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年内に小池新党結成も

オリンピック絡め国政進出へ

来秋解散、時期を繰り上げも

 7月2日投開票の東京都議選で、小池百合子知事率いる地域政党「都民ファーストの会」が圧勝したが、さらに国政に進出する可能性も出てきた。年内に小池新党を立ち上げ、2020年の国民的事業である東京オリンピックに絡めた「国民ファースト」をアピールする考えだという。衆院の解散は来年秋との予想が現在の政界の常識だが、小池新党の求心力が急速に強まり、内閣支持率の下落が続く見通しだと安倍晋三首相が判断すれば、年内の繰り上げ解散に打って出ることもあり得よう。


政界流動化の「核」に急浮上か

 今回の都議選では、小池知事が代表を務めた「都民ファーストの会」(都民)が惨敗した自民党票を大幅に奪取し、追加公認を含めて55議席を獲得して第1党に躍進した。自民党はその半分にも及ばない過去最低の23議席で、7つの1人区のうち6つで敗北、得票率も11ポイント以上も「都民」に引き離された。

 笑いの止まらない小池知事は、投票日から一夜明けた3日に願掛けの断酒を解禁し、とりあえずビールでお祝いをしたと記者団に語った。さらに、「都民ファーストならぬ国民ファーストということをベースに考えてゆく必要がある」とまで語り、したたかな国政進出への思いの一端を漏らしたと言う。

 「昨年の都知事選での圧勝から波に乗り、突然の如く発生した地域政党が大勝ちしたが、その寿命は長くないという評論家は多い。だが、都議選敗北がその後の国政選挙での自民党惨敗につながったケースのあることは頭に入れておかねばならない」と指摘するのは自民党中堅だ。

 確かに1993年と2009年の総選挙では、自民党惨敗にとどまらず政変劇が生じている。93年は都議選で降ってわいたように出現した日本新党が2議席から20議席に躍進したのを契機に、総選挙で宮沢喜一自民党を大敗に追い込み、野に下らせた。09年は、都議選で麻生太郎自民党が38議席という歴史的大敗を喫し、民主党に都議会第1党の座を譲った後の総選挙で大敗し、民主党が政権を獲得している。

 今回の投票日の出口調査データをもとに「産経新聞」が東京全25選挙区での衆院選獲得議席を分析したところ、自民党は公明党の選挙協力がないまま「都民」と戦えばわずか1議席しか獲得できず24敗となる。公明党と選挙協力をしても獲得議席は17で、「都民」が8議席を獲得する結果になった。

 この試算に近い結果と言えるのが09年の衆院選だという。自民党が4議席にとどまり、うち公明党の推薦を得ず、民主党との一騎打ちで自民党が競り勝ったのは東京17区だけで残る3選挙区は民主党が公認候補を擁立しなかったので得られた議席に過ぎない。また、今回の都議選と同様に、国政でも「都民」と公明が相互推薦の形で選挙協力に踏み切り、自民党と対決したケースになると自民党の獲得議席はゼロになるということだ。

 小池氏が選挙後の3日に代表辞任を表明し再び特別顧問に就任したのは、議会で多数を占める政党の代表を知事が兼ねることは地方自治の「二元代表制」の観点で問題があるとの指摘があったからで、それは当然だろう。ただそれ以上に、「独裁」と非難され国政進出への動きが露骨になれば、古巣の自民党が総力で潰しにかかるのを察知しているからに違いない。

 だが、小池側近からは年内の新党結成の〝野望〟が語られている。自民党を離党した若狭勝衆院議員は9日に「年内には、少なくとも何らかの動きがあるのではないか」「(都議選の結果を踏まえれば)国政新党がつくられていく、というのは自然な流れだ」と述べ、国政進出への見通しを明言した。

 「国政を狙うなら勢いのあるうちに政党を立ち上げなければ手遅れになる。小池さんの戦略は、ある程度の期間、自分は表に出ないで都政に徹し、ここが勝負のタイミングとみるや代表に返り咲く。今回の代表就任も選挙直前だった。そして、華やかな東京オリンピックを成功に導く国民政党であることを〝売り〟にして国民の関心をさらい、来るべき選挙戦に臨む。そのことを考えているのではないか」と自民党幹部は深読みする。そうであれば、安倍自民党にとって見過ごすことの出来ない重大事である。

 一方で、「恐れるに足らない」と見る向きもある。「所詮、『都民』の新人都議は2流3流の素人集団に過ぎない。スキャンダルを抱えているか否かの身体検査も十分でないだろう。維新で当選した上西小百合(衆院議員)を見たらいい。橋下でもコントロールできないトンデモナイ失格者が出ないとも限らない。さらに、都政に身が入っていないと批判されれば小池の人気は急降下しよう。当面は、お手並み拝見」(全国紙デスク)というのだ。

 若狭氏が示唆する新党の所属議員候補者と言っても、メジャークラスはいない。せいぜい、都議選で「都民」候補者を応援した、民進党除籍の長島昭久衆院議員、日本維新の会除名の渡辺喜美参院議員、無所属の松沢成文参院議員くらいだろう。政党要件の国会議員5人を集めることは容易だろうが、単に離党議員の寄せ集め的な集団であるならさほど脅威にはなるまい。

 ただ、小池氏の代表復帰に併せ、魅力的で評判のいい候補者を掘り出して立ち上がれば話は別だ。その時は間違いなく小池新党が政界流動化の「核」として浮上する。

 安倍首相としては、内閣支持率の動向をにらみつつ、そうならないためにも来年秋に憲法改正案を掲げて衆院解散に踏み切るスケジュールを前倒しし、改憲を遅らせて早期の解散を断行することも否定できない。すなわち、小池新党結成前の年内解散の可能性も出てきたということだ。

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