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2014.01.18

「対中包囲網」をもっと強めたい

南シナ海や東シナ海において軍事力を背景に勢力の拡張を図る中国に対し、ベトナムやフィリピンなどの東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本が特別首脳会議を開催して共同歩調を示した意義は大きい。

12月14日の同会議では、災害に強いインフラ整備や2020年東京オリンピックをにらんだ芸術家ら文化人交流などすそ野を広げた協力拡大が決まるなど、「パートナーシップをさらに進化させる、次の40年間への素晴らしいスタートとなった」(安倍首相)のは間違いない。

タイミングもよかった。首相は再登板後の1年足らずでASEANを5回訪問し、加盟国すべてを訪れた上で開催。さらに中国が沖縄県の尖閣諸島を含む東シナ海に一方的に防空識別圏を設定した後でもあった。首相は「南シナ海の問題では、すべての関係国が力による一方的な現状変更に訴えることなく、国際法を順守すべきだという点で一致した」と強調し、中国をけん制した。今後は日本・ASEAN間の防衛相会議を開催する方向にもなり「対中包囲網の形成」は進んだ。

ただ、中国寄りとされるカンボジアやラオスに配慮し、共同声明で中国を名指しして批判することを避けたように課題は残っている。米国との同盟関係の強化とともに、こうした国々へのテコ入れを図り、包囲網をさらに強化することが不可欠である。

2014.01.18

〝消極的な国際貢献〟脱皮のとき

民主党の海江田万里代表は「これまでの日本の国際貢献は、決して『消極的な平和主義』であったとは思っていません」と言い切ったが、他国は「積極的だった」とは決して評価していない。

現行憲法の制約の下では可能な限りの貢献をしてきた〝つもり〟ではあっても、「他国の戦闘行動と一体化しない後方での活動」で済ましてきたわが国の姿勢に大きな違和感や疑問を感じてきただろう。

その最大の原因はつまるところ、55年体制下の憲法解釈にある。

憲法前文で「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」とし、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ」と言いながら自国の経済的繁栄を最優先に追い求め、自国の安全や国際社会の平和と安定には目をつぶってきたのが実情なのである。

その意味で安倍晋三首相が1957年策定の「国防の基本方針」に代わって策定した「国家安全保障戦略」は、戦略というほどのものではないが新たな平和主義を標榜しており評価できる。

それを実のあるものにするためにも、集団的自衛権の行使に向けた憲法解釈の変更など次のステップをクリアし、消極的な国際貢献から脱皮して積極的な平和主義を展開すべきときにきていると言える。

2014.01.18

遅れる生殖医療の法整備

生殖医療技術が急速に進歩していることで、法律が想定しない事態が起きている。たとえば、夫が無精子症であっても、妻は出産できるようになった。第三者の精子を妻の卵子と人工授精する「非配偶者間人工授精(AID)」が行われ、これまでに1万5000人が生まれている。これまでこの方法での出産があまり問題とならなかったのは、役所ではAIDによる出産の事実が分からないので、子供は「嫡出子」とされたからだ。しかし、夫が心と体の性別が一致しない性同一性障害者の場合はそうはいかない。

人間が性別を変えることは、かつては法律の想定外だった。しかし、平成16年施行の特例法によって、性別適合手術を受けるほか、一定の条件を満たせば、戸籍上の性別変更も結婚も可能になった。

この性別変更とAIDが重なって生まれた子供について、最高裁は昨年12月、「嫡出子」と認める判断を示した。それまでは戸籍の記録上、「元女性」である夫に生殖能力がないことは明らかであるため、嫡出子と認められなかったのだ。

最高裁の判断は「妻が婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定する」とした民法の規定を根拠としたものだが、明らかに不自然である。裁判官の判断が分かれ、3対2の僅差だったのもこのためだ。

根本的な問題は、AIDを規制する法律がないことだろう。

AIDを行う場合、精子提供者は匿名であるため、生まれた子供は、実の父親を知ることができないという問題もある。谷垣法相が述べたように、最高裁の判断にそった措置を講ずるのはやむをえないが、人間の生殖の多様性をどこまで認めるのか、子供の「知る権利」を無視することは許されるのか。法整備が立ち遅れ、こうした重大な課題がクリアーされないまま、生殖医療技術が進歩することは親子や家族の概念を歪める恐れがある。

2014.01.18

首相、認識違う外相を警戒?

外相の今年最後となった26日午前10時28分からの記者会見が、首相の靖国神社参拝より約1時間早く始まった。これは抜き打ち的な参拝だったため、外相も、記者から「安倍総理が靖国神社に参拝されるとの情報がある」との質問に対して、「承知していない」「仮定の話なので、お答えするのは控えなければいけない」との一点張り。

記者は一旦質問を収めたが、その後、NHKが安倍首相の靖国神社参拝の速報を打ったことで確定的になり、記者が再質問。だが、外相は同じ答えを繰り返した。

外相としては、答えにくい質問に無難に対処したつもりだろうが、靖国神社が参拝予定を発表した段階に及んでも、「承知していない」という答弁を繰り返したのはいかがなものだろうか。

これは、安倍首相が、外相にもその予定を知らせないで参拝したことを意味しているとみてよいだろう。中国、韓国が、これに対して批判的な見解を発表してくることが予想される外交的懸案を、首相が外交担当大臣に事前に知らせていなかったのは驚きだ。

外相は宏池会を引き継ぐ領袖で、自民党でもハト派に属する。

そのため、首相も事前に知らせなかったのかもしれない。

外相は、英霊に対して尊崇の念を示すのは「心の問題」とし、「外交問題化するようなことは避けなければいけない」との認識を表明。首相との違いがにじみ出た会見でもあった。

2014.01.18

苦渋の末、結論先送りの判断か

子宮頸がんワクチンの重篤な副反応が全国各地から寄せられ、ワクチン接種と痛みなどの症状との因果関係を否定できないため、厚生労働省のワクチン副反応検討部会は昨年6月14日、同ワクチン接種の積極的勧奨を中止することを決定した。

予防接種法の改正で、4月から、任意接種ではなく接種をするよう積極的に呼びかけなければいけない定期接種になっていた。

その積極勧奨の再開の是非を決定する副反応検討部会が開かれる12月25日を前にした17日の会見で、田村憲久厚労相は、この問題で質問を受けたのだった。

この日は、横浜市議会で積極的勧奨中止を求める意見書が提出され、満場一致で可決される見通しになっていた。また、その前の12日には北海道議会で被害者の救済を求める意見書が全会一致で可決されていた。

さらに全国市議会議長会も11月、子宮頸がんワクチン接種について、国に「一時中止し、接種者全員への徹底追跡調査」を求める要望書を出している。

記者の質問に、厚労相は「海外の中で御承知のとおり、日本のような案件で接種を中止されているというところは、今のところお聞きはいたしておりません」と表明。

国内の要望より海外の事例を優先するかのような答弁は極めて疑問だったが、25日の検討部会は、結論を先送り。海外の事例と国内地方議会の圧力のはざまで、苦渋の選択をしたとみられる。