トップページ >

8月危機説のビットコイン

記録形式めぐり規格分裂も

 仮想通貨「ビットコイン」相場に急ブレーキがかかっている。今春以降、ビットコイン価格は急騰し、5月には一時、過去最高の1ビットコイン=35万円近くまで上昇した。それが同月末には急落し27万円を割り込み、7月上旬でも30万円以下の水準だ。主因はビットコインの規格をめぐる分裂騒動だ。

 これはビットコイン一部事業者が8月1日から新規格の導入を表明。先行きの不透明感から、投資家が他の仮想通貨に資金を分散する動きも出ている。

 通貨は通常、国の中央銀行などが発行することで信用を獲得しているが、ビットコインには中央銀行のような中央機関は存在せず、通貨の発行や取引はすべてネットワーク上で行われる。複数のコンピューターに全ての取引を記録し、複製や改竄(かいざん)ができないようにしている。しかし、利用者の急増で、記録を終えて取引が成立するまで時間がかかるようになった。

 このため、記録形式を新たな規格に変更する取り組みが進んだ。だが、複数の規格が浮上し結論がまとまらず、一部事業者が8月1日から新たな規格に対応したプログラムを使用する方針を表明した。合意を待って不都合な企画を押し付けられるより、新規格を先駆けて採用し多くの顧客を動員できれば、その企画に統一される可能性が高くなるという先手必勝の読みがある。

 一方、そうとはならずに複数規格に分裂すれば、将来的にどちらかの規格が使われなくなり、取引ができなくなる恐れが出てくる。

 市場はそのリスクを織り込み、30万円の壁を突破できないでいる。

 なおビットコインはインフレやデフレが起こりにくい仮想通貨とされる。

 実際の通貨は、政府が過剰発行することある。例えば米ドルの不足が起こると国の借金返済のために米中央銀行は通貨を増やす。経済状況が悪くなっても、政府は新しい通貨を発行し量的緩和を行う。これにより通貨の価値が下がり、インフレが起こる。

 インフレはコントロールが難しく、人々の購買力を下げてしまう。しかし、ビットコインは増発できない仕組みになっている。つまり、ビットコインの数は増えることがなくインフレも起こらないし、品物やサービス価格が下がるデフレも同様に起こらない。

 偽札が横行している中国ではビットコイン購入者が急増したことがある。ビットコインだと偽札をいちいち判別しなくてもいいから、無駄な時間が奪われない、あっという間に決済も出来る。その中国でのビットコイン需要の急増と政府の規制が同価格急騰と急落の原因となった経緯があるが、今回はそれが主因ではない。あくまで規格分裂騒動への懸念がリスク要因と急浮上してきたということだ。

この記事のトップへ戻る