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2015.05.23

国民の目線で改憲論議せよ

 現行憲法の改正条項については、自民党の谷垣禎一幹事長が指摘しているように、多くの国民が「何か起こったときにこれではうまく機能しないな」と感じている点から着手すべきだろう。

 例えば、緊急事態条項がその一つ。この条項がないために4年前の東日本大震災でも、昨年2月の山梨県での豪雪被害でも想定外の犠牲者が出た。自然災害大国とも言われるわが国にとって、それへの対策は最優先事項であるはず。そこには与党も野党もない。他国のすべての憲法にもこの規定はあるのだ。

 谷垣氏が言うように、大災害時における国会議員の選挙の延期、任期の延長は当然である。

 だが、それだけでなく、国家非常事態宣言の発令者および救援のための総指揮者の決定や、それに伴う救援支援のための緊急財政措置などの明確化も欠落しており、憲法に盛り込まねばならないものだ。

 ところが、野党第一党の民主党の考えはどうか。岡田克也代表の立ち位置は国民目線からかけ離れてはいまいか。「憲法改正は視野に置いていいが、安倍さんが首相である間に憲法改正の議論はしたくない」というのだ。

 国民の生命と安全を守るために早急に必要なはずの議論は、嫌いな安倍さん相手じゃイヤだ、と駄々をこねている。岡田代表の寄って立つ基盤が旧社会党出身議員はじめ党内左派にあり、彼らの意を踏まえての発言だろうが、これでは政権奪回の流れは生まれて来ないだろう。

2015.05.23

安倍政権が進めるからダメ!?

 民主党は4月28日、新たな安全保障法制に関する党見解を正式決定した。それを受けて岡田克也代表が記者会見で「私は北澤(俊美党安全保障総合調査)会長に『分かりやすく』ということをお願いした。表現で逃げることなく、中身がしっかりとしているようにと。今回はそういう観点で大変ご苦労いただきながら、非常に長い時間を費やして、多くの人の意見を聞いて、合意に至ったということは画期的なことだと思う」と語った。

 だが、ひと皮むくと曖昧さが残り、党内の保革議員の対立が浮き彫りになってくる。同安保総合調査会の役員会では、保守系の議員から集団的自衛権について「行使を全面否定していないことが分かる書き方にすべきだ」との意見が出され、リベラル派議員からは「行使を容認しないと言い切ることで、国会論戦を戦える」と譲らず、その結果「専守防衛に徹する観点から、安倍政権が進める集団的自衛権の行使は容認しない」との玉虫色の決着になったのだ。

 しかし、やはりそこが急所であり盲点だ。記者側から「他の政権ならいいのかとか、多少分かりにくい部分があるかと思う」との声が出たのも当然だろう。

 岡田代表は「集団的自衛権行使を認めるか認めないか、それははっきりしないからおかしい、みたいな話はちょっと昔にとらわれ過ぎた、パターン化した見方だと私には思える」とキッパリ語ったが、どうも言語明瞭、意味不明瞭だ。中身での対決というより、安倍政権が進めるからダメといった対決至上主義の戦術には益がないだろう。

2015.05.23

婚姻制度守る姿勢必要

 東京都渋谷区で施行された、同性カップルにパートナー証明書を発行する条例。法的に効力がないことから、区側は婚姻制度とは別の制度と説明する。上川法相も「民法の婚姻法制と矛盾抵触しない」との認識だ。

 しかし、社会の根幹に関わる男女の結婚を形骸化させかねない条例だけに、法相としては、同条例が今後引き起こす社会混乱に警戒感を示すべきではないか。

 まず、疑問なのは性的少数者の人権擁護のために、なぜパートナー証明書が必要なのかという点だ。この証明書は結婚そのものではないが、それに「相当する関係」を証明するというのだから、婚姻制度に準ずるものということができる。人権擁護の視点が新たなパートナー制度に飛躍しているのは、制度変更そのものが最終目的だからだろう。つまり、海外で拡大する「同性婚」の容認だ。  わが国の憲法は、その第24条で婚姻は「両性の合意」で成立すると規定する。民法においても、戸籍上の男女間でしか結婚は成立しないことになっている。渋谷区の条例は、こうした規定と矛盾するだけでなく、結婚を奨励するという現政権の課題とも相容れない。

