事が尖閣購入計画

中国は必ず人海戦術でやってくる 一坪地主で国民運動起こせ

 東京都の石原慎太郎知事は4月中旬、訪問中のワシントンで講演し、東京都が、沖縄県の尖閣諸島を領土保全の観点から購入に向け最終調整を進めていることを明らかにした。

 石原知事は「中国は日本の実効支配をぶっ壊すためにもっと過激な運動をやると言いだした。尖閣は今の(日本)政府の姿勢では危ない」と指摘した上で、「本当は国が買い上げたらいいが、中国が怒るから外務省がびくびくしている」と述べ、国に代わって「東京が尖閣諸島を守る」と強調した。

 石原都知事が埼玉県の企業家( 栗原国起氏) と詰めの買い取り交渉を進めているのは、魚釣島、北小島、南小島の3島。交渉は昨年暮れに始まり、現在、代理人を通じて手続きを進めている。今年中に専門家による審議会に諮り、都議会の同意を得た後、来年3月31日の契約期限切れを待って、都への所有権移転を目指す。購入後の管理については、同諸島を行政区域とする沖縄県や同県石垣市と協議する意向だ。

 埼玉県の企業家は、魚釣島を含む3つの島を個人所有している。10年ほど前から、国会議員や団体関係者らを通じて、中国側とみられる買収打診が続いていたとされ、中国側の関係者が「買収額40億円」を提示したケースもある。

 現在、3島は国が年間約2450万円で賃借している。野田佳彦首相は石原都知事発言の2日後、衆議院予算委員会で「所有者の方とはこれまでもコミュニケーションを取っており、真意を確認したい。その中で(国として)あらゆる検討をしたい」と語り、国有化も排除しない考えを示した。

 だが今のところ、尖閣諸島を個人所有している埼玉県の企業家が国に売却する積もりはない。石原都知事と埼玉県の企業家とをつないだ「尖閣購入」の仕掛人となった自民党参議院議員の山東昭子氏は、埼玉県の企業家から「長い間、国を守るために所有し続けてきたが個人で守っていくのは限界がある。政府に買い上げてもらいたいが、今の民主党政権は国を守る意識も外交センスもなく、信用できない」と聞いたと月刊誌「WiLL」に書いている。

 昨年9月7日の尖閣沖中国漁船領海侵犯事件で民主党政権は船長を釈放した上、映像すら一般公開しなかった。国民は政府の弱腰対応に強い憤りと不満を抱いているのが現状だ。

 何より当時の官房長官だった仙石由人氏の「既に(日本は)中国の属国」発言には空いた口がふさがらない。

 仙谷氏を名誉毀損で東京地裁に提訴している弁護士で自民党の丸山和也参院議員によると、中国漁船領海侵犯事件は明白な公務執行妨害だから、起訴して判決判決内容によっては強制送還になることは自明の理だと思っていたから釈放決定に対し仙石氏に抗議の電話をかけた。

 電話を受けた仙谷氏は「丸山君、どうしたらええんや」と聞いてきたので、丸山議員は「法に従って粛々とやるということは、逮捕した以上、起訴、判決、強制送還と少なくてもそこまでは行くべきだ。それは当たり前だろう」と答えた。

 すると仙谷氏は「そんなことしたらAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が吹っ飛んじゃう」と言う。それで丸山氏は「APECが飛んでもいいじゃないか。毎年やっているAPECだ。これだけの国益がかかっていて、しかも日本の法治主義が試されている所で、こんないい加減なことしたら中国の属国になるぞ」と言った。

 すると仙谷氏は「属国なんて、今さら言うことではない。もう属国だよ」と、こう答えだという。この顛末は丸山議員が、1昨年10月18日の参議院決算委員会で追及している。

 こうした民主党政権に尖閣諸島を任せたら、国家の利益どころか尊厳すらどうなる分かったものではない。これまで日本政府は尖閣諸島を「わが国固有の領土」というだけで、中国の漁船、公船が海域に侵入する実態について何もすることができず、また日本人が上陸することも禁止してきた。

 だが、そもそも尖閣諸島は1895年、日清戦争の勝利により台湾が日本に割譲された同じ年に、日本政府が正式に領有宣言した歴史経緯がある。これに対し、清国は一言の抗議もしていない。それどころか、1919年に中国漁船が魚釣島に漂着座礁した際、船長ら31人は島民らに救助されて無事に帰国したことから翌年、中国(中華民国)から日本の島民らに「感謝状」が送られてもいる。

 その中国が豹変するのは、40年前のことだ。中国は1971年、外交部声明として「釣魚島(尖閣諸島)は中国の領土だ」と発表した。

 これは68年に国連アジア極東経済委員会(ECAFE)の海洋調査で尖閣諸島に豊富な海底資源があることが明らかになった後のことだ。いわば黄金が眠っている海を見て、後出しじゃんけんで自分の島だと主張する強欲国家でしかないのだ。

 さらに中国は20年後の92年、領海法という国内法を制定し「台湾およびそこに含まれる釣魚島とその付属の島嶼」、つまり尖閣諸島を中国領土だと決めている。

 そして今年1月には、中国共産党機関紙「人民日報」で「尖閣列島は核心的利益」と書いた。中国としては、いわゆる「台湾やチベット、新疆ウイグル自治区」と同じ「安全保障上、決して譲れない国家利益」だというのだ。

 こうした文脈を辿ると経済発展した果実を軍事力増強に費やしてきた中国が、尖閣にかけた手をやすやすと引くことは考えられないシナリオだ。それどころか、必ず力の行使に出てくる。無論、すぐに武力に訴えることはないだろう。さしずめ漁船に偽装した工作船を多数送り込む可能性が高い。

 ペマ・ギャルポ桐蔭横浜大学・大学院教授は「今年夏、世界華僑大会は香港で開催されるが、この中で沖縄特別区支援委員会が尖閣諸島を国際問題化するために大会の後、上陸しようとしている。こうしたことに対し、日本政府も民間も何の反応も示していない」と尖閣諸島への領土的野心をむき出しにし始めた中国と警戒心の薄い日本に懸念を表明した。

 なお石原都知事の尖閣購入計画に対し、橋下徹・大阪市長が代表を務める地域政党「大阪維新の会」の大阪府議団が、5月の定例府議会で、都知事の尖閣購入計画を支持する決議案の提案を検討している。議員団総会で示された4月の原案では、尖閣諸島について「遠くない将来に中国に支配権を奪われる可能性がある」と指摘し、「実効支配の強化につながる石原知事の購入発言を支持する」としている。

 こうした地方議会の支援とともに、一坪地主による国民運動を起こそうとの動きもあるなど、当面、中国と対峙する最前線となった感のある尖閣諸島をめぐる動きに目が離せない。

 【尖閣諸島】魚釣島と、北小島、南小島、久場島、大正島の5島と、3岩礁からなる島嶼(とうしょ)群。石垣島の北北西約170キロにある。大正島は国有地だが、魚釣島など4島は個人所有。日本政府は、所有者と賃貸契約を結び、年間約2450万円を支払っている。

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