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今月の永田町

4月解散説が急浮上

 2017年度政府予算案の衆院通過により3月末までの年度内成立が確定した国会は、4月から後半戦に突入する。野党側は大阪の学校法人「森友学園」への国有地売却問題での関係者の国会招致などで攻勢を強めたい方針だが、安倍政権に致命傷を与えられない状況だ。与党主導での国会運営が続く中、4月、7月解散説など解散風も再び吹き出している。


 後半国会は、天皇陛下の退位をめぐる問題での与野党調整と連休明けにも想定される関連法案、「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案、働き方改革関連法案などさまざまな重要法案が山積している。5月3日の憲法施行70年を迎えての改憲への動きも強まろう。北朝鮮によるミサイル攻撃を想定した敵基地攻撃能力の保有に関しても自民党は4月に具体策を提示する予定で、国会での安保関連の議論がさらに深まることが予想される。

 「与党で多数を占める今国会での懸念材料はほとんどない。すべての法案を成立させられるからだ。ただ、強いてあげれば、金田勝年法相が与野党対決の共謀罪法案(組織犯罪処罰法案)に関してしっかり説明できずに、国会が空転してしまうことだろう」と自民党中堅は指摘する。

 3月5日に開催された自民党大会では、安倍晋三首相(党総裁)は悲願の憲法改正について「発議に向けて具体的な議論をリードしていく。それこそが、戦後一貫して日本の背骨を担ってきた自民党の歴史的使命だ」との決意を表明した。25%を超える自民党への高支持率と60%前後というこれまた異例とも言える高い内閣支持率を維持している故の余裕の発言だ。さらに、大会では自民党総裁の任期を連続2期6年から連続3期9年に延ばす党則の改正が正式に決定された。

 「安倍さんは、あと2カ月もすれば歴代首相の通算在職日数5位の小泉(純一郎)さんを抜く。来年9月の総裁選で3選されて任期をまっとうすれば、吉田茂、伊藤博文、佐藤栄作を抜き、最長の桂太郎まで抜いてしまうことになる。だから安倍さんは意欲満々だ」と先の自民党中堅は語った。ただ、そう簡単に歴史的な記録更新のできる保証のないことも確かだろう。いくつものハードルが控えているからだ。

 その第1は、7月2日投開票の東京都議会議員選挙で、小池百合子知事率いる「都民ファーストの会」に自民党が圧倒される可能性が大きいが、それをどう克服するのかである。代理戦争となった2月5日の千代田区長選挙では自民党側が小池知事側に完敗したことで、都議会での単独過半数獲得どころか野党に転落する可能性すらあるのだ。仮に、衆院選小選挙区でも同様の対決構図となれば、東京の自民党は総崩れすることもあろう。それが衆院選全体の自民後退につながれば首相の責任問題となるのは間違いない。

 そこで、逆に、小池旋風が巻き起こらないうちに蹴散らしてしまおうという話の線上で出てきているのが7月の都議選と衆院解散によるダブル選挙説なのだ。

 一方、野党第一党の民進党は都議選で壊滅状況に落ち込むことが確実である。そうなると、蓮舫代表が辞任する可能性が大きい。自民党は蓮舫代表の「二重国籍」問題に関する攻撃材料をそろえているので、衆院選を蓮舫代表と戦い国政選挙で圧倒したいとの思惑を秘めている。しかも、共産党との民共協力が不十分なうちがいい。選挙で共闘が確立してしまうと、小選挙区で40?50議席減少するとの予測もある。そこで、急浮上してきたのが予算成立後の4月解散説なのだ。

 これに関して自民党の二階俊博幹事長は3月7日の記者会見で「私たちは常在戦場で常に選挙を考えなければならない立場だ。刺激になって、早く調整や準備をしなければならないと感じさせてくれる大変いいご意見だ」と述べた程度で4月総選挙説に関する質問をあっさりとかわした。その後、首相側近らが全面否定をしたり、来年秋への先送り説などをほのめかしたりしているが、「来年秋では衆院議員の任期満了直前だ。それでは首相の求心力は出てこない。むしろ、その説が当たっているからこそ首相がかっとなって解散の先送り説を流すよう周辺に命じたのではないか」(政界関係者)との見方もできる。

 そのあたりを判断する手掛かりの一つが公明党の見解なのだが、それがどうもはっきりしない。もともと公明党の立場は都議選前の3カ月の国政選挙はダメ、ましてや国政選挙も含めてのダブル選挙も支持母体創価学会からきつくダメだと言われているはずだ。ところが、公明党の山口那津男代表は「解散のタイミングは首相の専権事項だ。やるべきとか、やらざるべきとかは言及しない」とする程度で、〝常識発言〟にとどめている。なぜ明確に反対しないのか。

 「同日のダブル選挙を容認しているからではないか。都政では都議会公明党が小池都知事に接近して中央政界の自民・公明連立という与党の構図を壊してしまった。山口さんとしては首相に何も言えなくなっているのかもしれない」(与党幹部)。そうだとすれば、通常国会の会期末の6月18日頃には、衆院の解散宣言が行われ、7月2日の都議選と同日選になるかもしれない。

 後半国会は、このように政権戦術とも相まって運営される。そのため、与野党議員は解散風の向きや強弱に非常に敏感になっており、必要以上のパフォーマンスでの対決ポーズをとったり、民進党と共産党の理念なき急接近も予想される。

 だが、こういう時こそ、重要法案の成立に向けてやるべき議論をやって成果を出すことに挑戦する姿勢が求められよう。

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