 渋谷区の条例の背景にある理念は、多様性を認める社会の実現だ。一見すると、美しい理念に聞こえるが、婚姻制度の多様化はつまるところ伝統的な結婚の形骸化であり、結婚しない若者を増やす風潮を強めることになるのは間違いない。そうなれば、少子化に拍車がかかるのは不可避だ。

 婚姻制度を守るべき立場であるとともに、少子化対策を最重要課題とする政権の閣僚としても、上川法相には、同性婚問題に強い危機意識をもってもらいたい。

2015.05.23

外交で首相の黒子に徹す

 安倍首相が米国を公式訪問し、上下両院合同会議(4月29日)で日本の首相として、初の演説を成功裏に行った。

 読売新聞の報道によると、スタンディングオベイションが十数回、参加した議員の感想も、称賛するものが圧倒的だった。

 ケネディ駐日大使は、日米が相戦って丁度、戦後70年の節目に当たるこの時期に、真の和解を指し示す行動を分かり易く、さっそうと演じた事に強い感銘を表わしていた。安倍首相は、「村山談話」など過去の政府見解を継承して行くことを示しつつ、歴史問題については触れなかった。

 これについて、米下院のロイス外交委員長が「性奴隷に苦しんだ女性たちに謝罪するべきだった」と非難する声明を出したが、実際には同委員長は、家族の弔事で会議に出席していなかったことが判明。逆に批判される事態も生じている、という。

 演説は英語で45分間、決して滑らかではなかったが、誤解のないように一語一語を明解に述べていた。声が明瞭なので、明るい好印象を与えていたことは確かだ。

 これまで、岸田外相の記者会見でもしばしば、演説内容について探りを入れる質問が行われてきた。その度に、同外相は、演説内容は首相の専権事項だと述べ、巧みに質問をかわしていた。

 この日の会見でも、慰安婦問題など「歴史認識」についてはソツなく処理する一方、ロシアの出方に対しては明確かつ冷静に異議を唱えた。

 本人は、安倍首相と訪米に同行。その後、米が急速に接近したキューバを訪問、ビジネス分野で乗り遅れる事態にならないよう、臨気応変に対応している。

 自分の分をわきまえ、余計なことは語らない。最も脚光だ浴びる日米外交でも首相の黒子に徹している。

 その手堅さから、次期首相候補の呼び声を高くしている。(光)

2015.05.23

すっかり定着した全国学力調査

 下村文科相は、記者会見の中で、学力調査の意義を強く訴えていた。民主党に政権が移った時、悉皆調査ではなく、サンプル調査になった。従って、都道府県の傾向は分るけれども、どの学校の成積がふるわなかったかが、一目瞭然で分かる今の制度に比べ、個々具体的な対策を練るには不十分なものになってしまった経緯がある。

 昨年は、静岡県の川勝平太知事が、同県の成績が芳しくなかったことから、当初、点数が低かつた学校名を公表する旨を表明、物議をかもした。結局、成積の良かった学校名を公表したが、そうすることで、成積のふるわなかった学校に奮気させようとした。

 ところが、今年は大阪府教育委員会が、学力調査結果を高校入試の内申書の点数の調整に活用したい旨を表明。学校間で存在する学力の較差を同学力調査で計れるので、それを基準にして内申点をより公正なものにならす狙いがある。これに対し、下村文科相は、「学力テストの趣旨を逸脱する恐れあり」と懸念を表明。学力テストをめぐる新たな焦点となっている。

 下村文科相は、成積公表の是非も本来、都道府県の教育委員会が持っていると述べるなど、所管の権限を明示。

 学カテストの活用の仕方に関して文科省と地方とで食い違いが表面化しているともいえるが、毎年トップの座を確保している福井県の学習指導を会得しに、成績が低迷している県から先生が出向してノウハウを習得する動きも出ている。

 いずれにせよ、同調査が定着してきていることを如実に示す事柄ではある。(亀)