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2011.10.09

外相が安保をまず犠牲にする?

玄葉外相が取り上げた孔子の言葉は、弟子の子貢に「政治において重要な点は何か」と問われて答えた内容である。「教養ある大臣」との印象を与えたかもしれない。
 同外相は、この見解をもとに、その後の会見でも記者からの質問を受けながら、「信」すなわち、価値をしっかり踏まえた外交の重要性を訴えている。
 だが、これに関するやり取りは続きがある。子貢は、ではその三つのうち、止むを得ずして一つを除くとしたら、どれを除きますかと再問。孔子は言下に、「兵を去れ」軍備を捨てよ、と答えている。子貢はさらに続けて、その二つとも保持し得ない事態が到来した場合、どちらを捨てますかと質問。孔子は「食を去らん。古よリみな死あり、民信なくんば立たず」と答えている。
 従って、見方によっては、外相自らの担当分野である安全保障をまず犠牲にするという見解を示したことになり、口さがないネット情報では、この外相発言は軽率との批判も出ている。さらに、この見解を、クリントン米国務長官が電話会談で「完全に同意する」と支持したと玄葉外相は説明。中国では、これに関する一連の発言をフォローしながら、笑っているかもしれない。「外相の言や良し」だが、論語の内容をトータルに弁えた上で、そうした誤解を生まぬよう補足しながら説明する見識が必要だろう。
 また、そこまで突っ込んだ質問を行い、大臣と丁々発止と遣り合うような雰囲気が、エリート記者が集まる外務省の会見では欲しいものである。

2011.10.09

疑惑の釈明で防戦デビュー

 野田佳彦首相が無難な政権運営をするために「余計なことは言わない、やらない」「派手なことをしない」「突出しない」の安全運転3原則を側近議員らに指示していたと言うが、議員個人の疑惑に対しては全く効力を発揮し得ない。
 就任早々から疑惑浮上の平岡秀夫法相は、会見でも釈明に追われた。大臣の政党支部である山口県第2区総支部が開催したパーティーが大臣規範に抵触するのでは、との問題と資金管理団体「秀友会」が品川美容外科(東京都)の創業者から計300万円の献金を受けていた問題だ。品川美容外科の医師が起訴されたことで問題となり、「速やかに返金したい」と語った。
 記者側はその勢いで、外国人献金問題についても質した。前原誠司外相(当時)、菅直人首相(同)もこの問題で追及されており、「法相はどうなのか」と迫ったわけだ。「もう一度、チェックはしてみる」とは言うものの、法相は「ほかの先進国と比べて、日本はかなり厳しい」し、「金を受けてしまうことで、影響を受けてしまうのかが問題。そういう懸念をどこまで制度化していくかが問題の基本ではないか」と語ったが、そんなことはないはずだ。献金をする側は、影響を与えるためにするのであって、それが外国人・団体であれば国益に反する危険性があるとの観点で政治資金規正法は制定されたのである。
 記者側の質問に防戦一方となり、苦い会見デビューとなった印象だ。

2011.10.09

自治基本条例制定に警戒感

 憲法より上位に位置付けようとするなど、行き過ぎた内容を盛り込んだ自治基本条例が全国の地方議会で制定されるケースが目立ってきていると言う。そこで、自民党の石破茂政調会長は、冒頭、地方の党所属議員と「問題点を共有したい」ということで、党内で検討された「論点整理」をもとに地方へ働き掛けることになった。
 この基本条例、もともとの考案者は自治労で、憲法に規定された地方自治の根本を揺るがすもの。「市民」という得体の知れないプログループを地方行政に参画させる仕組みを新たにつくり、自治体の予算で思想・イデオロギーを蔓延させていこうとする狙いがあるようだ。
 現在、200近い基本条例が制定されており、その中には問題のないものもあるだろう。だが、石破政調会長の言うように、憲法の最高法規性に抵触する可能性があったり、憲法に示された国民主権、国家主権と異なる政治用語である「地域主権や住民主権」などが使われるなら、「憲法の趣旨からしても排斥されるべきもの」であるのは確かだ。
 民主党は「地域主権」という言葉を使っているが、どうも飛鳥田一雄元市長がかつて「自治体は革命の砦」と位置付けて「中央政権を包囲する」とした革命イデオロギーとの結び付きを予感させる。自民党が言うとおり「特定の団体のイデオロギーにとらわれない」ことが地方自治を守り推進していくことになるのだ。