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沖縄銀行糾弾第二弾 本誌特報取材班

沖縄金融債権回収機構の実態

元金・利息・損害金まで要求

 沖縄県那覇市にDビルという一風変わった名前の8階建てのビルがある。那覇市の中心街を貫く国際通りからも近い場所に位置する。このビルをめぐって地元銀の沖縄銀行と所有者との間でトラブルが発生している。同ビルの所有者は、間慶太氏である。儀間氏は、沖縄銀行からビル購入資金を借り入れ、居抜きで所有者となった。

沖縄銀行の〝損切り〟

 儀間氏が所有者となって、数年が経過した頃、数ヶ月返済を滞納したことで、融資元の沖縄銀行から、Dビルは危険債権となり、さらに回収不能債権とされた。そうなると、沖縄銀行は、不良債権を自行直系のサービサーに債権譲渡することになる。いわゆる〝損切り〟である。銀行は経理上、損失金として処理しているわけである。

 債務者である儀間氏は、サービサーからの取り立てを受けることになる。通常の母体銀行の取り立てより厳しさが増し、更なる窮地に追い込まれる事態となった。

 ここからトラブルが本格化してくる。

 2年前、すでに危険債権化していたとき、儀間氏のもとに予期しなかった朗報がもたらされる。同ビル1階に入っているテナント「Y医療法人」がビルをそっくり購入したいと申し出てきたのだ。

 「(医療法人は)2億5000万円を提示してきました。正直、光が見えた、と思いました」(儀間氏)。

 Y医療法人からの突然の申し出は、儀間氏にとって喜ばしいものだったが、しかし首を傾げざるを得ないような条件をつけてきた。そのひとつが「購入するまでの間、テナントは入れないで欲しい。」であった。

 そもそも経済の冷え込みでテナント不足が原因の心ならずの不良債権化したのに、あえて「テナントは入れないで欲しい」とは、儀間氏はY医療法人側の真意を測りかねた。それでもビルがそっくり売却できるならとその条件をのむことにした。

 ところが、いざ契約、という時になって、Y医療法人側から『待った!』がかかった。「『建築確認証明書がない』だから契約はできない、と言ってきたのです」(儀間氏)  結局、この話は流れてしまったが、この時、Y医療法人に手渡したビルの権利書がなかなか返還されず、弁護士を立てて取り戻した。儀間氏にとってはいささか後味の悪い結末になった。

債権回収機構(サービサー)のからくり

 こんな前段があったところに、次は融資元の沖縄銀行が儀間氏に難題をもたらす。同行系列のサービサーに、債権のDビルの〝管理〟を任せる、と言いだした。「通常、サービサーは債権回収だけを手掛ける特定目的会社です。各銀行は直系のサービサーをいくつも持っていて、危険債権や不良債権の回収を任せています」(都銀幹部)。今回もこのパターンを踏襲したと思われるが、よくよく聞いてみるとその実態は違っていた。

 銀行がサービサーに回収業務を任せる時には、債権譲渡をしなければならない。つまり、サービサーに債権を引き取ってもらうのだ(もちろん有償)。そうでなければサービサーは、回収行為ができない。当然のことと言えば当然のことである。そもそも、(傍系会社であっても)まったく他人の債権の回収をすることは法律で禁じられている。

 ところが、Dビルの場合、この肝心の債権譲渡が為されていない。

金融庁との見解の違い

 「沖縄銀行は、(債権譲渡は)あえてしないが、(債権の)管理だけをサービサーにやってもらっている。なんら問題はない、と主張していたが、金融庁の見解とは大きくズレている」

 この「美ら島債権回収株式会社」というサービサーは、確かに沖縄銀行の関連会社となっている。前述のように、サービサーは債権譲渡がされていなければ、第三者の債権には口も手も一切出せない。

 ところが、母体である沖縄銀行は、〝管理〟を任せているので、回収業務も含まれると主張するのだ。

 取材に対して沖縄銀行は、「個別の事案には守秘義務が有り一切お答えできません」(同行広報部)という。

  一方、儀間氏は責任を感じて、知人に買い手を探して欲しいと依頼した。現在、Dビルは、買い手が付き、儀間氏は一切の所有権はないが、買い手に多大な損害を与えてしまったと後悔している。

 Dビル売買の時には、「サービサーが主導して手続きしたが、何と、負債の元金と金利、さらに損金までをも全て請求され、その支払いに応じた経緯がある」(儀間氏)という。サービサー業務としてはあり得ない所業だ。

 法律の間隙を縫ったような今回の銀行およびサービサーのやり方には儀間氏は今でも疑問を払拭できていない。

 奇しくも沖縄銀行協会は「生存競争が一段と厳しさを増している中、苦しい経営状態に陥っている企業には、借入金の返済が猶予されるよう相談に乗っている」とのコメントを出している。しかし、沖縄銀行の上層部はDビルの実態をしっかり認識しているのだろうか。

(次号に続く)

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