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2017.11.17

会期の対決避け通年国会に

 特別国会の会期をめぐり、8日間を主張していた与党と、大幅な期間を主張していた野党との対立が決着し、12月9日までの39日間になった。与党側が「謙虚な」国会運営に努める方針から野党側の要求を受け入れての結果だ。首相指名選挙が主な目的の特別国会の会期が1カ月を超えるのは2005年以来である。

 二階幹事長が、「国会は与党と野党とが一緒になって協議をしながら円満に事を運んでいくのが一番大事なところ。国会の会期を何日までに決めるということで競争をして議論を重ねていくなんてつまらんこと。いくらでも時間を割いてやれば良い」と指摘するように、日程そのものを与野党の対決事案にするのは愚かなことである。

 ただ、そうは言っても与党は、野党の質問の時間短縮については譲らない構えだ。自民党の若手有志は与党質問を増やすよう二階幹事長に要請し、二階氏は「努力する」と約束した。質問時間に関しては、もともと会派の所属議員の数に応じて時間配分することになっている。これまでは、野党に配慮してかなり多くの時間を野党側に割り振ってきた。それを「議会のバランスが壊れれば国民にとって良くない」(辻元清美・立憲国対委員長)との理屈で質疑時間を確保し続けようとしているのだが、問題は何を議論するかだ。森友・加計問題での関係者の証人喚問要求など目立とうとすることばかりに走り、緊急課題に取り組めないのであれば、それこそ「国民にとって良くない」。

 北朝鮮危機への対応、中国の領海侵犯対策、憲法改正、少子化対策などを徹底して議論する。そのために与党だけでなく、野党も積極的な対案を提示して建設的で有意義な国会とするよう努めるべきだ。国会議員の職務が国民・国家の安全にあることを思えば、常に課題に対処し与野党議員の発言時間をもっと確保できるよう通年国会にしてはどうか。

2017.11.17

「三党物語」は夢物語に過ぎない

 民進党の新たな代表に選ばれた大塚耕平参院議員は、次の総選挙で本家の民進と分家の立憲民主、希望を中心に政権交代を実現するとの「三党物語」を構想している。

 だが、「立憲も希望も立ち上がったばかりで、それぞれが独立独歩、態勢を整え、そして総選挙に向けて除々に信頼関係を構築していく」というもので、時間がかかるし、政策面でもどこまで共闘できるのか疑問符が付きまとうのが実情だ。

 すでに、改憲、安保法容認の政策軸で衆院選を戦った希望は、同じ分家で枝野幸男氏率いる立憲民主とはスタート時点から基本政策が違う。小池百合子氏との共同代表を選ぶ代表選が11月10日に行われるが、その時点で改めて改憲・安保法容認支持者が共同代表に選出されれば、立憲との共闘は間違いなく困難になる。枝野氏としても比例1100万票(得票率19・8%)という支持を背景に、次の総選挙には過半数の候補者を立てるとの意気込みを示し、本家の民進とさえ協力関係に待ったをかけている状況だ。

 大塚氏は「信頼関係の構築」をしながら次の衆院選に臨むというが、刻々と三党には遠心力が働いている。衆院選直前に模索された小池都知事、松井大阪府知事、大村愛知県知事の連携による「三都物語」をもじって「三党物語」と命名した大塚氏だが、前者があっという間に瓦解したように、「三党物語」も夢物語に過ぎないのではとの声もある。

2017.11.17

旧姓使用は男女格差改善の初歩

 政府はこのほど、国家公務員の旧姓使用を、対外的な書類を含めてすべての省庁で原則認めると発表した。女性活躍推進法が施行してから、1年半。今回の決定は女性が働きやすい環境づくりを一歩前進させるが、男女の格差解消の壁はまだまだ厚い。

 国家公務員の旧姓使用については2001年7月、各省庁人事担当課長会議申し合わせで、職場での呼称、座席表、職員録、出勤簿などで認めることを決めた。しかし、役所の外に出す公的文書まで認めるかどうかは、各省庁の判断に任せられていた。

