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霞ヶ関ファイル

上川陽子法相の記者会見 1・30/2・6

党、政権運営 1・30

 私から1件報告があります。法務省においては、真の難民の迅速かつ確実な保護を推進するため、難民認定制度の運用について更なる見直しを行うこととしました。近年急増する難民認定申請者の中には、我が国での就労等を目的として、明らかに難民とは認められないような申立てを行う申請者が相当数存在しています。法務省では、平成27年9月に難民認定制度の運用を見直し、濫用・誤用的な申請への対策を採っていますが、依然として、難民認定申請が急増しており、真の難民の迅速な保護に支障が生じる事態となっています。そこで、今回の見直しでは、庇護が必要な申請者については、更なる配慮を行うとともに、濫用・誤用的な申請については、これまでよりも厳格な対応を行うこととし、難民認定制度の適正化を推進してまいりたいと考えています。

【記者】最高裁判事に就任した宮崎裕子さんが、9日の記者会見で、最高裁判事として初めて結婚前の旧姓を使うと明らかにし、「選択的夫婦別姓なら全く問題ない。可能な限り選択肢を用意することが重要だと思う」と述べました。また、ソフトウエア開発会社の社長らが、日本人同士の結婚で夫婦別姓を選択できないのは戸籍法の欠陥で憲法違反だとして損害賠償を国に求めて東京地裁に提訴しています。戸籍法の改正についての大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】最高裁判事の記者会見での御発言及びソフトウエア開発会社の社長らから訴えが提起されたとの報道については承知しています。最高裁判事の御発言については、申し上げる立場ではありませんのでお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 一般論として、戸籍制度は、民法に従って定められる親族的身分関係を登録公証する制度であり、日本人同士の夫婦の姓については、民法に基づき定められることとなっています。選択的夫婦別姓制度を導入することについては、我が国の家族の在り方に深く関わる事柄であり、国民の皆様の間にも様々な意見があることから、平成27年12月16日の最高裁判決における指摘や国民的な議論の動向を踏まえながら、慎重に対応する必要があるものと考えています。

【記者】新たな難民認定制度の運用について、一昨年の難民認定申請数は1万人を超え、今年1月から9月までで1万4000人に達するとされています。この運用で濫用・誤用的な申請がどれくらい抑えられると、大臣はお考えでしょうか。

【大臣】今回難民認定制度の更なる見直しとして新たな取り組みをするわけですが、難民認定申請数は、平成29年9月までで1万4000人に達し、平成28年に比べて1・8倍と大幅に増加しています。申請者の中には、借金などの明らかに難民とは認められないような申し立てを行うもの、難民と認定しない処分を受けたにもかかわらず申請を繰り返すもの、また、より良い条件で就労することを目的として実習先から失踪した実習生による申請などが相当数存在しています。平成22年3月に、正規在留者が難民認定申請した場合に、申請から6か月経過後、一律に就労を許可する運用に変更したことが申請数急増の主な要因と考えており、就労を目的とする申請者によって制度が濫用・誤用されていると分析しています。依然として申請者が急増している結果、未処理数が急増し、処理期間も長期化していますので、今回の見直しでは、その成果がしっかりと上がるように、これまでの様々な分析の結果を踏まえ、理由も明らかに分かるところの判断を早い時期にして、そして真に庇護が必要な難民に対して、しっかりとした適正な対応ができるように全力を尽くしてまいりたいと思っています。具体的にどのくらいの削減率かについては、運用開始からしばらく経ってから成果を客観的に評価してまいりたいと思っています。

【記者】今回大幅に見直すということですが、もともと日本では難民認定者数は非常に少なく、認定率が非常に低い中で、国内外でも日本は難民に冷たいのではないかという評判もあるのですが、更に大幅に制限することになると、そういった評判が逆に広がるのではないかという指摘もあります。大臣は司法外交を積極的に進められている中で、海外に対する訴えはどのようにしていくお考えでしょうか。

【大臣】今回の見直しですが、そもそも難民の受入れを消極的にしていくという趣旨の話ではなく、真に庇護すべき難民からの適正な難民申請に基づく手続にしっかりと対応していくという本旨であり、消極的な方向に御理解されることにはならないと思っています。手続の運用については、十分御理解をしていただくことができるように、今日このような形でも発言をさせていただきました。また、これから様々な司法外交の展開の中でも、この問題についてそのように申しあげたいと思っています。

商法一部改正 2・6

【大臣】今朝の閣議においては、法務省案件として、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、人事訴訟法等の一部を改正する法律案、商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律案が閣議決定されました。

【記者】今の大臣の御発言にもありました3本の法律のうち、特に商法についてお伺いします。去年、衆議院選挙との関係で一度廃案となり、本日、再度閣議決定されましたが、明治時代から一度も改正されていない条文を見直すとともに、表記も現代用語化するなどの今回の改正について、改めて意味と狙いをお聞かせください。

【大臣】法律案の概要ですが、明治32年(1899年)の商法制定以来の社会経済情勢の変化や、世界的な動向への対応を図るとともに、利用者に分かりやすい法制とする観点から、商法及び国際海上物品運送法の一部を改正しようとするものです。今回の改正により、まず、国民生活の基盤をなす運送に関するルールが現代的・合理的なものとなり、かつ、予測可能性が高まります。例えば、運送品の滅失等による運送人の責任に関する期間制限を1年に統一することにより、企業の法的紛争への対応が長期化しなくなるなどの効果が期待されます。また、商法の全ての条文が平仮名口語体となり、利用者一般に分かりやすいものとなると期待しています。このような点で、今回の改正は、重要な意義を有するものと考えています。


【記者コラム】他人事になった難民の苦難

 上川陽子法相が「難民認定制度の運用についてさらなる見直しを行う」と語ったのは、難民認定申請者に一律に認めてきた在留や就労を大幅に制限することで、その理由は近年、就労目当ての申請者が急増しているからだ。

 2010年3月以降、政府は短期滞在や留学、技能実習などの在留資格者が難民認定を申請すれば、申請から6カ月後、一律に就労を認めてきた。それ以降、申請者が急増している。同年には、1202人だったが、16年には1万人を突破。昨年は9月までだけでも1万4000人に達した。

 就労を認めてきたことから、「日本で難民申請すれば働ける」という認識がアジア諸国を中心に広まっているとされるが、就労を厳しく制限することで、それを正し、就労目的の申請者を減らす効果が期待できる。申請者が減れば、短い審査期間で本当の難民を見つけ出すことも可能となろう。

 記者会見で「日本では難民認定者数は非常に少ない」と記者が言っているが、もともと日本に来たいという難民はあまりいない。難民認定者が少ないから、「日本は難民に冷たい」というのは表面的な見方である。

 一方、世界で難民が増えているにもかかわらず、難民に対する国民の関心が薄くなっているのは事実。わが国が難民認定制度を導入したのは1982年。背景には、共産主義の圧政から「ボートピーピル」として海上に逃れたインドシナ難民問題があった。戦火を体験した世代がまだ多く生きている時代には、平和な日本にも難民の苦難に心を痛める人が少なくなかったのだ。

 日本がもっと積極的に難民を受け入れるという難民政策を打ち出すなら、難民に対する国民の理解が不可欠だ。それはとりもなおさず、国際社会に生きる覚悟を問うことでもある。

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