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霞ヶ関ファイル

金田勝年法相の記者会見 6・16

テロ等準備罪処罰法

【記者】昨日、組織的犯罪処罰法改正案が成立しましたが、国会では民進、共産などが反対票を投じ、国会周辺でも反対運動が起きていました。「テロ対策」という、ある種、誰もが望むことを立法目的に掲げていながら、こうした反対する声が最後まで出続けた原因はどこにあったとお考えでしょうか。

【大臣】テロ等準備罪処罰法案について、これまで様々なご意見があったことは承知しています。いずれにしても、テロ等準備罪は、その要件を限定かつ明確化して規定し、かつての「組織的な犯罪の共謀罪」に対して示された不安や懸念を払拭するものになっています。その法案について、国会におけるご審議を経て、昨日、法律として成立したことは、私としては大変に意義深いものと考えています。今後とも、法務大臣として、成立した本法律について更なるご理解を得られるよう、引き続き丁寧な説明を行っていく必要があると思っています。

【記者】かつての共謀罪に対しての不安や懸念を払拭するものになったとおっしゃっいましたが、結局、そういった懸念などが国会審議の中でも出て、更に国会周辺でも最後までそういう声が出ていたんですが、そういった声が出続けた原因をおっしゃってください。

【大臣】かつての「組織的な犯罪の共謀罪」は、団体の活動として当該行為を実行するための組織によって長期4年以上の懲役等に当たる罪を実行することについての共謀を処罰することにしていたわけです。これに対して、正当な活動を行う団体も対象となるのではないか、対象犯罪の数が多すぎる、内心が処罰されることとなるといった不安や懸念が、かねてから国会審議等で指摘されていました。これらの指摘を重く受け止め、真摯に検討を重ねた結果、今回、提出した法案、テロ等準備罪においては、対象となる団体を明文で組織的犯罪集団に限定したことによって、一般の会社や市民団体、労働組合など正当な活動を行っている団体は適用対象とはならないことを一層明確にしたわけです。対象犯罪についても、長期4年以上の懲役・禁錮を定める罪のうち、組織的犯罪集団が計画・実行することが現実的に想定されるものをリスト化して対象犯罪を明確化しました。そして、犯罪の計画行為だけでは処罰されず、実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることによって内心を処罰するものではないことについても一層明確にすることができ、処罰範囲も限定しました。  こうした厳しい要件を課すことによって、テロ等準備罪は犯罪の主体、対象犯罪、処罰対象となる行為のいずれについても、法文上明確に限定し、国民の不安や懸念を払拭することができる内容となったと考えています。

【記者】そうすると、不安や懸念は完全に払拭された上での成立だとお考えでしょうか。

【大臣】今回の法改正によって、これまでは処罰されていない行為が処罰されることになるのですから、何が処罰されるかという不安や懸念が示されることは、ある意味で自然なことと考えています。私としては、その不安や懸念を払拭するために、誠実かつ丁寧な説明に努めてきたつもりであり、その上で国会の審議におけるご判断が結果として出たと考えています。

【記者】「テロ等準備罪で懸念が示されるのは自然なこと。」というご回答でしたが、これは懸念が残ることは致し方ないということなのか、それとも残念だというご感想なのでしょうか。

【大臣】過去3回、国会に提出し審議されていた経緯もあり、そのときに国会の審議においてどういう議論が行われたのかは私も聞いています。過去、国会での議論において、言われた懸念は承知しています。それを踏まえ、今回は要件の厳格化等、いろいろな努力をしました。懸念が残る以上は、引き続き、それに対して説明し、懸念を解消することに努めていくことが必要だと考えています。

【記者】法律の中身の是非よりも、中間報告の手段が採られたことによって、法律の中身に悪い印象を与えたように思いますが、それについてどう思われますか。

【大臣】私は中間報告がどういう手続で行われるか、あるいはどういう終局を迎えるかについて詳しく存じていませんでした。したがって、衆議院の不信任案の処理に同席している中、突然中間報告に対する質疑が飛び込んできたという話を聞いて「中間報告というのはそこでも質疑できるのだ。」と驚きを感じたことを覚えています。一昨日の朝方、参議院本会議場で小川議員と仁比議員に対し答弁しました。そのときは、中間報告の質疑というのもあるのだという思いを持ってあそこに座らせていただきましたので、こういう手続だったのかという感じでしたが、私から所感を申し上げることは差し控えたいと思っています。

【記者】共謀罪について、引き続き丁寧に説明していくということなのでお尋ねします。6月1日の参議院法務委員会で刑事局長が「構成員以外を一般人というのならば、一般人が計画に参加することはあり得る。」と答弁されました。これについて大臣も同じ考えでしょうか。

【大臣】刑事局長と同じです。

【記者】関連して、大臣が同じ日に、「組織的犯罪集団と関係がある周辺者が処罰されることもあり得る。」と答弁されましたが、その考えは変わりませんか。 【大臣】変わっていません。 【記者】では、刑事局長がおっしゃったように、「構成員以外を一般人と呼ぶ。」という文脈の中では、一般人が処罰されることもあり得るという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】「一般の方」という言葉は使用される文脈によってその意味が異なると思います。テロ等準備罪の捜査の対象とならないという文脈において「一般の方」というのは、組織的犯罪集団と関わりのない方々、言い換えれば、何らかの団体に属しないことはもちろんのこと、通常の団体に属して、通常の社会生活を送っている方々という意味で用いています。したがって、組織的犯罪集団の要件を設けたことで、一般の方々にはテロ等準備罪の嫌疑が生じなくなったことを申し上げたわけですが、テロ等準備罪は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定しており、組織的犯罪集団とは、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織など違法行為を目的とする団体に限られます。一般の方々がこれらと関わりを持つことはないことはもちろんのこと、関わりを持っていると疑われることも考えられません。  したがって、組織的犯罪集団と関わりのない一般の方々がテロ等準備罪で処罰されることも、テロ等準備罪の嫌疑が生じて被疑者として捜査の対象となることもないと申し上げることができるわけです。一方で、組織的犯罪集団と一定の関係があって、その活動内容を認識し、これと同調するような周辺者についてまで、一般の方々に含まれるとは考えていません。


【記者コラム】「政争」に加担する記者

 「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法がようやく成立した。成立翌日(6月16日)の法相記者会見で「反対する声が最後まで出続けた原因は?」と、記者が質問しているが、原因は明らかである。3年後に東京五輪を控え、テロの標的になる危険性が高まっているにもかかわらず、その防止策そっちのけで、政権攻撃を目的とした「反対のための反対」が続き、しかもそれをメディアが煽ったからだ。

 法案についての論議が政争の具となったことはメディアの報道を振り返るとよく分かる。産経、読売など安倍政権に肯定的な新聞は「テロ対策」に力点を置いて報道し、そのメディアが行う世論調査では法案賛成が反対を上回った。

 一方、朝日、毎日など安倍政権に否定的な新聞は「一般人も捜査対象になる」など、否定的な報道を繰り返した。その結果、彼らの世論調査では反対が賛成を上回るか、賛否が拮抗するという結果になっていた。

 要するに、世論を誘導する報道を行ったのだ。

 この流れをみると「一般人が処罰されることもあり得る?」と、〝一般人〟という文言を使って質問した記者は、法案に反対であることが分かる。しかし、法相も述べたように、組織的犯罪集団と関わらない一般人が処罰されることがないのは当然のこと。それをあえて、持ち出したのは記者が政争に加担しているからで、わが国のジャーナリズムのレベルを示している。

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