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トランプは日本覚醒のアラーム

日米同盟堅持しつつ自主防衛へ

 トランプ米大統領就任から、まもなく10カ月(300日)を迎える。それでも政権内部はまだまだ安定とはとてもいえない状況だ。

 トランプ政権のキーワードは「FIREとDEAL」だ。

 「FIRE」とは米国の台所事情を反映したものではなく、トランプ氏が経営者時代から多用してきた「首(解雇)」の意味だ。多くの閣僚や首脳陣が更迭され、人事的には安定とは程遠い状態だ。

 また、懸念すべきは「DEAL」だ。

 1月20日の大統領就任式で、トランプ氏がホワイトハウスでオバマ前大統領から引継ぎを受けた際、強調されたのが「危機的状況の北朝鮮問題」だった。

 トランプ氏は空母「ロナルド・レーガン」や「カール・ビンソン」などを朝鮮半島に急派した経緯こそあれ、北朝鮮攻撃に踏み切る覚悟は出来ていない。

 あくまで威圧による砲艦外交が目的だった。外交の相手は北朝鮮もあるが、日本や韓国へのサービスでもあった。

 何より米国の覇権は同盟国なしには成立しない。

 「どうか安心して。米国は義務を果たします」  「あなたがたの安全のために、米国はこれだけ汗をかいています」  こうした覇権国として米国の地位と体面を保つための同盟国向けPR活動というわけで、実行力を伴うものではない。

 ただ、米偵察機や衛星から確認した、あたふたと動いたであろう北朝鮮の軍事施設の状況は価値ある情報だ。

 とはいっても、本気で北朝鮮へ軍事攻撃を仕掛けた場合、ロシアのプーチン大統領は間髪いれず、ウクライナやバルト3国で軍事行動を起こし、一挙に「NATO」突き崩しに出るだろうし、中国が朝鮮半島有事に至った場合、歴史的教訓から台湾侵攻の危機が高まるのは必至だ。

 これだと、さすがに米国も簡単に動くわけにはいかない。結局、北朝鮮への先制攻撃の可能性は低く、本筋はあくまで米朝対話に持ち込む前哨戦でしかないということだ。

 なおトランプ氏は北朝鮮問題を解決するため、中国に過度の期待をかけている。

 しかし、米中協力体制下で北朝鮮問題を収束させれば、米中は戦略取引を強いられる。米国は中国に大きな借りを作り、いずれその借りを返さないといけなくなる。その時、日本はその「犠牲の幡祭」にされかねないのだ。   最終的には中国が望むハワイ以東は米国、以西は中国の管轄下という「太平洋の分割」も可能になる。

 こうした「米中の手打ち」という「大国同士のDEAL」こそ、日本の悪夢だ。

 安全保障は最悪の場面を想定することが基本だとすると、わが国が取るべき防衛政策は日米安保を確実なものにすると同時に、自主防衛の地平線を切り開いておくことも同時的に必要不可欠となる。

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