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永田町ファイル

民進党・細野豪志代表代行の記者会見 3・1

憲法改正

【記者】細野さんのグループで議論を進めている憲法改正の関係で、4月上旬の公表に向けて作業を進めているようですが、現在の進捗と、今後の予定されている日程を伺いたいのと、パーティーで「3点セット」などについていろいろ発言されていましたが、党内の反応、幹事長とか代表とかも含めて、どんな声が来ていますか。

【代表代行】まず1点目の件につきましては、今、精力的に作業を進め議論している最中です。非常にいい議論ができていると思いますので、一つのグループとして、できればしっかりまとめられるようにやっていきたい。

 スケジュール的には、国会中ですので、それぞれの国会審議と並行しながらということですが、できるだけ早くまとめたほうがいいと思いますので、ここ2、3週間、しっかり議論をします。

 それと党内ですが、(民主党がまとめた)2005年の「憲法提言」、これが党としてまとまったものとしては最後のものになる。私としては、その方向性とは一致したもので、さらにそれを「深掘りする」、もしくは「具体化する」、そういった案を出したいと思っています。

 方向性が合っていますので、具体的な提案になります。党内でもそのことによって議論が活性化すればいいし、国会でもそのことによって議論が前に進めばいいなと思っています。

【記者】緊急事態条項の必要性に関しても言及されていたと思います。当条項の必要性について、細野代表代行の具体的な見解を伺いたい。

【代表代行】今の憲法には、緊急事態について、さらに広く言うならば危機管理そのものについての言及が全くない。戦後70年経って、我が国を取り巻く環境も大きく変わりましたし、国民の意識も相当変わったと思います。ですから、それについて議論をしないとか、何も書かないというのは適切ではないと私は思いますので、今その議論をしています。

 現段階ですが、かなり精査をしています。例えば、自民党が言っているような国民の権利を制限する部分、これについては、今のところですが、新たな憲法改正は必要ないのではないかと考えています。具体的には憲法22条・29条、「居住移転・職業選択の自由」と「財産権」ですが、それぞれの条文の中には「公共の福祉」による制約が書かれています。

 こういう条文がある以上は、憲法の改正をしなくても法律で私権を制限できるというのが私どもの理解です。

 東日本大震災という極めてシビアな、原発事故も含めた経験を私は官邸の中でしていますので、どういった私権の制限が必要なのかについては承知をしています。その多くは、この22条と29条にかかわるところですので、それは法律によってやり得るという理解です。

 一方で、例えば、言論の自由であるとか、さまざまな精神的な自由については、(自民党憲法草案の)22条・29条にあるような形の制約はあるべきではないと私は思います。ですから、そこも含めて全体に制約をかけるような自民党案というのは、立憲主義の観点から言っても非常によくないというのが私の理解です。

 一方で、緊急事態において、常に国会が機能して、予算を通したり法律を通したりすることは必要でしょう。具体的に申し上げると、3・11の時に参議院や衆議院が任期(満了)の直前であったら、我が国は大混乱でした。憲法上、選挙の先延ばしはできませんので。

 そういう事態において、それこそ常に法律や予算を通すことができ、必要な時には政府をチェックするという意味では、やはり立法機関が常に機能する形を考えたほうがいいだろうと思う。その意味で、選挙を先延ばしするということを立法府自身が判断する改正は必要だ、というのが私の理解です。ここはおそらく憲法の不備だろうと思います。

 ですから、緊急事態条項については今のところ、まだ議論が尽きてはいませんが、その部分での提案をぜひしたいと思っています。

【記者】今おっしゃったように懸念される点もいろいろあると思いますが、枝野幸男前幹事長が、自民党の出している緊急事態条項の内容は、戒厳令であって、「緊急事態だ」と時の政府が宣言してしまえば権力者が何でも自由にできる、ナチスがワイマール憲法のもとで権力を握ったやり方と同じであり、おぞましい案である、とおっしゃっている。また、岡田克也前代表も、立憲主義を理解していない安倍総理のもとでの改憲の論議に応じることに危機感を示されていました。今、改憲勢力の議席数が圧倒的な状況において、細野代表代行は、そもそも緊急事態条項の議論に応じることについて懸念はありませんか。

【代表代行】枝野(民進党憲法調査会長)さんがおっしゃっていることについては、私も全く共通認識です。その中で、今の憲法で危機的な状況に対応できない部分があれば、それに対応するのは、政党にかかわらず政治家の責任だと思います。3・11の直後に国政選挙があったら、投票権を行使できただろうか。大混乱の中に選挙をすることになるか、もしくは国政選挙をしないということになると、国会が存在しないという権力の空白状態が生じる。それを望んでいる国民はいないと思います。

 ですから、必要なことについてはしっかり提案する政党として、民進党がやはり存在することの意味は非常に大きいと考えます。

【記者】代行が掲げている憲法改正の三つの項目の、教育無償化の部分ですが、現段階でまだ教育の無償化と憲法の関係というのは党としては機関決定されていないと思いますが、執行部の中では野田幹事長はじめ他の2人の代行らから否定的な発言が会見などでも出ています。無償化に向けた法案も、今、政調で準備をしているということで、こういった党内の状況をどうご覧になっていますか。

【代表代行】機関決定をしていないという意味では、改正条文についてはすべて機関決定していませんから、そういうことになります。逆に言うと、2005年からもう12年たっているのですが、その間、具体的にしっかりと党内で議論して集約をしたものはない。ですから、そこは民進党という新しい政党になった、前に進めていくべき時期が来ているというのが私の理解です。そこをしっかり提案して、議論が活性化すればいいのではないかと思います。

【記者】執行部のほかの方々からも否定的なメッセージが出ているということと、代行ご自身がこれを発信することによる党内の影響をご自身でどう考えておられるか伺いたい。

【代表代行】2005年の「憲法提言」は、憲法に対して国民的な議論を提起していくという趣旨の中身になっています。私は、その方針に沿って提案をするつもりですので、それを党内で受け止めていただきたいと思います。


【記者コラム】細野改憲案で議論の加速も

 衆議院の憲法審査会が3月16日、今国会で初めて開かれる。昨年11月に議論を再開したものの議論はストップ。まずは参政権の保障をめぐる問題をテーマに議論する。大規模災害をはじめとする緊急事態での国会議員の任期の在り方などについて各党が意見表明や自由討議を行い、その後は、戦争やテロ、大規模災害などに対応するための「緊急事態条項」や「衆議院の解散権の在り方」について、参考人質疑を行うことになる。

 そこで急きょ注目されているのが民進党の細野豪志代表代行の言動だ。4月上旬に 細野グループが改憲案を提示するという。しかも、審査会で議論するテーマの緊急事態や危機管理の問題で具体的な提案を想定している。(民主党がまとめた)2005年の「憲法提言」の方向性とも一致し、それを「深掘りする」案だと細野氏は語る。

 「憲法提言」と言えば、新たな統治機構を確立し、「分権国家」の創出などを唱える創憲案なので、懸念は消せない。ただ「大いなる憲法論議のための『提言』をもって行動する」と議論の活発化をうたっている点では大いに期待できる。

 この「憲法論議の土台」と位置付けた「提言」に対して現行執行部の誰も反対できまい。それをどう「深堀り」し「具体化」するのか。現在、改憲派の議席は衆参両院でそれぞれ3分の2以上を占めているが、細野グループが提示する内容次第では、改憲政党もその議論の土俵に乗る可能性は十分あり得よう。

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