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2014.05.25

国民を製薬会社の実験台にするな

この会見で指摘されたように、ノバルティスファーマ社は、社員が身分を偽って調査研究データを作成する立場に携わり、隠ぺい工作をしながら会社に有利なように報告し、結果的に患者をだましてきたことが明らかになり、問題がクローズアップされてきている。

田村憲久厚労相は会見で、こうした大製薬会社が絡んだ不祥事が判明するに及んで、製薬会社と臨床研究との関係をただすため、倫理指針の改正を目指す考えを表明。ぜひ、今秋には実効ある措置を打ち出して欲しい。

ノバルティスとの関連で想起されるのが子宮頸がんワクチンの問題である。このワクチンにより、多くの重篤な副反応が発生しているにもかかわらず、 厚生労働省のワクチン副反応検討部会では、今年1月の検討部会で、副反応は注射時の痛みに起因した精神的なものが原因であり、ワクチンの成分自体は問題が 無いとの結論を出した。

これに対して自民党参議院が反発し、「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」等と連携しながら、海外から専門医師を日本に招いてシンポジウムを開催。ワクチンの中に含まれる免疫増強剤など心身に悪影響を及ぼす成分が含まれることが指摘された。

その結果、推進する医師会が目指した子宮頸がんワクチン接種の積極的勧奨の再開は頓挫したままだ。これを機会に、製薬会社と臨床研究との闇を徹底的に解明し、国民が製薬会社の” 実験台”になるような事態を断固阻止していくべきである。(亀)

2014.05.25

教委改革との兼ね合いに難しさ

下村博文文科相は、4月22日の記者会見で、全国学力テスト結果を学校別に公表することの意義を強調した。これまで、都道府県単位での学力レベルの 公表だけにとどめていた。多くの予算を費やすことから、民主党政権下では、全国の学校全部が参加しなくても傾向は推測できるとして、参加校を抽出して行っ た経緯がある。

これが、教育改革に熱心な安倍首相率いる自公政権の返り咲きで、再び、基本的に全国の学校がすべて参加する学力テストとなり、今回、テスト結果も市教委の責任で公表することが決まった。

静岡県の川勝平太知事が、前回のテスト結果で、静岡県のレベルが予想以上に低かったことに衝撃を受け、ワースト・グループにある学校名を公表すると表明。結果的には、上位グループに属する学校名の公表という形に変えた。この動きにも加速されての措置と言える。

ただ、安倍首相の教育再生実行会議は、当初から、教育委員会が形骸化しており、これが教育改革を阻んでいるという認識で一致。その改革案をまとめる方向性となっている。

その教委が、今回の一斉テストの公表の責任を持ち、単なる結果の公表に止まらず、テスト結果の分析と長期的な対応策もセットで打ち出していくことになった。

下村文科行政は、教委に責任を負わせる形でテスト結果の公表をしつつ、教委の存廃も含めた改革を進めるという難しい判断を迫られていくことになる。(石)

2014.05.25

安保を担保にTPPで譲歩迫られた日本

今回のオバマ米大統領の訪日は、日本、韓国、マレーシア、フィリピンの四か国を駆け足で訪れるものだった。大統領の外交の軸足をアジア太平洋に移して行く象徴的な訪問として位置付けられていた。

中国の習近平主席とは、昨年夏、西海岸の保養地で会談し腹を割った話し合いを演出したオバマ大統領だった。習主席と一応の信頼関係を築いたうえで、今回は中国を取り巻くアジア四か国を訪問。

このため、日米共同声明では、日本の集団的自衛権の行使容認と沖縄県・尖閣諸島を日米安保条約の適用範囲だと明言し、安倍政権に外交得点を与えつつ、中国への配慮も随所に示した形となった。

ワシントン・ポスト紙は、オバマ大統領が、こうした外交得点を安倍首相に与えた一方で、TPPでは訪日と同時並行して集中的に両国の政府代表が協議したにもかかわらず明確な成果を得られなかったと論評している。

ただ、首脳会談を受けて翌日、オバマ大統領が韓国に立つ直前にようやく発表に漕ぎ着けた共同声明では、「道筋を特定」「大胆な措置を取る」などと、首脳会談の席で机上に置かれた共同声明案に比べ、日本側の譲歩を意味する文言が付け加えられていた。

