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第一弾 沖縄金融債権回収機構の実態

元金・利息・損害金まで要求

本誌特報取材班

 九州・沖縄・山口に本店を置く地方銀行と金融グループの2016年4―12月期の連結決算が出揃った。

 日銀のマイナス金利に伴う収益環境の悪化が続き、本業の儲けを示す事業純益は集計した11行の銀行、金融グループのうち、9行で減少した。

 中でも一番減少幅が大きいのが沖縄銀行で業務純益64億円(前年比25・7億円減)。次が琉球銀行で業務純益58億円(同17・8億円減)だった。

 各行ともマイナス金利が壁となり「従来の方法では収益を確保できない」との声が多く、利ざやの縮小を補う工夫が求められている。

 この2行がバックに控える不良債権回収業者が、沖縄の経済を冷え込ませていると悪評が広がっている。沖縄2大金融機関が不良債権回収機構に出資するのは、増え続ける不良債権を処理する必要性に迫られてのことだ。

 不良債権は増え続けるまま放置しておくと、銀行に課せられた不良債権比率のハードルを超えてしまいかねず、銀行業務そのものを難しくする。そのため銀行は不良債権を売却して身軽になり、それを損金扱いにして会計処理しようとする。

 金銭貸借で貸主に代わって借主から取り立てる債権回収は、弁護士や『債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)の許可を受けた業者などしかできないが、1999年施行のサービサー法で、資本金5億円以上、役員に一名以上の弁護士を含むなどの要件を満たし、法相の許可を受けた上で可能になった。

銀行が受けた優遇策

 歴史を回顧すると、1990年、バブルが崩壊し不動産価格が大暴落した時、銀行はすべからく膨大な不良債権を抱え込んだ。以後20年、日本経済は低迷を続けた。

 しかし、銀行は政府から補助金に匹敵する優遇策を受けた。ほぼ預金金利はゼロに固定し、貸出金利の利ザヤを抜くことで銀行は大体、年間総額5兆円規模の業務純益をあげたのだ。金融庁は、それを銀行への補助金として渡したようなものだ。

 それで20年間、そうした補助金を出し続けて100兆円もの不良債権を処理したのだ。失われた10年、失われた20年というのは、そういうことだった。

冷酷な仕打ち

 少なくとも、勝ったものはすべてを奪い、負けたものは死んでも構わないというジャングルの掟が横行するような新自由主義は問題が多い。

 何よりバブル崩壊時に、膨大な不良債権を抱えた銀行を政府は温情で助けるが、その恩恵を受けた銀行がサービサーのバックに控え、不良債権を抱える個人や法人に冷酷な仕打ちを与えるというのは傲岸不遜な話だ。

 債務者だけが救済から除外されているというのは筋が通らない。過剰債務を身の丈にあった借金にすべきだというのは社会的合理性がある話だ。 債務者というのは責任感が強いばかりに、切羽詰まって自殺したり夜逃げ同然でホームレスになる人もいる。困った時はもっと助けを求め、何よりそれに応える社会・経済制度が必要だ。

 日本経済を支えているのは、全企業の99・7%を占める中小企業だ。その中小企業が潰され、あるいはハゲタカファンドなどに乗っ取られて、日本経済活性化の道が閉ざされるリスクがある。

サービサーの債務者いじめ

 不良債権回収の現場で、血の涙が流れるような悲劇は避けないといけない。それは債務者の借金をゼロにしようというのではない。借りたものは返すのが道理だ。

 しかし、サービサー(不良債権回収機構)は銀行などから安く不良債権を買い取ったにもかかわらず、100%の額面で回収し、元金はもとより、さらに利息さえも取り立て、損害金まで請求するのはやり過ぎだ。

 これではサービサーによる債務者いじめでしかない。

 そもそも100%返済可能なものなら、不良債権とは呼ばない。

 「サービサーの不条理」として強く非難されているのが、買い取った不良債権を競売にかけてサービサーが競り落とすことだ。これでサービサーは当案件の不良債権に関わる他の債権者の権利をそぎ落とし、債権者の権利を独占できるようになる。このようにして、不良債権の債務が履行された場合、最高の利益を叩きだすことになる。このため、競売にかける金額はほかの競争相手が競り落とせないような金額で札を入れることすら厭わない。どうせ役所に納める保証金は、その金額の1割ほどでいいからだ。

 何より問題なのはサービサーが買い取る不良債権の額が明らかにされることはなく、すべて闇の中だ。こうした法の盲点を突いたような不透明な不良債権回収業務は、そのあり方を基本から見直す必要がある。

(次号には実名公表の予定)

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