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2012.05.14

近隣につけ込まれる田中人事

 参院で問責決議を可決された「素人大臣」一川保夫防衛相の後任として1月の内閣改造で就任した田中直紀新防衛相の資質が通常国会冒頭から問題となっている。予算委での質疑で、ピント外れの答弁をして委員長から「ちゃんと答えてください。質問はこういうことでしたよ」と解説されてやっとのことで答弁をしたのはたびたびのこと。勢い込んで答えてもそれが間違っていたり。ひどいのは、外交・防衛問題の集中審議の際、無断で15分間も席を離れ、議員食堂でコーヒーを飲んでいたりとか。

 あまりのひどさに「義父の田中角栄や妻の真紀子さんを相手にしてさえ今日があるのだから、最強の防衛相かもしれない」との皮肉交じりのブラックジョークまで流れている。この不適材人事は、党内融和を図るための小沢一郎対策で行われたものだ。輿石東幹事長は会見で、「私に責任をとれということ?そういうことで責任をとれと言うなら、とりますよ。だけど、とれないじゃないですか」と開き直ったが、参院議員会長で小沢氏に近い輿石氏が参院枠を使って田中氏を起用したのは明らかだ。

 その人事を野田首相が輿石氏に丸投げしたのは前防衛相の時も同じ。いつまでも「口頭試験」を続けるような国会審議を続けていると、近隣諸国につけ込まれるだけだ。国家の安全保障の最高責任者としての首相の資質も問われている。

民主党・輿石東幹事長の記者会見

 

2012.05.14

検察の意識改革はどうする?

 3月末、小川法相の命令で3人の死刑囚の刑が執行された。死刑執行は1年8カ月ぶりだった。法相就任当時、死刑確定者は130人を超えており、就任直後の記者会見で「(死刑確定者が増える状況は)法律の趣旨に合っていない」と発言した法相が実際に執行を命令するのか、注目されていた。これで一つ、〝公約〟のハードルを越えたわけだが、これから待ち構える検察改革のハードルはさらに高い。

 証拠改竄・隠蔽事件を契機に、可視化の導入、地検特捜部の独自捜査に対するチェック、人事評価といった検察システムの改革は進んでいる。しかし、記者会見で小川法相が「何より重要なのは検察官の意識改革」と述べたように、最大の課題は検察官の意識改革だ。

 検察組織が国民の信頼を回復するには、冤罪の防止と犯罪者の処罰という二つの側面からのアプローチが求められる。冤罪防止ばかりに重点を置くと、〝巨悪〟がのさばることになる。逆に、犯罪者の処罰に偏ると、特捜部検察官の巧妙心から冤罪を生みやすくなる。

 そもそも証拠改竄・隠蔽事件を起こした検察の歪の背景には、検事のエリート意識や奢りがあった。冤罪を防ぎつつ、巨悪を適切に罰するには、真実と正義を追及する責務について、検察官1人ひとりの使命感、倫理観の向上が絶対不可欠。小川法相に求められるののはそのためのリーダーシップである。

小川法務大臣の記者会見