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2015.03.21

東京裁判をもっと議論したい

 第二次世界大戦の終戦後、日本を裁いた東京裁判について、その不当性を語れる国会議員はそう多くはない。女性議員であればなおさらだが、自民党の稲田朋美政調会長はその裁判に疑念を抱く一人で、弁護士出身でもあるだけに主張は理路整然としている。

 記者が「見解を教えてください」として東京裁判に対する考えを尋ねていたが、稲田氏は裁判所の管轄権の問題や、わが国の独立後に国会で議論されたことなどに触れた上で、判決に書かれている内容を一方的に受け入れず、事実関係を自ら検証する必要性を語った。まさにその通りである。裁判に数々の法的欠陥があることについては、当時の同裁判所の判事自体が意見を表明している。

 11人指名された判事のうち、オランダ、フランス、インドの3代表が、反対意見書を提出。国際法の知識はおろか法律学一般の素養さえも十分ではない判事による判決に抗議したのである。

 なかでも国際法専門家のレーリンク判事(オランダ代表)は裁判管轄権、平和に対する罪など法に関する考察および事実に関する考察などに関し長文の反対意見書を提出した。裁判自体は多数派判決だったことから日本の行動が「断罪」されてしまったが、稲田氏の指摘するように、主文は別として少なくとも事実関係だけでも再検証する必要があろう。「第二次東京裁判」が開かれたっていい。

 こうした国家の名誉にかかわることに国民はもっと敏感であるべきだし、政治家ももっと議論をすべきである。マスコミも稲田氏に見解を〝拝聴〟するようなレベルではなく、自ら勉強して疑問があれば問いただす姿勢が求められよう。

2015.03.21

安保政策の立案で指導力を

 自民「1強」体制の中で、民主党が存在感を発揮しにくいのは確かだ。国民が注目する安全保障関連の法整備も、自民、公明の与党が主導している。「政権よ再び」との掛け声だけは大きい民主党だが、まずはバラバラの党内論議を早急にまとめ上げなければならない。

 「中道」とは言うものの労働組合に支えられて代表に就任した岡田克也氏は、対決姿勢を剥き出しにして安倍晋三首相の施政方針演説への代表質問に挑んだ。安保問題ではリベラルに傾斜してきている。

 一方、細野豪志政調会長は、実は集団的自衛権の行使容認が持論のはず。「一緒に行動している米軍が攻撃を受けた場合、日本として当然やるべきことはやる。米国にミサイル攻撃がなされた場合に、日本のミサイル防衛システムで撃ち落とすことも理屈として必要だ」などと述べていた。

 ところが記者会見ではその持論を控えている。代表選で岡田氏に敗北し「オール民主党」への協力姿勢を示しているのだろう。だが、いつまでも〝沈黙〟するのではかえってマイナスだ。

 党内での議論は、安全保障総合調査会でのヒアリングを開始し「政策の対応、法律への対応は部門会議、さらにはネクストキャビネットが最終的に判断することになる」というが、政調会長の発信力も不可欠である。

 各部門の政策をまとめるだけの総務職ではなく政策立案を主導し、決定する重要なポストのはずだ。ことに安保政策ではリーダーシップを発揮して自らの存在感を高めることも必要だろう。

2015.03.21

時代遅れの少年法の改正を

 与野党が選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改正案を衆院に再提出した。今国会での成立を目指す。成立は確実だ。改正案は18、19歳の未成年者が重大な選挙違反をした場合、原則として成人と同じ刑事裁判を受けさせることも定めた。また、付則で、民法の成人年齢や少年法の対象年齢の引き下げも「検討も加え、必要な法制上の措置を講ずる」とされた。

 その一方で、川崎市の中学生殺害事件で逮捕されたのが未成年者3人だったことから、自民党などからは少年法の改正を求める声が出ている。

 上川法相は「少年法固有の観点からの検討が必要ではないか」と慎重な姿勢を示しているが、少年法の「少年」の規定対象も20歳から18歳に引き下げて、大人と子供の線引きを統一するのが分かりやすい。

