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法治国家否定する翁長沖縄県知事

最高裁の判決までも無視する横暴

 政府は4月下旬に、米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設先、名護市辺へのこ野古沿岸部で海上工事に着手した。まずは石材などで埋め立てて代替施設の外枠を造る。

 これに対し翁長(おなが)雄志(たけし)県知事は工事着手を「暴挙だ」と批判し「政府はなりふり構わず既成事実を作ろうと躍起になっている」と述べた上で「重大な決意で対処」し、工事差し止め訴訟を起こす方針を明らかにした。

 しかし、移設の是非は最高裁の判決で決着が付いたはずだ。これ以上、「反対のための反対」を繰り返すような不毛な争いは避けるべきだ。

 何より強引な海洋進出を行い尖閣にも触手を伸ばす中国や核・ミサイル開発を進める北朝鮮の脅威は高まるばかりだ。尖閣を抱える沖縄県の知事である翁長氏は、絶大な力を持ちつつある中国人民解放軍をバックに強権統治の中国や先軍政治の北朝鮮など、日本を取り巻く安全保障環境の厳しさを直視する必要がある。

 普天間飛行場は住宅密集地に囲まれ、学校にも隣接。「世界一危険な飛行場」と呼ばれる。万一大事故が起きて地元住民が犠牲になれば、県民の強い反発で存在そのものが脅かされ、結果として在日米軍の抑止力維持が難しくなる恐れもある。辺野古移設は在日米軍の抑止力維持と沖縄の基地負担軽減を両立させる唯一の方法だ。辺野古移設を急ぐのは当然のことであり、着実に工事を進めなければならない。

 沖縄が先の大戦での激戦地となり、多大の被害を受けたことをわれわれは忘れてはいない。その上、戦後72年の今も基地負担を強いられている。全国の米軍専用施設の73・8%が国土の0・6%にすぎない沖縄に集中している。

 しかし、中国と北朝鮮の脅威の増大を考えれば、沖縄基地の地政学的重要性は一層高まるばかりだ。

 その意味からも辺野古移設は住民の基地負担の軽減に役立つ。それを考慮せず、やみくもに法廷闘争に持ち込もうとしている翁長知事が本当に沖縄住民のことを考えているのか疑念の思いも浮かんでくる。

 公共事業などで沖縄経済を底上げする沖縄振興予算は、平成33年度まで毎年3000億円台の予算を確保されている。補助率についても、他の都道府県と比べて高率となっている。そうした予算を国から得ていながら、その予算を使って国に矢を向けるような行為でもあるのだ。

 普天間返還合意から今年で21年。2006年に辺野古移設の現行案で一致してからも10年以上が経過した。埋め立て本体工事開始は大きな節目になろうとしている。

 当初、移設完了目標は14年とされていた。だが、09年に「最低でも県外」と公約した民主党の鳩山政権が、県外移設を模索しながら辺野古移設に回帰し、問題を迷走させた。13年には当時の仲井真弘多知事が埋め立てを承認したものの、14年11月に当選した翁長知事が承認を取り消した。

 このため、国と県の訴訟合戦に発展するなど泥沼化した経緯がある。

 最高裁は昨年12月に、国が地方自治法に基づき知事を相手に起こした訴訟の上告審判決で、埋め立てを承認した仲井真氏の判断について「明らかに妥当性を欠くものではない」と指摘した上で、判断を取り消した翁長氏の対応を違法と裁定した。当然のことだ。

 翁長氏は辺野古移設反対を掲げ、2014年の知事選で勝利した。だが1月の宮古島市長選では、候補擁立をめぐって翁長氏を支える「オール沖縄」陣営が分裂。翁長氏の支援した候補が敗れ、現職の下地市長が当選を果たした。

 さらに2月の浦添市長選、そして3月のうるま市長選で、いずれも翁長氏の支援した候補が敗れている。支持組織をまとめていた安慶田光男氏が、教員採用をめぐる不祥事で副知事を辞任したことが響いたのかもしれないが、翁長氏への県民の支持は確実に失われつつあるのだ。

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