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2016.01.21

「若者票」対策が鈍い自民党

夏の参議院選挙を機に、投票できる年齢が下がって18歳から可能になることで、各党の集票に対する取り組みが異なっている。特に、これまで職域系列や地元後援会に頼ってきた自民党にとっては、学生など若い人たちへのアプローチの仕方が分からず、「まずは年齢の比較的近い人たちに接触してもらう」と谷垣禎一幹事長が〝告白〟しているように、手探り選挙になる可能性は否定できない。

一方で、野党側は「SEALDs(シールズ)」という組織を頼りにテコ入れをしている。独特のラップ調の音楽に合わせて安保法制反対などのデモを展開、自発的と称する学生たちを動員して全国各地で数百人規模の集会を行ったりする若者の団体だ。

その彼らが、共産党の主張とそっくりの野党統一候補を立てて自民党を倒そう、安倍政権を倒そうと息巻いているのだ。

明らかに目に見える敵が眼前に出現し、勢いを持って拡大しているにもかかわらず自民党幹部らの反応が鈍く、青年局に対策を丸投げしてしまっているのが実情なのである。「青年部や青年局はあるが学生部がない」(谷垣氏)と言うように、学生部は現在14都道府県にあるだけ。

もちろん、これを全国に拡大していくことは大切だが、党執行部が危機感を持って考えるべきは、そこで何をするのかだ。党是である憲法改正や安保法制の意義、共産党の主張の矛盾などを分かりやすく堂々と訴えられる若い力を早急に養成することが求められていよう。

2016.01.21

岡田氏は共産の戦術を見抜け

日本共産党が「天皇制」に対する柔軟姿勢を見せるという古くて新しい戦術に出てきた。通常国会の開会式に出席するというのだ。「三十数年来の開会式での天皇の発言の内容に、憲法上の問題がなくなっていることを踏まえ」ると志位和夫委員長はその理由を言うが、唐突な印象は否めない。

何しろ結党以来、「廃止」を掲げてきたのが共産党だ。生みの親の旧ソ連共産党の指示を受けてのものだ。それが、1998年、当時の不破哲三委員長が「今の憲法になじまない天皇の行為があるが、暫定政権下では問題にならない」と語ったことで、マスコミが「天皇制容認」と空騒ぎをした。共産党を含む暫定政権の樹立の可能性が出てきたための一時的な棚上げに過ぎなかったにもかかわらずである。今回も〝変化〟を装うが、革命政党の本質が変わったわけでは全くない。

そこを見抜かなければならないはずの岡田克也民主党代表は、昨年12月24日の記者会見で「今まで出ていなかったのか」「新鮮というか、ああ、そうだったのかと改めて感じている」と〝寝ぼけた〟反応だ。

岡田氏は、火炎ビンや銃を使って警察署などを襲った暴力闘争時代を正しく総括していない共産党の過去を知らない世代ではあるが、同党の歴史と革命の道筋を記した党綱領をしっかり学び、その上で同党との距離感を定めることが求められる。少なくとも選挙での共闘は、民主党支持票離れを加速させるだけだ。

2016.01.21

家族制度の意義啓蒙せよ

「夫婦同姓」と「女性の再婚禁止期間」(離婚後6カ月)の合憲性についての最高裁裁判所の判断は、同姓の意義を積極的に認め、また再婚禁止期間を設けることの意義も認める妥当なものだった。

判決が出る前、この問題をめぐる新聞・テレビの報道は「違憲」に誘導する一方的な報道が目立ち、リベラル・左派の活動家の間では、夫婦別姓を認める判決になるのではないか、との期待感が高まっていた。合憲判断よりも再婚禁止期間の「一部違憲」(100日を超える部分)を大きく報道した報道機関が多かったのは彼らの誘導性の表れである。

判決後初めて行われた会見でも、記者は夫婦同姓に対し「違憲」とした判事5人の個別意見と、再婚禁止期間の違憲状態解消についての質問ばかり。記者たちの意識の偏りが見て取れる。

