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2017.03.27

格好つける古い組織の打破を

自民党の党員数が久々に100万人台を回復した。野党に転落した2009年以後、100万人台を割り込んでいたが、16年には前年比5・7%(約5万7千人)増加し、104万3790人になった。政党別党員数では他党を寄せ付けずダントツだ。政党支持率も時事通信社の調べによると、自民が今年2月の時点で26・1%であるのに比べ、野党第一党の民進党は消費税率8%にも届かないわずか4・3%と風前の灯の感である。

そればかりでない。民進党の支持母体であるはずの産業別労働組合の「基幹労連」(鉄鋼や造船重機など組合員約26万人)が昨春、組合員に支持政党をアンケートしたところ、自民党支持が民進党を上回ったことが判明したのである。基幹労連と言えば、連合の神津里季生(りきお)会長の出身母体だ。もっとも、昨年7月の参院選後に再調査したところ、今度は民進党の支持が上回ったというが、そこまで自民党が食い込んでいるということなのだ。

この好調に関して、自民党の二階俊博幹事長は、約7000の全国の地方支部と党中央とのコミュニケーションの重要性を指摘した。だが、もっと本質的な原因があろう。安倍首相が3月5日の党大会で「自民党は憲法改正の発議に向けて具体的な議論をリードしていく。それこそが戦後一貫して日本の背骨を担ってきた自民党の歴史的使命ではないか」と呼び掛けたように、立党の原点を忘れずに国民をリードしているところに党の求心力が高まっている。そのことを忘れてはならない。

2017.03.27

細野改憲案で議論の加速も

衆議院の憲法審査会が3月16日、今国会で初めて開かれる。昨年11月に議論を再開したものの議論はストップ。まずは参政権の保障をめぐる問題をテーマに議論する。大規模災害をはじめとする緊急事態での国会議員の任期の在り方などについて各党が意見表明や自由討議を行い、その後は、戦争やテロ、大規模災害などに対応するための「緊急事態条項」や「衆議院の解散権の在り方」について、参考人質疑を行うことになる。

そこで急きょ注目されているのが民進党の細野豪志代表代行の言動だ。4月上旬に 細野グループが改憲案を提示するという。しかも、審査会で議論するテーマの緊急事態や危機管理の問題で具体的な提案を想定している。(民主党がまとめた)2005年の「憲法提言」の方向性とも一致し、それを「深掘りする」案だと細野氏は語る。

「憲法提言」と言えば、新たな統治機構を確立し、「分権国家」の創出などを唱える創憲案なので、懸念は消せない。ただ「大いなる憲法論議のための『提言』をもって行動する」と議論の活発化をうたっている点では大いに期待できる。

この「憲法論議の土台」と位置付けた「提言」に対して現行執行部の誰も反対できまい。それをどう「深堀り」し「具体化」するのか。現在、改憲派の議席は衆参両院でそれぞれ3分の2以上を占めているが、細野グループが提示する内容次第では、改憲政党もその議論の土俵に乗る可能性は十分あり得よう。

2017.03.27

次元低い質問によるテロ対策潰し

「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案について、国民の7割は賛成との調査結果がある。東京五輪が近づくにつれて、テロの懸念が高まっているのだから、当然のことだろう。

だが、左派系の新聞・テレビを中心に反対するマスコミが多い。法律が拡大解釈されて、無垢の一般人の人権侵害の恐れがあるというのが表向きの理由だが、単なる反自民活動とテロ対策潰しの一環ではないか。法務大臣に対する記者たちの、低次元な質問の繰り返しを見ると、そう思えてくる。

たとえば、ある記者は「ある会社の性質が一変して組織的犯罪になったとしても、構成員でない人には捜査が及ばないのか。組織的犯罪集団になったのを知らない人は捜査対象になるのか」と質問している。これに対して、法相は「容疑者として嫌疑がなければ捜査対象にならない」と、明確に答えているが、それでも記者は「容疑者として嫌疑ある」とはどのような状況を指すのか、とさらに質問している。

