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「尖閣・沖縄そして台湾」シンポ

シーレーン防衛で日米台が連携へ

 中国の強権台頭への対応をテーマにした「尖閣・沖縄そして台湾」シンポジウムがこのほど、都内で開催され、台湾安保協会副理事長の李明峻氏や元米国陸軍大尉で軍事コンサルタントの飯柴知亮氏らが東アジアの安全保障の視点から論じた。

 まず李明峻副理事長は「中国艦船が尖閣の接続水域に入ったのは2012年は244回で14年は571回だったが、17年は1000回を越え、中国空軍戦闘機の領空侵犯も急増。自衛隊機のスクランブル回数が急増している」と尖閣などをターゲットにした中国の挑発行為を報告。

 さらに李氏は「国家の安全を担保する上で、一番危険なことは危機感が欠落していることだ」とした上で、「高い軍事力を持つ日台が同盟を結べば、強い同盟となる。日台には共通の敵が存在し、運命共同体でもある。しかし、軍事協力もない。日米は同盟国家で、米国と台湾は台湾関係法があり、武器も米国から購入している。しかし、日本と台湾の間に何もない。あるのは心だけで、軍事協力も共同演習も何もやっていない」と述べ、日本版台湾関係法の制定を求めた。

 軍事コンサルタントの飯柴知亮氏は「台湾をとられたらすべて終りだ。中国のやりたい放題になる」と述べ、「日本の防衛を考えるなら、まず台湾を防衛しないと始まない」と強調し、台湾の安全保障を担保することが東アジアの安全保障で最も重要な課題になるとした。

 さらに飯柴氏は、中国人民解放軍の実力にも言及し「改造して作った最初の空母『遼寧』は、ガラクタで何の役にもたたない」と強調。その理由として「空母は一隻では何もできず、艦隊が必要だ。音楽に例えるならオーケストラで交響曲を奏でるのと同じ。1人、2人、うまい楽器を弾ける人がいるだけでは駄目で、全員が一糸乱れず、行動する技術が必要となる」とした上で「これは一朝一夕で出来ない。中国といえども、かなりの時間が必要だし、時間をかけてもできるかどうか分からない」とし、「今のところ、米国を追い抜く心配はない」と指摘した。

 一方、米軍について飯柴氏は「米海軍は今年前半、最新式原子力空母のジェラルド・ フォード(CVN78)を進水させた。これは米国の軍事技術の粋を集めて作った自信作で、2021年にはCVN79 が、25年には、その次のCVN80が進水する予定だ。この3隻が就航すると中国は手も足も出なくなる」と述べ、米中の空母力は差がどんどん開いているとの基本認識を示した。

 国際政治学者の藤井厳喜教授は「米国のプライオリティーははっきりしている。一番の敵は反米テロ集団の「イスラム国(IS)」だ。次が米国の覇権にチャレンジしている中国。3番目の脅威はロシアだが、ロシアとの関係調節は可能だとの立場だ」と指摘した上で「アジアから米を追い出させるようなことは絶対、許してはならない」と強調した。

 また藤井教授は「日本は憲法9条を改正し、自分の国は自分で守るようにしないといけない。ただシーレーンを守るには、孤立主義ではなく米国や台湾とも協力しないといけない」とし、「グローバルスタンダードで認められる軍隊を日本は作る必要がある。それでこそ米国や台湾とも本当の連携ができる」と総括した。

 昨年末、台湾で発表された防衛レポートによると、「中国軍の急速な軍備増強の中、台湾は複数の抑止戦略が必要」と総括している。

 中国は台湾周辺での演習を強化し、中台はダビデとゴリアテのような戦力格差が鮮明になっている。中国人民解放軍の総兵力230万人に比べ台湾軍は21万人。日常的な脅威にさらされている台湾とすれば、相手の弱点を狙う非対称戦略がポイントになる。

 安全保障の脅威は「能力と意思」の問題だが、中国側の圧倒的な武力と高い意思は維持されたままだ。

 なお、米連邦議会下院は1月9日、米国と台湾の政府高官の相互訪問を解禁する「台湾旅行法」案を全会一致で可決した。同法案は昨年、下院外交委員会のエド・ロイス委員長らが共同で提出し、下院外交委員会「アジア太平洋小委員会」で6月に全会一致で可決していた。同法案は上院で可決された後、大統領が署名し、法律として発効すると、台湾の蔡英文総統が「国家元首」として、ホワイトハウス訪問が可能になる。

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