戦前の家父長制度の名残りもあって、わが国の政府は家庭、とくに夫婦の問題に極力関わらないという不文律がある。国民の意識が成熟しているのなら、それでもいい。しかし、戦後70年の間に、社会の根幹に関わる家庭の問題でも自由、個人の尊重、多様性といった、人と人の絆を弱めることにつながる価値だけがメディアで強調されるようになると、個人の私生活に距離を置く司法文化も善し悪しである。

そんな中、今回の最高裁判決は「社会の自然かつ基礎的な集団単位」である家族が姓を同じにすることは、家族の一員であることを対外的に示すとともに、子供もその利益を受けると、夫婦同姓の意義を積極的に示した。また、女性に離婚禁止期間を設けることは父子関係を安定させるものだとして、その意義を認めた。

ところが、前述したように、こうした民法の規定を合憲とした最高裁判決の本質を誠実に伝えるメディアは少ないのが現状である。だからこそ、法相は記者会見の場を利用し、最高裁が合憲とした民法の意義について触れて、国民に啓蒙する役割を果たすべきであろう。

2016.01.21

慰安婦問題で偉業

通常、国交回復50周年という年は、その後の外交関係の進展を回顧してお祝いムードに浸る時期である。ところが、こと日韓関係に限っては、そうした期待とは裏腹に首脳会談も開けないような険悪な雰囲気の中で両国関係が推移してきた。

それが年も押し詰まってきた段階で、慰安婦問題を政治的に決着することで関係修復の兆しが急速に表れてきた。一つのきっかけは、朝日新聞の慰安婦報道の誤りに対する大々的な謝罪記事の掲載であり、韓国経済の悪化、日本の安倍政権の安定ぶり等が、それを促進する結果となった。

岸田外相が慎重な発言に終始して28日に行われた外相会談も、安倍総理が心からのおわびと反省の気持ちを表明すること、韓国政府が設置する財団に日本政府が約10億円の資金を拠出して元慰安婦への支援事業を行うこと、ソウルの日本大使館前の少女像の適切な解決で合意、この問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されたことを確認することが出来た。

あれほど両国間でこじれてきた問題が、かくも見事に50年の最終的局面で解決されたことはまさに驚き以外の何物でもないが、一国総理の政治的打算を超えた心からの気持ちと経済状況などの外的環境が整えば、懸案も一気に片付くことを示す外交事案となった。

これを契機に、日中、日ロ間での領土問題の解決に向けて前進することが望まれる。冷戦時代への逆戻りを世界中の国民の誰も望まない。国民とその代表の総理が責任を果たせば、必ず解決を見る時代となっていることを確信させられる次第である。(亀)

2016.01.21

予算削減を巡る闘いで手腕問われる

通財務省から持ち出されてきた教員数の削減問題に、目下のところプロレスラー出身の馳浩文科相がどうこわもてぶりを発揮するか関心が集まっている。まず2015年10月下旬、財政制度等審議会( 財務相の諮問機関) が、公立小中学校の約69万4 0 0 0人の教職員数のうち、2024年度までの9年間で約3万7000人を削減するとの提案、財務省はこれを是認して先制のパンチ。

その第1弾として2016年度予算編成で3500人規模の削減を求めるとともに、国立大学への運営費交付金を毎年1%ずつ減らす一方、授業料や寄付金などの自己収入を1・6%ずつ増やすという方針を繰り出してきた。これによると、現在969万人の小中学校の児童・生徒数が2024年度までに94万人減り、38万7000ある学級数も2万1000減ると想定。したがって、現行の教職員の配置割合を維持したとしても、2024年度までに3万7000人の教職員の削減が見込めることになる。

2015年度予算の教職員人件費の国庫負担分は、財務省の方針通りに2016年度、人員削減すると70億~80億円規模の削減が可能という。一方、国立大学への交付金と自己収入との割合を現行の7対3から半々にするという財務省の方針に沿えば、16年後にそれが実現する。そのために大学側に構造改革が強く求められるが、これだと、単純計算すれば、国公立大の授業料が、そのうち私立よりも高くなる計算になる。

文科相は、署名集めを主導しているが、これをどう生かすか。文化庁の京都移転問題と並んで同相の手腕が問われることになる。(石)