それについては、現段階としては、一般論として刑事訴訟法にもとづき、警察官が犯罪の嫌疑があると認めた時に捜査を行うとしか、答えようがないことは明らかであろうに、記者たちは同じような質問を何度も繰り返している。

さらには「犯罪計画に加わっていない者」も処罰の対象となるのかと、あたかも誰もが処罰の対象になるかのような印象を与える質問も行っている。これではもはや、記者会見での質問というよりも、記者の特権を使った嫌がらせである。

2016.11.20

「解散は直ちにない」と開き直り

衆議院の解散は総理の専権事項のはずにもかかわらず、自民党の二階俊博幹事長は〝オオカミ老年〟のごとく「解散は近い」との発言を繰り返してきた。それが10月28日の記者会見では、経済の立て直しが重要なので「直ちに解散どうこうは総理の念頭にない」と開き直って修正したのだ。

「安倍首相に忠実な幹事長」が定評の二階氏。来年の1月か2月にも解散するかのような二階発言が、首相の意を受けて行われなかったはずはない。先の総選挙で獲得した290議席のうち約120人が当選1、2回の安倍チルドレンだが、彼らは皆、安倍人気で当選してきたため、次の選挙も楽勝と選挙準備を怠っている。首相にはそう見えていたのだろう。気持ちの引き締め効果が出てきたところで、菅義偉官房長官による(一年中吹いている)「偏西風発言」での火消しとなったわけだ。

確かに12月で衆院議員の4年の任期は折り返しを迎える。解散がいつあってもおかしくない。ただ、現状では、解散の大義がないばかりか、7月の参院選1人区で証明されたTPP(環太平洋連携構想)に対する根強い反対や日露交渉の不透明な先行きなどで国民に訴えるべき成果が何もない。野党の敵失が頼りではせっかく確保した憲法改正に必要な3分の2議席も失ってしまいかねない。解散風は今の時点では沈静化に向かっている。

2016.11.20

民進党再建は全国行脚から

民進党が悩みの淵にいる。先の参院選で共闘し事実上、助けてもらった共産党から「連合を取るのか、共産党を取るのか」の二者択一を迫られているからだ。一方の主要な支持労組の連合からも、「共産党は目指す国家像が違うので、共産党との共闘は反対」と責められている。

まるで二人の恋人から迫られて「どちらを選ぶの」と回答を求められているようなものだ。野田佳彦幹事長らは「どちらも大切」だと言っても、当の本人たちには通用しない。野田幹事長にとっては「できる限りの協力を具体化する」と言うのが精一杯なのだ。

そこに登場するのが機を見るに敏の小沢一郎・自由党代表だ。「幹事長就任のお祝い」を名目に、消費税でケンカ別れした野田氏と久しぶりに会談。いろいろと指南をした。その一つが全国行脚だ。小沢氏も師匠の田中角栄氏もこまめに選挙区を回り、さまざまな声を拾い上げそれを支持につなげた。

そこで、野田氏は11月5日夜には岐阜で連合幹部と酒を飲みながら意見交換。今後も週末には全国を回って地方幹部との交流を深める方針だ。党の再建は全国行脚から、というのが野田氏の確信になったようだ。少なくとも「相互推薦・相互協力」を求める共産党に配慮し続ければ、国民の幅広い支持は得られず政権奪取への足掛かりを得ることはできないだろう。

2016.11.20

「二重国籍」で露呈する政治レベル

「二重国籍」問題を抱える政治家が野党第一党の党首に選ばれることこそ、政治の質の低さを露わにするものはない。国籍とは、政治の最重要課題である国益と直結するからだ。

いかに世界がグローバル化しようとも、それぞれの国益を追求するのが政治であることは変わらない。とくに、隣国・中国が覇権主義を強めている現在、どの政治選択が国益につながるかを見分ける能力を欠いた政治家は国会議員失格である。

