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香港財閥トップの長江実業会長

李嘉誠氏の「さらば、中国」

 香港財閥トップとして名高い長江実業の李嘉誠会長は香港フラワーで知られる。広東省潮州出身の李氏は、放浪のあげくに香港へ流れ着き、1949に、香港にプラスチック工場を作り、造花を売り出したところ、香港フラワーとして大当たりとなった。日本へも大量輸出された。

 だが、一代で財閥を作るには労働集約型の製造業だけでは、とても無理だ。李嘉誠氏のすごみはその読みの深さと、勝負の時に借金してでもドンと大金を張れる度胸の良さだ。

 李嘉誠氏が今の財閥を築くことになった契機となったのは1997年9月1日の香港返還だった。当時は中国に返還されれば共産国家中国の影響下で、香港経済は混迷を余儀なくされると多くの人が考えた。そんな中で、李嘉誠氏は中国が「金の卵を産む鶏」の香港をつぶすはずがないと確信し、どんどん香港の不動産を買いあさった経緯がある。

 その李嘉誠氏の読み通り、香港の繁栄が続き不動産は高騰が続いた。この香港返還の博打に勝った李嘉誠氏は、次の投資先として中国本土の不動産開発に打って出て、主要都市にランドマーク的な高層ビルを次々と建てた。

 中国の不動産も倍々ゲームで高騰が続き、李嘉誠氏率いる長江実業とハッチソン集団は一時、株価だけで香港市場の時価総額の三分の一を占めたこともあった。

 しかし、李氏は突如、中国大陸に保有してきたほぼ全ての不動産物件を売り払った。人民日報は「逃げるのか、李嘉誠」と批判したが、我関せずと「私が建てたのはすべて価値ある不動産物件であり、高値で売却するのは商業の基本だ」とした。逃げではなく商道だと胸を張った。

 結局、中国で七つの旗艦ビルの売却総額は434億元(約7000億円)。

 これを見たアリババや大連万達集団など中国の新興財閥は、方向転換し海外企業買収に動き、中国から逃げの態勢に入っている。船が沈む時、ネズミはその前に逃げ出す。

 世界的権威である債権格付け機関「S&P」(スタンダードプア)は、9月21日、中国国債の信用格付けレートを「AA」から「A+」に下げた。五月にも同社は、一段階の格下げをしているから、ことし二回目だ。

 フィッチは2013年に早々と格下げをし、ムーディズも今年5月に格下げしている。理由は「中国の負債の増大は今後大きなリスクをもたらす怖れがあり、当面の小康状態の後に大きな懸念材料となる」とするもの。

 9月中旬、中国の李克強首相が国際通貨基金(IMF)や国際労働機関(ILO)、世界貿易機関(WTO)幹部を招いて主宰した金融会合で問題となったのは「理財商品」の残高1000兆円の行方だった。影の銀行、金融再建機構などを梃子とした複雑な借財隠し、その資金の輻湊した隠匿回路が問題となった。

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