 1948年に成立した少年法は、2000年に刑事処分の可能年齢が「16歳以上」から「14歳以上」となるなど、これまで何度か改正されてきた。少年の凶悪犯罪件数は減っているのに、さらに改正を求める声が上がるのは、川崎市の事件に見られるように、想像を絶する残虐な事件が頻発するからだ。少年法の対象となる年齢を知っていて、犯行に及ぶ〝知能犯〟もいる。

 少年犯罪の場合、精神的に発育途上であることを考慮し、成人とは違った更生方法が取られるが、社会環境が大きく変化する中で、18、19歳でも少年法で更正が期待できるのか疑問である。

 また、近年は被害者感情への配慮を求める声が強まるなどの変化もあり、加害少年の保護に力点を置く現在の少年法は時代の要請にそぐわなくなっている。少年犯罪固有の観点からも改正を急ぐべきだろう。

2015.03.21

「調整」「検討」「確認」を連発

 岸田外相の口が堅いことは、このコラムで何度か言及してきたが、この会見ほど、それが如実に表れているものも珍しい。「調整」と「検討」という言葉がそれぞれ6回、「確認」という言葉も登場している。

 質問は、日中韓外相会談や日露首脳会談など外交日程、あるいは、沖縄の翁長知事との会談日程についてである。外交日程については、通常、決定されるまでは、憶測を語ることはないので、この答弁も致し方ないだろう。

 また、翁長知事との会談については、スケジュールがタイトであるということを理由に、具体的な答弁を差し控えた。だが、同知事と会えば、普天間基地移設への反対という政府にとり厄介な問題が持ち上がる会談となるのは必至。従って、会いたくない、というのが本音であり、ソツのない優等生答弁だといえる。

 民主党政権の発足で、外務省の記者会見が、霞クラブ加盟社以外のメディアにも解放されて久しい。

 だが、このガードの固い会見では、同クラブ加盟社以外の記者の会見出席意欲もそがれるというものだ。記者会見参加が基本的にあらゆるメディアにも解放された2009年の民主党政権発足とともに外相を務めた岡田克也氏(現民主党代表)の会見には、多くのフリーランサーや中小のメディアが参加し、会見自体にも面白さがあった。

 それだけ、そのようなメディアも活用しながら、新たな方法で政権運営を進めようという思惑があったとも言える。自公政権へのメディアの風当たりは強いから、こうなるのも無理からぬところがあろう。

 その中で、北朝鮮への独自政策の解除には含みを持たせた答弁だと言える。日韓関係が悪く、朝鮮半島情勢が水面下で大きく動いているだけに、制裁解除などという予想外の展開になることも、全くありえない話ではないといえよう。(石)

2015.03.21

「高大接続」は奏功するか?

 この「高大接続システム改革会議」による教育改革は、日本経済新聞(2月16日)に掲載された下村文科相の投稿によれば、共通1次試験の導入以来の入試改革どころではなく、明治時代に学制が始まって以来の教育改革を目指すものだという。

 その記事によれば、大学入試制度を高校基礎学力テストおよび大学入学希望者学力評価テストの導入により、記憶重視の大学入試を抜本的に変えようというもののようだ。それによって、大学入試の中身が変わることで、従来の知識偏重の日本の学校教育も必然的に変わり、その結果、実際に大人になった時に通用する人間を育むことができるという説明だ。

 また下村文科相は、これからの学校教育で①主体的に学ぶ力の育成②企画力・創造的な能力の育成③思いやり、優しい心を育む――ということの必要性を強調している。

 だが、改革必ずしも良い結果をもたらさない。共通1次試験(センター入試)の導入がよかったかどうかも議論が分かれるところだ。

 この改革は卒業試験をパスすることで基本的に行きたい大学に行けるドイツのギムナジウムの卒業試験(アビトゥア)の制度に似てはいないか。

 優しさ、思いやりの豊かな人間という、普遍的に望まれる人間像より、知識、実務能力そして処世術がより評価されやすい社会の中で、そうした人間形成が重視されるには、愛情など目に見えない部分をより重視する価値観に人間自体が変わっていかなければ難しい、と言える。(亀)