1987年、17歳の時に日本国籍を取得した蓮舫氏は、国籍法によって、22歳までに国籍を選択する義務があった。国籍の選択方法は外国国籍の離脱か、日本国籍の選択宣言かのいずれかだが、法相と記者のやり取りからも分かるように、同氏は25年以上わたって国籍法上の国籍選択義務に違反していたのはほぼ間違いない。

その間、参議院議員として3度当選しただけでなく、民主党政権下では閣僚も務めている。長い間、国籍法に違反しながら政治活動を行っていただけでも「有権者を裏切る行為」であろう。

しかも、蓮舫氏にはもう一つの汚点がある。自らのアイデンティティーや国籍についての過去の発言が一貫性を欠き「日本」「台湾」「中国」と時と状況において使い分けていた。これでは、外国なら「即、退場」のケースであるが、そのような女性政治家が野党第一党の代表に選ばれた理由は単純。「選挙の顔」になるからだ。

これが、日本の政治家が有権者を軽く見ている証左だが、逆に言えば、政治家にそう思わせる政治意識の低さが有権者にあるということ。そして、二重国籍問題で説明責任を果たそうとしない政治家が野党党首であり続け、首相の座を狙おうというのなら、これもまたわが国の民主主義のレベルを象徴する政治状況である。

2016.09.21

二階幹事長の最初のハードル

自民党の二階俊博幹事長が9月2日に、都内の料理店で渡部恒三元衆院副議長と会食した。渡部氏は田中角栄元首相が率いた田中派の大先輩で、「田中角栄幹事長以来の幹事長だ」と二階氏を持ち上げて激励した。

二階氏は自民党分裂の際、小沢一郎氏に付いていきながら目を合わせない間柄となり、同じく小沢氏と決別した熊谷弘氏らと保守新党を結党したが、その後、自民党に復党した。谷垣禎一氏のまさかの事故で、事実上、党のトップに躍り出たわけだ。

二階氏の〝特技〟は朴訥な語り口の一方、機を見るに敏であること。消費増税の先送りでは安倍首相の思いを汲んで先送りの提言をし、昨年の総裁選前には安倍再選を唱え、最近では総裁任期の3期9年への延長を早々と唱えた。安倍氏にとっては、あり難い助太刀だ。77歳でまさか総裁を狙う野心があるとも思えない。

記者会見では総裁任期延長論について、二階氏は「3期9年や制限そのものを撤廃するといった案が出ているが」との質問に対して「そういう意見が党内にもあった。この段階へきて私がどうすればいいなどということを申し上げるのは適当ではない。これは万機公論に決すべしだ」ととぼけてみせたが、年内決着を図り、来年1月の党大会での発表に持ち込みたいのは明らかだ。

ただ、それに待ったをかける人物が党総務会の一員になった。石破茂前地方創生担当相だ。石破氏は、延長反対を公言しており、全員一致の総務会で果たして「延長」をまとめ上げられるのか。細田博之新総務会長とともに、二階氏が乗り越えなければならない最初のハードルとなろう。

2016.09.21

「押し付け憲法」撤回は難しい

民進党の岡田克也代表は以前に、「安倍政権の下では改憲論議をしない」と述べていたのだが、参院選後、徐々に軟化し、改憲論議を始める前提さえクリアされれば論議をしても構わないと発言するようになった。当時の自民党の稲田朋美政調会長が「ずいぶんブレられたのですね」と皮肉ったが、真面目ながらも軸のない岡田氏らしさの表れとも言えよう。

その前提とは、安倍首相が現行憲法は押し付けられた憲法だという発言を間違いでしたと修正することだと言うのだ。だが、現行憲法は明らかに米国に押し付けられたものなので、安倍首相が取り消すはずはない。この一点にこだわり続けるなら岡田氏自身がよく勉強し直して修正するしかない。

岡田氏は記者会見で「憲法の草案を(誰が)書いたかどうかよりも、それが日本国憲法になったプロセス、あるいはその後70年間、日本国憲法を日本国民が育んできたという事実の方がずっと重要なことだと思っている」と語ったが、誰が書き、それをどういうプロセスで制定したかという点が根本的に重要なことのはずだ。