 民法は、結婚した場合、夫婦は、夫と妻のどちらかの姓を名乗ることを規定しているが、実際は、9割以上は妻の側が姓を変えている。結婚し、新しい姓に変えることを不便と思わない女性がいる一方で、原稿の執筆者名に代表されるように、姓を変えると、仕事に支障がでる場合もある。

 このため、夫婦同姓は、女性がさまざまな不利益を被っており、憲法の男女平等の原則に反するとして、違憲訴訟が起きてもいる。これについて、最高裁は2年前、家族の呼称として意義があるとして、夫婦同姓に「合憲」判断を下したが、女性の不利益は、旧姓の通称使用を広がることで緩和できるとした。この流れからしても、国家公務員の旧姓使用拡大は当然のことだろう。

 世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表している「ジェンダー・ギャップ指数」、つまり男女平等の度合いで、我が国は昨年、144カ国中111位だった。この数字が日本の男女平等の実情を正確に反映しているとは思えないが、政界への女性の進出や、賃金格差など、政治・経済分野での改善速度が鈍いのは事実である。女性の所得の改善や官民の高位職への登用が大きく進むことが今後の大きな課題だが、それには男女の意識改革が不可欠であることを忘れてはならない。

2017.07.22

ケンカの相手間違えた幹事長

 7月2日投開票の都議選の結果、自民党は歴史的な惨敗を喫した。二階幹事長の都議選告示(6月23日)前の20日の記者会見では、国政と都議選との直接的な関係を否定し、「都議選は地方の県議会の選挙と一緒じゃありませんか」と高をくくっていた。

 ところが、選挙戦に入るや、朝日や毎日などによる常軌を逸した国政批判報道が展開され、それに連動したテレビのワイドショー番組が都政の問題よりも、森友・加計疑惑、自民議員の相次ぐ問題発言などに照準を当てての安倍政権批判を激化させた。その空気に怒った二階幹事長が「新聞をお金を出して買っている。

 そのことを忘れてはだめだ。落とすなら落としてみろ。マスコミが左右すると思ったら大間違いだ」と反応。メディアとの大喧嘩に巻き込まれてしまったのだ。ケンカ上手のはずの幹事長のミスと言っていい。

 麻生太郎副総理も「マスコミは言っているだけで責任はなにもとらない」と火に油を注ぐ始末で、低俗なテレビコメンテーターたちから逆砲火を浴びてしまった。つまり、「都議選は都議選」(二階幹事長)と言っておきながら、政権に批判的なマスコミの土俵に乗せられてしまい、野党による政権追撃の場である臨時国会を開くか開かないかは「都議選の結果を見て判断する」(自民国対委員長)との言質を取られてしまったのである。

 ここから見えてくるのは、自民党が2流3流の若手新人を集めた都民ファーストに都議会第一党の座を奪われ大敗したというより、中立性を欠くメディアの挑発に負けたのである。今後も「マスコミが左右すると思ったら大間違いだ」と突っ張るだけでは、明るい展望は開けまい。

2017.07.22

見苦しい蓮舫無責任論の言い訳

 都議選大敗北で党の存在意義すら問われる民進党だが、野田佳彦幹事長による「蓮舫代表に責任なし」論は見苦しい言い訳の連発だ。

 野田氏によると、蓮舫代表は今回の都議選で「一番精力的にマイクを握って先頭に立って公認候補を応援した。選挙で人を集める存在感は依然としてある」のだという。一生懸命に汗を流して応援し、聴衆を多数集められれば大敗北をしても責任はないというわけだ。

 だが、そうではあるまい。それを政党支持につなげられなければ党の存在価値自体に問題があるのであり、当然、代表の責任論に行き着くだろう。野田氏がサッカーを例に挙げ、「懸命にドリブルして、敵陣に攻撃していった。最後ゴールを決めたのは都民ファーストだが、この攻撃があったがゆえに自民党の大敗につながった」と平然と言ってのけたが、そこには民進党としての矜持は全く感じられない。

