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2014.07.22

安保関連法を改正し改憲に進め

 「日本が集団安全保障の下で武力行使を可能にすることになると、憲法の解釈変更だけでは収まらない。公明党の反発も強いようなので、憲法改正すべきだというお考えはあるか」との記者の質問に、改憲論者の石破茂自民党幹事長が「今、お答えはできません」としか言えなかったのはもっともだろう。

 集団的自衛権に関する議論の向かうべき先は、憲法改正であることが本筋である。9条の条文を読めば、憲法解釈の変更だけでさまざまなことができるようになるが、それだけでは国際社会での常識ごとを行うのに限界点も浮き彫りになってくる。その一例が機雷掃海に関する作業だ。しかし、そうだからといって憲法を改正するのには時間がかかり過ぎ、日本を取り巻く国際安全保障環境の緊迫化はそれを許さない。

 政治思想家のマキャベリは「次善の策の欠点を嫌っていると、最悪の策をつかむ」と述べているが、ここは「次善の策」である憲法解釈の変更で当座を凌ぎ、何もしないという「最悪の策」を避けねばならない。だが、「次善の策」に止まっていてはいけない。秋の臨時国会で、自衛隊法、PKO協力法、武力事態対処法など改正すべき法律は改正しつつ、憲法改正の気運も大いに盛り上げるべきである。

 そのために必要なのは、安倍晋三首相が次のステージとなる改憲実現に向けた戦略を明確に定めることだ。そのことを念頭に9月の内閣改造・党人事を断行するとともに、衆議院の解散総選挙のタイミングも計るべきである。

2014.07.22

海江田代表の力不足を思わず“自白”

「党員・サポーターって、今いるんだかいないんだか分からないような状況ですからね」ー。民主党の海江田万里代表が6月16日の記者会見で、はからずも自らの統率力・指導力不足を明らかにしてしまった発言だ。

 党代表の交代を求める若手議員らの声の高まりを受けて四苦八苦していた海江田代表が、国会会期末の両院議員総会を無難に切り抜けるため、その総会とは別の「総括の場」を一カ月後に設け、執行部批判をとりあえず先送りすることを考えていた。記者がその「総括の場」への参加者として「党員・サポーターを含めてか」と、代表にとって想定外の質問をしたため、「いるのかいないのか分からない」発言になってしまったのだろう。

 現在、民主党は来年の統一地方選に向け党員・サポーターを30万人にすべく全国に拡大の号令を掛けている。最盛期には35万人いた党員・サポーターだが、政権を失い各種選挙での議席減などの影響で昨年は22万人に落ち込んだ。それを挽回しようと努力している最中なのだが、党代表がその数を大まかにですら把握できていないというのは異常事態と言える。

 だが、事実、党本部の地方へのノルマ設定は現実離れし、党勢が低落傾向にありながら現状の数倍を課したり、議員がいなくなったため、報告された数を下回るノルマを指示される県があるなど党本部の統率力・指導力が疑われる事例が次々と出てきている。

 海江田代表は、党内の反対勢力を抑えるために、他の野党党首と選挙協力の話をしながら〝実績〟づくりに励んでいるが、足元の党基盤を固められないようでは一層の地盤沈下は避けられまい。

2014.07.22

児童ポルノが問う性モラル

 児童ポルノ禁止改正法が先の国会で成立し、単純所持が禁止となった。これまでの法律では、製造や販売等は規制の対象だったが、個人の趣味で所持することは認められていた。

 子供をレイプするなどして製造する児童ポルノは犯罪の証拠でもある。ネットによって、画像や動画のデータは瞬く間に世界に拡散し、消すことができない時代には、被害者は一生、その存在に怯え続けなければならない。単純所持を禁止にする意義はここにある。

 わが国には、児童ポルノを取り締まる法律が15年前までなかった。かつては、少女のヌード画像を集めた写真集が巷の書店で堂々と売られていた。しかし、児童ポルノの一大供給地となるに及んで、わが国は国際社会から強い非難を受けたのである。

 わが国では、票に結びつかない児童ポルノ対策問題は、メジャーな政治テーマではないが、欧米諸国は子供の人権を蹂躙することは重罪とみるのである。したがって、海外から圧力を受けなければ、児童ポルノを禁じる法律を作らないばかりか、単純所持の禁止にも15年も要する国会を持つ日本人の性モラルと、自分たちのそれとに距離を感じているのだ。

 2001年、第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議が横浜で開催された。児童ポルノ禁止法を施行した実績を持つ日本が開催地に選ばれたのだった。誇らしくホストを務めるはずだった日本が、単純所持の未規制とともに、この問題での後進性を曝すことになったのは漫画やアニメの描写の凄まじさだった。東京都内の書店を回った海外から参加者は、その実態に顔を赤らめたのだった。

 今回の法改正では、表現の自由の問題もあって、漫画・アニメの規制検討条項は削除された。しかし漫画・アニメを野放し状態にし続ける日本に、国際社会から厳しい目が向けられていることを、国会は忘れてはならない。

