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2013.04.18

TPP最大の〝敵〟は米議会

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加表明をした安倍首相は、「国益を守る」ことを何度も強調した。これは2月22日(米時間)のオバマ米大統領との初の首脳会談で、「一方的に全ての関税撤廃をあらかじめ約束することを求められるものではない」とした共同声明を発表できたことを踏まえてのものだ。

 会見の前日、自民党から渡された米、麦、牛肉、豚肉、乳製品、砂糖を守る決議文についても「我々はしっかりとそれを胸に強い交渉力をもって結果を出していきたい」との姿勢を示した。

 確かに米政府側は「農業が日本にとりセンシティブな問題であることは十分認識している」(カトラーUSTR代表補)などと配慮している。

 だが、首相にとっての最大の〝敵〟は米議会だろう。日米共同声明について共和党の有力議員は「これまでの通商協定で農産品を(関税撤廃の対象から)除外してきた日本に、今回も重要品目が保護されるという(誤った)印象を与える」と懸念を示した。つまり、例外なき関税撤廃が原則の交渉なのに、日本に譲歩すれば他の11カ国との交渉にも影響が出て、例外規定ばかりとなる可能性も出てくると見ているからだ。

 首相がいくら参加表明をしても、それを許可するのは米議会だ。その段階で「ノー」となれば、日本が取り残されるのは必至なのである。

2013.04.18

再犯防止に必要な社会の理解

◆刑一部執行猶予制度導入へ

 閣議決定した「刑の一部執行猶予制度」の導入を柱とする刑法などの改正案は、薬物犯罪者の再犯防止と社会復帰を促すのが目的だが、課題は更生を目指す薬物依存者に対する社会の理解である。

 一部執行猶予制度は3年以下の懲役・禁固の判決を受けた、比較的軽い罪で刑務所に入った薬物犯罪者が対象。たとえば懲役2年のうち、1年半を服役し、残りの6ヶ月を執行猶予2年とする。執行猶予期間中に、薬物依存から立ち直るための教育プログラムを受けたり、社会奉仕活動に参加するなどして、社会復帰を可能にしようという狙いだ。

 だが、最大のネックは、出所者に対する社会の理解と雇用の確保だ。薬物犯罪は再犯率が高い。薬物犯罪全体で5割、覚醒剤に限れば6割が再犯。特に、覚醒剤の場合は依存性が高いため、一度手を染めるとやめるのは簡単ではない。

 刑期を終えて出所しても、仕事がなければ生活が安定しないが、受刑歴のある人間に対する社会の目は冷たく、親族でさえも交流を避ける場合もある。これまでは、受刑歴のある人間は社会で孤立しているという焦燥感や不安感から再び薬物乱用に走るケースが少なくなかった。したがって、執行猶予期間中に、薬物から手を切るための更生プログラムや医療支援を受けても、社会での居場所がなければ再犯防止につながらない可能性が高い。

 「脱法ハーブ」のように、法律での取り締りが難しい薬物が登場する一方で、人と人の絆が弱まって、薬物に手を染めやすい環境が生まれている。谷垣禎一法相が言うように、「世界一安全な国、日本」をつくるには、薬物乱用の増加に歯止めをかけることは不可欠だ。刑の一部執行猶予制度の導入を機会に、薬物犯罪の再犯防止に対する社会の理解を深める努力が必要だろう。

2013.04.18

「ODA白書」の冒頭発言は無視

 この日の会見で、岸田外相は、この日発表されたODA白書の内容を強調したにもかかわらず、記者は全くその内容を無視して他の問題に切り込んだ。要は、政府の宣伝なんかに付き合わないというスタンスなのだろう。

 だが、対中ODAには、まだ多くの不可思議な点が潜んでいる。

 この点、本山勝寛氏のブログは「日本を抜いて世界第2位の経済大国になり、日本への挑発的、報復的行為がしばしば行われる大国に、もはや援助の必要などないという考えが、日本の一般的な世論だろう」が、実際には「3億ドル、約300億円にもなる」と指摘している。

 ODA白書の東アジア内の「順位」で見てみると中国は第9位で、「マイナス4・8億ドル」となっている。だがこれは、従来の無償、有償で提供した総額から貸付の回収額を引いた、つまり、「過去の融資から7・8億ドルだけ返済してもらった分だけ、マイナスとなっている」と看破。

 これが中国からの貧困層というより富裕層に属する留学生、約9万8千人にODAの大半が費やされている、と切り込んでいる。

 当日発表されたODA白書をここまで分析して質問するのは容易ではないが、霞クラブの記者は、事前に白書を入手しているはずだ。

 その点を突っ込まないで、逆に、香港記者から「外相が中国を脅威と言った、言わない」などというやり取りが執拗に行われているのが現状である。(明)

2013.04.18

定期接種化前の補償が問題だ

 田村厚労相は、子宮頸がんワクチンにより車いす状態になるなど、重篤な症例に対する取り組みを聞かれ、定期接種化し副作用の報告や補償の体制を整えることで対処したい、と表明している。

 だが、現在、副作用で苦しんでいる全国各地の女子生徒やその親たちは、3月末まで任意接種の期間にワクチン注射を受けて症状が出た人たちである。この人たちは、病院をたらい回しにされながらも、その激痛とワクチンの接種との因果関係が認められないで、途方に暮れているのである。

 定期接種化前にワクチン接種を受けた者たちの救済について質問されているのに、次の段階での措置で応えている。誠意が感じられない。杉並区で接種されたワクチンは、英国の製薬会社のサーバリックスだが、このワクチンそのものへの疑義が出されている。

 このワクチンが、①効果のある期間が6・4年とされているが、20歳以前の女性で子宮頸がんにより死亡している人が近年おらず、10代の女子生徒に接種しても効果はない②事前に製薬会社が説明していた副反応の発生率より、はるかに高い率で副反応が出ており、万全な救済体制を敷くべきだ──とする意見書が町田市議会では採決にかけられた。

 性行為によって感染するウイルスが原因の子宮頸がんである。本来、こんなものに頼らないで、性モラル教育で防ぐべきである。百歩譲って、ワクチンを施すなら、長期的な調査を行い安心できるデータが出てから接種を再開すべきである。(山)

2013.04.18

まだ不明な国家の未来図

 民主党は国家の安全保障問題や憲法に関する党内論議をもっと深めるべきだ。この日の記者会見では、安倍首相が集団的自衛権の行使容認だけでなく、集団安全保障への対応も議論していることを指摘した同日の国会答弁について質問が出た。

 これについて細野幹事長は「集団安全保障そのものについてはもともと民主党は積極的だという理解で私はいる」と語った。確かに民主党は2005年、党憲法調査会(当時・枝野幸男会長)が自衛権行使や国連の集団安全保障に参加した場合の武力行使を限定的に容認するなどの提言をまとめている。

 それなら、論戦を主導すればいいのに、その気配は見られない。それどころか、党代表の海江田氏は安倍首相の考え方は「かなり国民の意識とは違うのではないか。これまで蓄積した議論を逸脱している」と批判した。民主党は2月24日の党大会で発表した綱領に「国際連合をはじめとした多国間協調の枠組みを基調に国際社会の平和と繁栄に貢献」することを盛り込んだが、どう貢献するのかの具体策を示すべきでないか。

 また、憲法改正についても会見で「党としての明確な立ち位置を示す」と語ったが、それが何なのかの説明もない。

 「真の立憲主義を確立するため、国民とともに未来志向の憲法を構想していく」と綱領は記しているが、どういう国家の未来図を描いているのかも分からないようでは再浮上はできまい。