 「やはり受け皿となるためには、我々が政権を取ったら何をするかという、きちっとした政策の体系を打ち出す」(野田氏)といった決まりきった反省の弁も、もはや聞き飽きた口先だけの模範解答だ。松原都連会長が主張するように、解党的出直ししか再生の道がないはずだ。

 そのためには、蓮舫代表、野田幹事長辞任は当然のことのはず。自民大敗北の陰に隠れて続投するようでは、離党議員続出の流れは止められまい。

2017.07.22

「政争」に加担する記者

 「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法がようやく成立した。成立翌日(6月16日)の法相記者会見で「反対する声が最後まで出続けた原因は?」と、記者が質問しているが、原因は明らかである。3年後に東京五輪を控え、テロの標的になる危険性が高まっているにもかかわらず、その防止策そっちのけで、政権攻撃を目的とした「反対のための反対」が続き、しかもそれをメディアが煽ったからだ。

 法案についての論議が政争の具となったことはメディアの報道を振り返るとよく分かる。産経、読売など安倍政権に肯定的な新聞は「テロ対策」に力点を置いて報道し、そのメディアが行う世論調査では法案賛成が反対を上回った。

 一方、朝日、毎日など安倍政権に否定的な新聞は「一般人も捜査対象になる」など、否定的な報道を繰り返した。その結果、彼らの世論調査では反対が賛成を上回るか、賛否が拮抗するという結果になっていた。  要するに、世論を誘導する報道を行ったのだ。

 この流れをみると「一般人が処罰されることもあり得る?」と、〝一般人〟という文言を使って質問した記者は、法案に反対であることが分かる。しかし、法相も述べたように、組織的犯罪集団と関わらない一般人が処罰されることがないのは当然のこと。それをあえて、持ち出したのは記者が政争に加担しているからで、わが国のジャーナリズムのレベルを示している。

2017.05.27

9条改憲案で自民はまとまるか

安倍晋三首相が5月3日の民間団体主催の改憲推進派大会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新憲法施行の年にしたい」との決意を表明した。いよいよ安倍政治の本丸である憲法改正に乗り出すことを明言したわけだ。8日の二階俊博幹事長の記者会見は、この総理発言に関して集中したが、自民党執行部としては首相を支えていく姿勢を打ち出したことで今後の国会での主要テーマに浮上することになろう。

問題は、首相が9条の条文をそのまま残して自衛隊の存在を加える加憲案をどうまとめられるかだろう。党内の一部からは慎重な声もあるため、「党内の意見をまとめていく手法として、ある程度時間をかけるのもいいけど、時間がかかりすぎてもしょうがない」(二階幹事長)。そのため、今ある党憲法改正推進本部(保岡興治本部長)の下に小委員会を設け「自衛隊」と「教育無償化」に絞った改憲案を早期にまとめる方向だ。

ただ、「教育無償化」は改憲勢力に取り込みたい日本維新の会の主張を入れたものに過ぎない。あくまでも改憲のキモは、9条である。2項の「戦力を保持しない」の文言を残したまま、2012年に公表した自民党改憲案では「国防軍」と位置付けた自衛隊の存在を書き込むにはどういう案文が可能なのか。首相は9日の参院予算委で「党内議論を加速し、憲法審査会への提案をいかに苦しくてもまとめる」と答弁したが、今ほど英知の求められるときはないだろう。

2017.05.27

遠のく「提案型政党」のイメージ

安倍首相の呼び掛けで改憲論議が活発化してきたが、国家の在り方や国民の安全にかかわる憲法論議に民進党は非常に消極的だ。他国からの防衛や大震災を想定した危機管理についてまともな議論をする気が薄いのではないかとの疑念は募るばかりである。

野田佳彦幹事長の4月24日の記者会見でも、「憲法調査会を置いて党内の議論をやり、その議論をよりどころとして憲法審査会に臨むということをやっている」とは言うものの実際に建設的な議論を行う姿は見えてこない。

代表代行だった細野豪志氏が改憲私案を発表してすぐさま辞任したのは、改憲に対して消極的な執行部との「考え方の違い」からだった。蓮舫代表に至っては「首相は口を開けば(改正を目指す)条項が違う。誰のために改正するのか」と首相批判を最優先し、中身の話には入ろうとしない。これでは国会における憲法審査会での議論も集約に向かうのは難しいだろう。

