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2013.08.13

安保基本法は閣法で成立を

 秋の臨時国会で最重要課題の一つとなるのが、集団的自衛権行使を容認するための安全保障基本法案の取り扱いだ。記者会見で安倍首相(総裁)は「安保環境が大きく変わる中で、日本国民を守るために何が必要かという観点から議論を進める」と述べた上で、連立を組む「公明党の理解を得る努力を積み重ねていきたい」と語った。

 公明党の山口那津男代表は「断固反対」を表明し、井上義久幹事長も7月14日のテレビ番組で「集団的自衛権の行使を認めないというこれまでの憲法解釈は踏襲すべきだと今は考えている」と否定的な見解を示している。これらの発言を踏まえ、石破幹事長は国会提出自体、慎重に検討する考えを示している。それ故、議員立法で国会に提出して野党の協力も得て賛成多数で可決、成立させるのも一案だとの見解も出てはいる。

 ところが、これに対して首相は会見で「安保の基本であれば閣法であるべき」との基本的立場を示した。閣法であるということは、公明党から入閣している太田昭宏国土交通大臣の了承を取り付けなければならず、それは公明党自体からOKをもらわねばならないことを意味する。

 現在は、安保法制懇で議論をしているが最終報告を受けて法案の国会提出という段取りだが、集団的自衛権行使の問題は長年の懸案事項であり、日米同盟の深化に直結するテーマだ。

 それだけに、圧倒的多数の賛成を得るだけでなく、閣法で成立させることが望ましい。

2013.08.13

普天間移設で支持基盤に好変化

 石破茂幹事長は会見で、沖縄選挙区における自民候補の敗北については「すべての責任は私が負う」と述べたが、終盤戦に入ってからの猛追は明らかで、大差が付いていたのを3万票差にまで追い上げたことには手応えがあったようだ。

 党本部と地元県連が普天間基地の移設先で見解が違う「ねじれ」となり、苦しい戦いを強いられたが、2人の自民国会議員が辺野古移設容認に転じたことは明るい材料だ。しかも、比例代表で日本維新の会から「名護市辺野古への移設」を公約に掲げて立候補した儀間光男氏が当選したことは、自民党にとって決して暗いニュースではない。

 儀間氏は元浦添市長で、維新と友党の県内政党そうぞう(下地幹郎代表)の全面的な支援を受け、社民、共産などの比例候補を退けた。社民党は大田昌秀氏、山内徳信氏と続いてきた沖縄出身者の比例の議席を失った。

 昨年12月の衆院選で自民党議員が4人(選挙区3、比例1)当選した保守化傾向と合わせると、記者から「来年の名護市長選に与える影響」についての質問が出るのは当然のことだ。ここで来年、辺野古賛成の市長が復活し、さらに秋の県知事選で保守系知事が誕生すれば移設問題が大きく前進する可能性が出てくる。石破幹事長が言うように、当面は埋め立て申請に対する知事の評価を得られるよう環境づくりをしていくことが肝要で、刻々と近づいている来年の選挙での決着まで政府・与党は緊張感を維持し続けねばならない。

2013.08.13

土壌にあった司法制度を

 「2010年ころには司法試験の合格者数を年間3000人程度とすることを目指す」とした「司法制度改革推進計画」が閣議決定されたのは2002年だ。あれから10年が経過して、政府の「法曹養成制度関係閣僚会議」が政府目標の撤回を求めた。実際の合格者数が目標に届かない一方で、 弁護士が過剰となって、就職難や質の低下という問題が浮上しているからだ。

 それで思い出すのは、ポール・ニューマン主演の米映画『評決』(1982年制作)の冒頭のシーン。仕事がなく、酒浸りの弁護士がスマートボールで遊んだ後、新聞の死亡欄に出ていた見ず知らずの人間の葬儀会場を訪れ、故人の知り合いを装って「困ったことがあったらいつでも電話を」と、遺族に名刺を差し出すのだった。言わば、弁護士の営業活動だ。

 人口比にして、数十倍も弁護士が多い米国とまではいかないが、わが国でも弁護士が増えた弊害が出ているのは事実。司法修習所を修了しても法律事務所への採用が難しくなった。また、自由競争による質の向上という当初の狙いとは逆に、実力にばらつきがあり、最低限度の能力さえ習得していない、と疑われる下位層が広がってもいる。

 映画の主人公は身を持ち崩した弁護士だが、それで地元の権力者を相手にした医療訴訟で勝訴し、社会正義の実現に貢献した。しかし、現実はそうはいかない。質の落ちる弁護士が増えれば、司法への国民の信頼感を損ねる。もちろん、谷垣法相が指摘するように、弁護士過疎地域の解消などの利点はあったにせよ、日本の実状に合わない目標設定は修正する必要がある。

 弁護士の質の低下は、教育制度の問題でもある。就職難は法科大学院の定員割れという事態も招いている。

 米国で弁護士が多いのは、離婚から企業トラブルまで、訴訟社会だからだ。しかし、わが国は違う。示談ですませるなど〝裁判沙汰〟を嫌う文化だ。

 「年間合格者3000人」の目標の背景には、民事訴訟が増えるとの予測があったが、そうはなっていない。この際、日本の社会習慣を踏まえた司法の在り方を再検討すべきだろう。

2013.08.13

不退転の決意問われる集団的自衛権

岸田外相は、集団的自衛権に関して有識者会議や安保法制懇の結論を待ちたいと述べた。

 2月に立ち上がった安保法制懇(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)は、そもそも第一次安倍内閣時代に組織された経緯がある。

 その時(2008年)の集団的自衛権に関する結論は、以下の通りだった。「政府としては、憲法前文で確認している日本国民の平和的生存権や憲法第13条が生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利を国政上尊重すべきこととしている趣旨を踏まえて考えると、憲法第9条は、外部からの武力攻撃によって国民の生命や身体が危険にさらされるような場合にこれを排除するために必要最小限度の範囲で実力を行使することまでは禁じていないと解している。(平成16年6月18日政府答弁書)(中略)特定の規定が国際関係に関するものである場合には(中略)各時代における国際関係の動態等も考慮に入れるべきであることはいうまでもない」

 その国際関係は5年前とガラリと様相を変えている。すなわち、中国の地域覇権確立に向けた「衣を脱ぎ捨てむき出しの鎧」のような威圧外交が鮮明になっているからだ。北朝鮮の核ミサイル開発も国際関係に大きなインパクトを与えている。