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アインシュタインが贈った手書きメモ

「つつましい幸福論」が2億円で落札

 「相対性理論」で著名な物理学者アルバート・アインシュタイン博士が戦前に来日した際、滞在したホテルの日本人ボーイに渡したメモが10月下旬に、2億円あまりで落札された。

 このメモはノーベル賞を受賞した直後の1922年に来日した博士が、滞在先の帝国ホテル(東京都千代田区)の便せんに記したもの。2枚にはそれぞれ「穏やかでつつましい生活は、絶え間ない不安に襲われながら成功を追い求めるよりも多くの喜びをもたらしてくれる」「意志あるところに道は開ける」と書かれている。

 どうやら博士は手持ちの小銭がなかったようで、チップ代わりにホテルのボーイに手渡し「運がよければこれは価値のあるものになる」と語ったという。エルサレムで行われたオークションに出品したのは、ボーイの甥だとされるが、約1世紀を経て宝くじに当たったような気分だっただろう。オークション会社によると、落札額は予想を大幅に上回ったという。

 博士の最大の発見は「E=mc2」(エネルギー=質量×光速の二乗)だが、これは広島の原爆投下で検証されることになった。今回のオークションでは、博士の思想の痕跡を残すわずかな紙片もが絶大な資産効果を持っていることが実証された。

 亡くなった後もお金を稼いでいる有名人というと、1位はダントツでマイケルジャクソンで220億円だそうだが、一世紀を経て今なお光を放っている博士の人生観には脱帽ものだ。

 ただドイツ出身の博士は科学の研究に一生をささげたが、メモでは、長年夢見た目標を達成しても必ずしも幸せを約束しないと持論の幸福論を述べている。事実、結婚して送った家庭生活はあまりうまくいかず、妻とは離婚。ノーベル賞で得た賞金も、離婚の賠償金に充てられた。

 なお博士が残した名言の中で「本当の知性のしるしは、知識ではなく想像力だ」との指摘があるが、「成功には仕事、遊びに加え沈黙が必要」と指摘している。

 写真は日本からの招待を受け、フランスのマルセイユから出港した北野丸に乗ったアインシュタイン博士だ。博士はこの航海の最中にノーベル賞受賞の知らせを受けている。

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