この姿勢を更に後押ししているのが、憲法の全条項を守るので改憲は無用と主張する共産党だ。民進党にとって、国政レベルでの共産党との選挙協力は、昨年の参院選で示されたごとく魅力的で、党存続のための前提だと主張する声が同党内で強まれば強まるほど、改憲の主張は控えめにならざるを得ない。そうなると「提案型政党」のイメージがますます遠のいていく。だが、改憲派の議員は党内に少なからずいる。民進党はいま、そのジレンマに陥っている。

2017.05.27

国際基準無視し重箱の隅つつく

マスコミの記者の役割の1つは、権力による人権侵害を防ぐことだ。したがって、立法行為を厳しく監視するのは当然である。しかし、テロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案についての対応はお粗末すぎる。大臣答弁の稚拙さも問題ではあるが、テロへの備えの国際標準を無視して、重箱の隅をつつくような質問を続ける記者たちは人権を守るどころか、結果としてテロの危険性を高めて、国民の生命を脅かすものでしかない。

同法改正案について、未然防止に役立つ「イメージが湧かない」との抽象的な質問や、テロ等準備罪は「呼称か」など、さまつな質問を繰り返す記者を見ると、3年前の児童ポルノ禁止法改正を思い出す。

児童ポルノの「単純所持」を禁止する規定を盛り込むための同法改正は2014年に実現した。しかし、所持を禁ずれば、えん罪による人権侵害が横行するなどと、当時の民主党やマスコミが強く反対し、長く議論が進まなかった経緯がある。

わが国で、児童ポルノ禁止法が成立したのは1999年。その当時から、所持禁止規定がないことは国際社会から批判されていた。同規定がなかったのは先進7カ国(G7)の中では、日本だけだったからだ。

つまり、児童ポルノの製造・販売を禁じても、所持を禁じなければ需要を断つことができず供給も撲滅できない。だから、所持を禁じるのは国際基準だったのだ。所持を禁じる法改正は実現したが、それによってマスコミが懸念した人権侵害はまったく問題になっていない。

国際組織犯罪防止条約(TOC条約)締結国は187カ国に上る。しかし、3年後に五輪を控えてテロの標的になる懸念が高まる中、先進国日本が条約締結の条件となるテロ等準備罪を新設できないのは、テロに対する危機意識において、いかに国際基準からずれているかの証左であろう。それを象徴しているのが記者たちである。

2017.03.27

格好つける古い組織の打破を

自民党の党員数が久々に100万人台を回復した。野党に転落した2009年以後、100万人台を割り込んでいたが、16年には前年比5・7%(約5万7千人)増加し、104万3790人になった。政党別党員数では他党を寄せ付けずダントツだ。政党支持率も時事通信社の調べによると、自民が今年2月の時点で26・1%であるのに比べ、野党第一党の民進党は消費税率8%にも届かないわずか4・3%と風前の灯の感である。

そればかりでない。民進党の支持母体であるはずの産業別労働組合の「基幹労連」(鉄鋼や造船重機など組合員約26万人)が昨春、組合員に支持政党をアンケートしたところ、自民党支持が民進党を上回ったことが判明したのである。基幹労連と言えば、連合の神津里季生(りきお)会長の出身母体だ。もっとも、昨年7月の参院選後に再調査したところ、今度は民進党の支持が上回ったというが、そこまで自民党が食い込んでいるということなのだ。

この好調に関して、自民党の二階俊博幹事長は、約7000の全国の地方支部と党中央とのコミュニケーションの重要性を指摘した。だが、もっと本質的な原因があろう。安倍首相が3月5日の党大会で「自民党は憲法改正の発議に向けて具体的な議論をリードしていく。それこそが戦後一貫して日本の背骨を担ってきた自民党の歴史的使命ではないか」と呼び掛けたように、立党の原点を忘れずに国民をリードしているところに党の求心力が高まっている。そのことを忘れてはならない。

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