それについて、米国のバイデン副大統領が「日本が核保有国になれない憲法を私たちが書いた」と発言した。米大統領選の最中とはいえ、重要な発言であることは間違いない。岡田氏は「この(バイデン)発言には分からないところがある。日本国憲法の条文をきちんと踏まえた発言ではない。副大統領として不適切な発言だ」と批判したが、誰が書いたのかをまず押さえておく必要がある。

岡田氏はまた、プロセスを問題視したがこれまた米国主導であったのが歴史的事実だ。マッカーサー元帥が「2月12日のリンカーンの誕生日までに憲法草案をつくれ」と厳命して作らせ、ジョージ・ワシントンの誕生日の2月22日に閣議決定し、草案を決定したのだ。日本の国会で議論したのも日本人に作らせたという一種のアリバイ工作のようなもの。

国会で議論したといっても、目立ったのは日本共産党が「憲法第2章(9条)は、わが国の自衛権を放棄して民族の独立を危うくする危険がある」などとして反対討論を行った程度である。

つまり、現行憲法は主権が制限されていた占領期間中に作られたので、独立国の持つ憲法の体裁をなしていないのである。

岡田氏は9月15日に、代表のポストを降りるが、憲法の勉強を深めてみてはどうか。

2016.09.21

夫婦同姓の価値説け

最高裁は昨年末、民法の夫婦同姓規定をめぐる訴訟で、同規定に「合憲」の判断を示した。その理由は①1898年に制度として採用された夫婦同姓はわが国の社会に定着している② 家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位であり、その呼称を一つに定めることには合理性がある③家族の一員であることを対外的に示し、子供が両親と同じ姓である仕組みに意義がある④旧姓を通称として使用することは社会に広まっているので、姓を変える不利益は緩和されている、というものだ。

特に、この判決で注目されるのは、「家族の多様性」という、新聞・テレビが拡散させる風潮に影響されることなく、社会の基礎的な集団単位としての家族一体性の示すものとして、夫婦と子供が同性である意義を積極的に認めたことだ。

英国の保守主義思想家として知られるT・S・エリオットが指摘したように、家族がその役割を果たさなくなったら、文化の衰退を招くのは間違いない。最高裁の多数の判事はそれと同じ認識を示したと言える。し たがって「国民の間にも様々な意見がある」などと紋切り型の発言を行っているようでは、法相の重責を自覚しているとは言えない。社会の永続的で安定した発展を担保するため、最高裁と認識を共有し、夫婦と子供が同姓を名乗ることの意義を積極的に訴えることこそが法相の責務であろう。

2016.07.21

理路整然と軌道外れる岡田氏

参院選で、憲法改正の議論を深めれば深めるほど民進党と共産党が分断されていくと考えていたが、実際には全く議論は深まらなかった。改憲政党のはずの共産党はまず、護憲の立場に当面は固執しているので議論の余地がない。民進党は「第1あるいは第2の争点にしよう」(岡田克也代表)と努めたが、自党に改憲案もないようでは争点化しようがなかったと言える。

自民党の稲田朋美政調会長が「争点化ということになると、考えのない人と議論はできない。民進党は、憲法を改正するかどうか、何を改正するかを明らかにしていない。安倍政権における憲法改正には反対ですなどという、何が言いたいか分らないことしか言っていない」と指摘したのはもっともだ。反対のための反対をする、かつての野党第一党の社会党になり下がってしまったようだ。

しかし、自民党は民進党との協議を経て改憲原案を作りたいと言っているのだ。「安倍政権における憲法改正には反対」であることと、自党が改憲案をつくらないこととは直接、関係があるわけではない。〝原理主義〟の岡田氏が左派の支援を受け理路整然と原理軌道を外れていく。国民政党から日々遠ざかっている印象だ。

政争に頭を悩ますことよりも国民に目を向け、国民の生命と安全を守ることが第一義の憲法改正案づくりをスタートさせるべきだ。

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