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安倍首相、4月にロシア訪問 経済協力先行で領土返還見通せず

 安倍晋三首相が4月に、ロシアを訪問する予定だ。昨年12月15日には、首相の地元山口県でロシアのプーチン大統領を招待し、緊密な関係を演出した。だが、共同声明には悲願の北方領土返還に結び付く文言は全くなく、共同経済協力の実現など主に経済案件ばかりが優先されている。この戦略の見えない矛盾だらけの対露外交に、多くの国民の不信感は募っている。

 戦後70年にしてようやく北方領土問題が解決に向けて動き出すのではないか。そんな期待感ばかりが先行した山口での首脳会談は、「最低でも2島返還、残りの2島の表記がどうなるか」と注目していた多くの国民の期待を完全に裏切るものとなった。4島返還に結び付く文言が皆無だったからだ。

 首脳会談の直前にロシア政府は、北方4島のうち国後島と択捉島に最新鋭の地対艦ミサイルを配備したことを明らかにし、北方領土を極東の軍事的要衝として位置付ける姿勢を示した。それでも首脳会談は規定路線として開催された。

 しかし、共同声明には、平和条約締結に向けて「非常に突っ込んだ議論」を行ったもののそれ以上先の詰めはできず、8項目の経済・民生協力プランに沿って官民が3000億円規模の事業を進めていくことで合意した程度だったのだ。

 さらに不信は募る。ロシア政府は2月になって、北方領土周辺の五つの無人島に、旧ソ連やロシアの政治家、軍人らの名前を付けた。いずれも非常に小さい島ではあるが、ミズーリ号上での日本降伏文書調印式に参加し、第二次世界大戦後の占領機関「対日理事会」のソ連代表を務めたデレビヤンコ中将や、戦後、長らく外相だったグロムイコ氏の名前などが付けられたのである。これらの地域の実の衆院予算委員会で、北朝鮮によるミサ効支配を強調する狙いがあったのだろう。

 日本政府は「わが国の立場とは相容れない」と抗議したが、ロシア側は「ロシアの領土である以上、命名はロシアの主権的権利である」と全く無視状態。さらに、3月2日には、共同声明で合意していた北方領土での共同経済活動をめぐる協議の進展が乏しければ、ロシア独自で4島の開発を推進する可能性を示したのである。またロシア政府は北方領土をめぐり、他地域の住民に土地を無償分与する施策も推進していて、国後島や色丹島への申請が2月以降だけで250件以上に上っているということだ。

 今のままでは、日露関係は首相の足元を見透かしているロシア側ペースで進むのみで経済協力だけが進展し、領土交渉が停滞することはほぼ明らかだろう。

 「対ロシア外交は日露の2国間でやるより、トランプ大統領はじめ親露派の多い米政権と共同で取り組む方が賢明だ。北方領土返還交渉の過程で、米国も絡んでいたこともある。日米による戦略を描くべきでないか」と政府関係者は指摘している。

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