岸田外相は、今回の日米首脳会談直後の記者会見で、日米会談の成果と共に、両国間の課題も質問されたが、成果ばかりを力説した。その気持ちはわか るが、現実を直視して国民に分かりやすく課題を述べるべきだろう。それを十分に聞き出せなかった記者の力量も問われるといえる。(石)

2014.05.25

労働力不足と社会不安のジレンマ

生産年齢人口( 15.64歳)が32年ぶりに8000万人を割り込んだ。50年後には、日本の人口はいまより4000万人減るとの予測もある。出生率はアップする傾向に あるが、子供を産める世代の女性が減っているのだから、このままでは人口の維持は不可能。そうなると、社会の活力低下は避けられない。これが目を背けるこ とができないわが国の現実である。

そこで政府が検討を始めたのが外国人労働者の受け入れだ。しかし、記者会見で谷垣法相が「治安の悪化など社会への悪影響や人権問題等の懸念がある」と述べたように、よほど慎重に受け入れ体制を整えないと、将来マイナス面が社会に重くのしかかることになる。

すでに移民や外国人労働者政策でつまずいている国がある。欧米諸国だ。これらの国では、移民抜きでは自国の経済を支えられなくなっているが、その半面、所得格差の拡大や人種差別などで社会の溝が深まるというジレンマに直面している。

わが国も近年、中高所得者と低賃金労働者の二極化という問題が顕在化している。しかし、フランスやスウェーデンのように暴動が起きることがないのは、ざっくり言って、社会構造がほぼ単一民族からなっているからだろう。

不足する労働人口対策として、一部識者から今後50年で1000万人の移民を受け入れるべきだとする声が上がっている。もしそうなれば、貧富の差や宗教の違いなどによる文化摩擦から、社会不安が増大することは十分にあり得ることだ。

現在でも「技能実習制度」で外国人を受け入れている水産加工業などが集中する地域では、治安の悪化を指摘する声がある一方で、外国人の賃金不払いや自由の拘束、生活条件の悪化など人権侵害の問題も起きている。

東日本大震災からの復興や東京五輪の準備で、とくに建設業での労働力不足が懸念されているが、目先の数合わせで移民受け入れを行ったのでは、あと から大きなツケが回ってくるのは必然。政府には、外国人労働者受け入れの利点とマイナス点を慎重に検討した上で制度設計することが求められている。

2014.05.25

ワシントンでの安保対決決着を

集団的自衛権の行使容認問題で、民主党の二人の幹部がこの4月に、米ワシントンで真逆の主張を展開した。二人とは、反対派の海江田万里代表と容認派の長島昭久元防衛副大臣だ。

国家の針路を左右する重要政策だけに海江田代表が指導力を発揮し党をまとめられなければ、党分裂の引き金になりかねない。記者会見で大畠章宏幹事長が神経質そうに繰り返し、北澤俊美安全保障総合調査会長の下での解決を期待したのもそうした事情からだ。

現在、党内は海江田代表を筆頭に枝野幸男憲法総合調査会長、北澤元防衛大臣、大畠幹事長ら左派グループと長島氏、前原誠司元代表、野田佳彦前首 相、渡辺周幹事長代行ら右派グループと真っ二つ。海江田と長島両氏のワシントン対決はこの党内の対立構図が表面化し火を噴いたものである。

左派執行部が強く主張するのは、安倍首相の手法と狙いに対する疑念だ。「何となく9条改正は難しい、96条改正も難しい、だから憲法解釈の変更に よる部分的な集団的自衛権の行使、というようなものであれば、全体的に理解は難しい」(大畠幹事長)というのである。だが、最も注目すべきは北東アジアに おける北朝鮮や中国の軍事的な挑発的動向であり、それに対する自衛力と抑止力をわが国がどう確保するかの危機への対応のはずだ。

政権陥落の〝戦犯〟ではあるがそろそろ野田前首相が再起してもいいのではないか。海江田代表はあと1年辞めないぞ、と事実上、公言した。次の出番 (代表選の機会)を窺ってばかりいないで、政治家としての本文である国民の生命と財産を守る為にもう一肌脱ぐべきではないか。政策の是非は別として引きず り降ろされようが遮られようが信念を貫こうとする執念だけは菅直人元首相を見習った方がいい。