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積極防衛転換へ、長射程巡航ミサイル導入で

施政方針演説で首相

 1月22日に召集された第196通常国会での施政方針演説で、安倍晋三首相は、従来の専守防衛の延長線上ではなく「真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めていく」と語り、敵基地攻撃能力の保有を前提とした積極防衛策に転換する意向を表明した。

 首相は、北朝鮮の核・ミサイル開発を「重大かつ差し迫った脅威」であり、「安全保障環境は戦後、最も厳しい」と指摘。「(陸上配備型迎撃システム)イージス・アショア、(敵の防空システムの有効射程外から発射する)スタンド・オフ・ミサイルを導入するなど、わが国の防衛力を強化する」と語り、防衛大綱の見直しも進める考えを明らかにした。

 防衛省が導入を目指す巡航ミサイルは、米国製の射程約90キロの「JASSM(ジャズム)─ER」と「LRASM(ロラズム)」、ノルウェーなどが開発した射程約500キロの「JSM」だ。日本の領土・領海に侵攻する敵の艦艇や上陸部隊への攻撃を想定しており、射程の長いJASSMなどは能力上、日本から北朝鮮や中国、ロシアに届く。

 これに関し小野寺五典防衛相は「敵の射程の外から、脅威を排除できる」と説明。「敵基地攻撃を目的としたものではなく、専守防衛に反するものではない」とも強調、日米安全保障条約に基づき敵基地への攻撃は米軍に依存するとの現体制について「変更は考えていない」と語った。

 敵基地攻撃能力の保有については、約60年前の鳩山一郎首相(当時)が「誘導弾等の攻撃を受けて、これを防御するのに他に手段がないとき、独立国として自衛権を持つ以上、座して死を待つべしというのが憲法の趣旨ではない」と合憲判断の答弁をしている。しかし、「専守防衛」との整合性などから実際には敵基地攻撃のための装備は保有してこなかった。

 ところが、北朝鮮による核・ミサイルの脅威が深刻化し、自民党の安全保障調査会は昨年3月に、保有を政府に求める提言をまとめ、安倍首相に提出。今年も防衛大綱の見直しに合わせ、自民党の中谷元・安全保障調査会長は「春をめどに、政府に対する防衛の在り方の提言をまとめたい」としている。

 首相が「専守防衛は大前提としながら、従来の延長線上ではなく国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めていく」と語るように、国家・国民の安全が最優先事項のはずである。敵基地攻撃能力を保持するということの意味は、ひとたび国家の存立にかかわる危機の事態になれば、専守防衛は建前に過ぎなくなるのだ。方針転換はいつでも可能なのである。

 立憲民主党の長妻昭代表代行らは、長距離巡航ミサイル導入の検討について「姑息(こそく)な形で防衛政策を進めては国益に反する」と述べ国会論戦を求めているが、現実に即した防衛政策の立案・推進こそ、国益に沿うものである。

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