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ASEAN発足から50年

日本に中国けん制力期待

 東南アジア諸国連合(ASEAN)発足から今年で半世紀が経過した。

 発足当初はベトナム戦争の最中で、インドネシアやマレーシア、タイなどが共産圏の防波堤して集まった。いわば、戦争の火花を受けることがないよう、相互にしっかり戸締りをしようということだった。

 それが2015年にはASEAN経済共同体を発足させた。それも5年前倒ししてのことだ。

 安全保障を契機として出発したASEANは経済活動で紐帯を強め、総人口6億人4000万人規模の政治主体に成長しつつあるが、ここにきて再び安全保障問題がASEANを揺るがすようになってきた。

 ASEAN諸国は当初、中国台頭は平和的なものと信じていた。だが、中国は地域覇権の本音をむき出しにし、すべての国に対し圧力をかけてきている。

 典型が南シナ海の領有権問題だ。

 南沙や中沙、西沙諸島に関し、フィリピンやマレーシア、インドネシア、ベトナムが領有権を主張しているものの、中国は独自の境界線・9段線を設定し、牛の舌のような形でほぼ南シナ海全域を占める領有権を主張している。

 7月にはベトナムが中国と領有権を争う南シナ海の海域で、石油の掘削を開始したものの作業停止を余儀なくさせられている。掘削を続けるなら南シナ海の南沙諸島に駐留するベトナム軍を攻撃すると威嚇したからだ。

 また中国は南シナ海の環礁を埋め立てて人口島を作り、滑走路やミサイルを配備した軍事基地造成に余念がない。

 ASEANの課題は、中国の覇権外交にASEANの統一性を保ちながら対処できるかだ。

 ASEANの組織的ネックは全会一致主義という、発足当初からの流儀が中国の分断工作をたやすくしている現実がある。

 いわゆる加盟国の一国でも反対すれば、その課題は棚上げされるかあいまいな表現に変えられるという全会一致主義は、中国が全面的にコントロールできる一部の国をつかむだけで「法的拘束力を伴う南シナ海の行動規範」問題などで時間稼ぎをすることを可能にしてきた経緯があるからだ。

 そうした中国へのけん制役を日本は求められている。

 元来、東南アジア諸国は特定の大国の影響下に入ることを嫌う。欧米の植民地を経験した歴史的記憶がそうさせる。だから、大国に飲み込まれないためのバランス外交にたけているのが東南アジアだ。そのためにも経済だけでなく安全保障を含めた日本の積極的な関与が求められる。

 ASEANにとってカードが一枚しかなければ、バランス外交をしようにもできないからだ。

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