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こんなものいらない?

信用保証協会 信用保証会社

銀行の貸し手責任を問う会代表 椎名麻紗枝弁護士

 「銀行の貸し手責任を問う会」事務局長の椎名麻紗枝弁護士は10月28日に、都内千代田区の中央大学駿河台記念館で「信用保証協会と信用保証会社」をテーマに報告し、中小企業を対象とした公的機関であるはずの信用保証協会が銀行の利益ばかりを代弁している側面と個人の債務をカバーする信用保証会社が銀行の取立て代行屋となっている現実を指摘した。昔、「こんなものいらない」というラジオ人気番組があった。今も身近な所に本当に必要なものなのかどうかと首をかしげたくなるようなものがいくらも転がっている。椎名氏は「銀行取引に関していえば、信用保証会社がそうだ」と断言する。以下はその要旨だ。

 信用保証協会と信用保証会社は、名称は似ているが違う。

 類似点は金融機関の債務を、債務者に代わって保証するというように言われているのは一致しているが、実際は違う。

問題がある信用保証協会の人事

 信用保証協会というのは公的制度で、中小企業の信用を補完することを役割として作られたものだ。全国に51あり、大体の都道府県に1つあるが、神奈川県や愛知県には複数ある。

 信用保証協会の人事も問題で、地方自治体からの天下りがほとんどを占めている。東京都からは財務担当者が理事長に就任し、神奈川県では副知事が理事長に就任して人事の点でも地方自治体と癒着している問題がある。

 地方自治体からの天下りで職員も銀行からといった形で、神奈川県だと横浜銀行職員や元銀行員が多い。彼等は回収業務にたけているのだろうが、問題は銀行目線で保証協会が運営されていることだ。

 信用保証協会は中小企業を対象とした公的な機関だ。その信用保証協会は、中小企業にとって大変大事な存在だ。ただ、今のままでは、中小企業が融資を受ける上でプラスになっていないところが問題なのだ。むしろ信用保証協会というのは、銀行の利益ばかりを代弁しているのではとの実態が問題になる。

銀行の約定違反

 その典型が、銀行が信用保証協会と交わした約定違反だ。

 銀行と信用保証協会では約定書を取り交わす。その第3条は「乙は、甲の保証にかかる貸付(被保証債権)をもって、乙の既存の債権に充てないものとする。ただし、甲が特別の事情があると認め、乙に対し承諾書を交付したときは、この限りではない」とある。

 保証をつけた融資を銀行のこれまでの債務に充ててはならないという約定規定だ。

 つまり、前に銀行から借りていた借り入れを、弁済してはいけないということだが、実際はこれがすごく多い。保証付き融資の返済が何に返済されたかというと、弁済に充てられているケースが実に多い。

 それを明らかにするには、銀行の取引履歴を請求する必要がある。

 だから、取引履歴を銀行に要求して、それを見れば分かる。そうしたことは許されていないのに、信用保証協会は自分が保証したものに関してトレースしないのか。ちゃんと追跡していないのかというと、そういうことはないだろうが、見て見ぬふりをしている。

 こうしたやってはいけないことが横行している実態がある。

国会に予備的調査要請

 この問題に関しては、国会で予備的調査をやって欲しいと要請したことがある。

 予備的調査というのは衆議院だけの制度なのだが、薬害エイズの時に厚労省で重要資料を取得していながらなかなか開示しなかったことの反省に基づいて、衆院議員50 人の賛成があれば、衆議院が内閣の方に予備的調査を要請できる。

 国会の質問趣意書では現在、明らかになっていることしか開示しないが、予備的調査の場合は改めて調査した上でやるから、これまでの「調査していなから分かりません」というのは通用しなくなる。

 この予備的調査を使って、信用保証協会の実態をあぶりだす必要がある。

債権飛ばし

 一方、保証協会は、個人の債務は保証しないことから、各金融機関が子会社として信用保証会社を作っている。

 だから、住宅ローンとか個人の債務に関して、三菱であればダイヤモンド信用保証、みずほだとみずほ信用保証といった具合に、各金融機関が自分の系列に信用保証会社を持っている。

 最近、問題になっているのが銀行が無担保でカードローンを発行していることだ。中には50万円、100万円、700万円といった高額な貸付をカードローンで銀行がやっているが、カードローンはほとんどがアコムとか系列の消費者金融にやらせている。

 いずれにしても信用保証会社に保証をつけるときに、皆さん言われるのが「債務を返済できなかった時に信用保証会社が代わって返済してくれる」と説明される。

 そこだけで終わって、ありがたい存在だと思い、高い保証料を払って信用保証会社と契約している人が多いが、実はそうではない。債務不履行の時に信用保証会社が代わりに弁済するものの、その後、信用保証会社が債権者になって、本当にひどい取立てをやってくる。いわゆる競売をかけたり、売掛金や金融を差し押さえてくることも辞さない。そうしたことを全く遠慮なしにしてくる。

 債務がなくなったと思ったのに、まだあるのとびっくりされる借り手もいるが、実際は債権が信用保証会社に飛ばされたに過ぎない。

追い出し屋のモデルに

 銀行とすれば、競売とか差し押さえは汚い仕事だ。それをやりたくないので、信用保証会社にそれをやらせているのが実態だ。

 だから、銀行よりも取り立てはひどくなる。連帯保証人に対しても過酷な取り立てをしてくる。

 こうしたことから、信用保証会社というのは債務者のためになっているのかというと、全くなっていない。こういうものを金融庁が存続させること自体が問題だと思う。高い保証料を、自分への債権回収のために払っているというのはおかしい。

 銀行が保証料を払って、信用保証会社に委託するというのならまだしも、債務者が何で払わないといけないのか。その根拠はない。名前こそ保証だが、全く保証になっていない。

 マンションやアパートの賃貸契約でも、信用保証会社が問題になっている。

 延滞賃料があったりすると、過酷な取立てをして、場合によっては残っている不動産なんかを勝手に売却したりする追い出し屋と呼ばれる存在となっている。

 この追い出し屋のモデルになったのが、銀行の信用保証会社だ。

 これは大きな社会問題で法的規制をすべきだ。

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