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東芝だけでなく日本郵政にも

毒饅頭を食わせた西室元社長

 日本郵政は、2015年5月に買収したオーストラリアの物流企業トール社について、業績が悪化していることから資産価値を見直し、3000億から4000億円規模もの損失を計上すると報じられた。

 この買収は、日本郵政グループが金融業の他に世界50カ国以上で物流事業を展開するトール社を傘下に収めることで、グローバルなロジスティクス(物流)企業へ脱皮し、さらにそのイメージを定着させることを狙ったはずだった。

 何より日本郵政が危惧したのは、高齢化社会への突入や人口の減少、製造業の海外移転など、国内の郵便事業が成り立たなくなることが見込まれる中で、海外で国内の劣勢を挽回しようと思ったのだ。

 しかし、思惑だけが先行してリスク管理と正当な買収価格では無かったのが真相だ。

 買収金額は実に6200億円。この金額は市場価格の1・5倍にも上る。日本郵政グループは15年から17年までの3年間で、新規投資8000億円を投じる事業計画を発表していたが、トール社買収だけで、その大部分を既に使ってしまったことになる。

 日本郵政は数千億円規模の損失計上の理由として、オーストラリア経済の悪化をあげているが、問題は経済的合理性のない高値掴みをしただけの話だ。

 日本郵政が純粋な民間企業だったら、株主からの猛反発で多分、買収は実現しなかった公算が強い。しかし、日本郵政は再国有化した「準国有企業」だ。これはボードの判断だけで運営できる即決力はあるものの、多面的にリスクを読むチェック機能に劣る。

 その意味では、日本郵政トップの罪状は重いものがある。

 しかも、トール社買収を主導したのは、西室泰三元社長だった。その西室氏は東芝の元社長で、「東芝の天皇」とすら呼ばれていた人物だ。その勝手な思い込みから、企業価値をきちんと精査せず高値掴みを余儀なくされた悪弊は、東芝だけでなく日本郵政にも及んだ可能性が高い。

 東芝は西室氏主導で米原子炉大手のウエスティングハウス(WH)買収の結果、6年前の東日本大震災で世界的原発の需要の低下と価格の高騰に二重苦で大きな不良債権を抱えることになった。

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