2014.07.22

タカ派政策へ舵切りの印象否定

 安倍晋三政権が、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行うこととなり、加えて、これまで途上国援助等に活用されてきたODA(政府開発援助)に関する大綱見直しにより、安倍政権がタカ派路線に舵を切っているというイメージが強まる中、そうした印象を打ち消すのに躍起となっている印象を与える会見となった。

 今年、開始から60年となるODAの大綱の見直しについて、このほど、有識者懇談会は、ODAは、「平和国家として世界の平和と繁栄に貢献してきた我が国の最大の外交ツール」と位置づけ、ODAを軍事的用途及び国際紛争の助長への使用を回避するのは当然であるとしながらも、「現代では軍隊の非戦闘分野での活動も広がっており、民生目的、災害救助等の非軍事目的の支援であれば、軍が関係しているがゆえに一律に排除すべきではなく、その実質的意義に着目しつつ、効果・影響等につき十分慎重な検討を行い、実施を判断すべき」とする提言を行った。

 この点に関して、記者から挑発的な質問をされて、岸田外相は「全く事実と異なっている」と反論し、軍事目的への利用ということは、いかなるケースでもあり得ないことを最後まで強調している。

 だが、これまで、中国に膨大なODAを行ってきたが、ほとんど中国からは評価されてきていないという現実がある。国民の税金を使った政策であり、平和目的という名のもとに、逆効果のようなODAは大胆に見直していくべきである。

 集団的自衛権の行使についても、特定の国、事態を想定したものではないと、中国の軍事的台頭との関連を否定。うまく切り抜けたものの、その目的は不透明なままだ。(重)

2014.07.22

妥協的な改革者イメージ払拭を

 新型万能細胞とされる「STAP(スタップ)細胞」発見に関する論文不正を看過してきた理化学研究所の体質を正すために、文科省もタスクフォースを設置して、理研の改革の動向をチェックする方針となった。

 論文不正の背景には、理研の組織的「欠陥」があった。

 組織改革を検討してきた改革委は問題の背景として、小保方晴子・研究ユニットリーダーが所属する発生・再生科学総合研究センターに「研究不正を誘発する構造的な欠陥」があったとし、小保方氏の採用時の不適切な対応や、ずさんなデータ管理を許容する体質を厳しく批判。「通常の方法では欠陥の除去は困難」として同センターの早急な解体を訴えている。

 iPS細胞を超える成果を求める理研の強い欲求があったため、秘密主義による外部検証を受ける機会を回避、論文提出を急がせるなどの管理上の根本的欠陥があった、とされる。

 こうした研究上、秘密主義になりやすい競争力が問われる学問分野で、オープンな議論と公正さを保たせることは容易ではない。

 日本の研究の信用度が問題にされているだけに、文科相の指導力が問われそうだ。

 教育委員会制度改革でも、首長が人事する教育長を教委の責任者とする抜本的な改革案ではなく、妥協的なB案に基づいた法案が可決された。

 「現状がどう変わるかがわかりにくく、現状との違いを明確にする必要がある」との批判がある。抜本的な改革者の力量を発揮してほしいものである。(亀)

2014.07.22

こう着状態に入った子宮頸がんワクチン問題

 昨年4月から定期接種化され、接種へ積極勧奨すべき対象となった子宮頸がんワクチン。それと前後して、同ワクチンの副反応と思われる痙攣、歩行困難、記憶障害などに苛まされる少女たちの訴えが相次いだ。このため、厚労省は同6月14日のワクチン検討部会で同ワクチンの積極的推奨を見送ることを議決。それから約一年が経過したため、記者会見でもテーマとなった。

 この議決は、検討部会委員の間の採決により一票差で決まった。かなりの委員が、同ワクチン製造会社である外国企業からお金をもらっていたため、議決に参加できないという状況での決定だった。

 その意味で、良識的な決断だったと言えるが、その後、製薬会社や医師会側がロビー活動や活発なシンポジウム開催で積極推奨再開の機運を盛り上げ、今年1月の検討部会では、同ワクチンで副反応が起きていることを認めたものの、それはワクチン接種時の注射の痛みから来る心理的要因であり、ワクチンの成分そのものは問題ないとの結論を出した。

 しかし、その後、良識ある自民党参議院議員らが中心となって海外の医師を招いて、同ワクチン接種の問題を様々な角度から発表。以来、こう着状態が続いている。

 田村厚労相は、早く検討部会から報告書をもらい国民に情報を知らせたい、と述べたが、すでに検討部会の結論は出ており、その結論は製薬会社に配慮したことが明確だ。

 今年の4月から新たな同ワクチンに関する副反応原因究明チームが発足。その議論の動向を見守る形で時間稼ぎをしている状況だ。

 言質を取られないように語る厚労相の言葉は、内容の無い空虚な言葉の羅列でしかないといえる。(石)