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2018.02.20

首相、党内野党へ宣戦布告

 自民党内が3月の党大会に党改憲案を提出するか、もっとじっくり議論をして9月の総裁選にまで持ち込むべきか、で大きく二つに割れている。安倍首相はじめ執行部は3月までに提出する方向で檄を飛ばし、国会開幕冒頭から「憲法改正をいよいよ実現する時を迎えている」とこれまでにない意気込みを示している。二階幹事長も「総理がそうした類の発言は常になさっている」とトボケ顔で追認して、事実上の支持表明をしている。

 これに待ったを掛けているのが石破茂元幹事長らだ。首相が1月30日の衆院予算委員会で、9条の2項を維持して自衛隊の根拠規定を明記する首相案と異なる主張の9条2項削除論に言及した際、会議に出席していた石破氏を名指しして、2項削除論への反対論を展開した。石破氏本人は「かなりびっくりした」と言うが、首相としては、党内野党への宣戦布告をその場を借りて突如行ったものと言えなくもない。

 石破氏としては、9月の党総裁選での論戦の柱に据えて「最良の案文は何か」をテーマに戦いたいというのが狙いだ。しかし、首相には「時間がない」との焦りもある。

 来年は、天皇陛下の退位、統一地方選、参院選などの日程が目白押しだ。「今年中に国会で発議ができなければ、2020年になってしまう」という計算だ。政局に絡めず、国家、国民にとっての最良の案を期待したいのだが…。

2018.02.20

線香配布問題でブーメラン

 民進党との統一会派構想も流産し、党内に火種を抱え続けてお先真っ暗な希望の党。新たな国会開幕で安倍政権を追及する願ってもないチャンスがやってきた。20年前、小野寺五典氏が衆院議員に当選したにもかかわらず地元の支持者らにお礼の線香を配って涙の辞職会見に追い込まれたのと似た事件が発覚したのだ。

 茂木敏充経済再生担当相の秘書が選挙区(衆院栃木5区)の有権者に線香を配布したことが問題になったのである。総務省は茂木氏を側面支援し、秘書が氏名の表示のない政党支部からの寄付を持参することは直ちに法が規制する「氏名が類推される方法」によるものとは言えないと考える、という公式見解を出した。

 だが、それで国民は納得できない。玉木雄一郎代表も、「本人の名前さえ書かなければ何でもやり放題という。私はこの総務省からきょう出た解釈自体が非常に問題だと言わざるを得ないと思っている。総務大臣に厳しく問いただしていく」「出処進退は大臣自らご判断されるべき」などと鼻息は強まるばかりだった。

 ところが、その舌の根も乾かぬうちに玉木氏本人の政党支部が3年間で約60万円もの慶弔費を支出したことが判明。立憲民主党副代表の近藤昭一衆院議員、元民進党の菊田真紀子衆院議員らにも線香・供花代を支出した問題が続々と明らかになった。

 思わぬブーメラン効果により、この問題追及の勢いは止まり、野党連携は空中分解してしまった。

2018.02.20

他人事になった難民の苦難

 上川陽子法相が「難民認定制度の運用についてさらなる見直しを行う」と語ったのは、難民認定申請者に一律に認めてきた在留や就労を大幅に制限することで、その理由は近年、就労目当ての申請者が急増しているからだ。

 2010年3月以降、政府は短期滞在や留学、技能実習などの在留資格者が難民認定を申請すれば、申請から6カ月後、一律に就労を認めてきた。それ以降、申請者が急増している。同年には、1202人だったが、16年には1万人を突破。昨年は9月までだけでも1万4000人に達した。

 就労を認めてきたことから、「日本で難民申請すれば働ける」という認識がアジア諸国を中心に広まっているとされるが、就労を厳しく制限することで、それを正し、就労目的の申請者を減らす効果が期待できる。申請者が減れば、短い審査期間で本当の難民を見つけ出すことも可能となろう。

 記者会見で「日本では難民認定者数は非常に少ない」と記者が言っているが、もともと日本に来たいという難民はあまりいない。難民認定者が少ないから、「日本は難民に冷たい」というのは表面的な見方である。

 一方、世界で難民が増えているにもかかわらず、難民に対する国民の関心が薄くなっているのは事実。わが国が難民認定制度を導入したのは1982年。背景には、共産主義の圧政から「ボートピーピル」として海上に逃れたインドシナ難民問題があった。戦火を体験した世代がまだ多く生きている時代には、平和な日本にも難民の苦難に心を痛める人が少なくなかったのだ。

 日本がもっと積極的に難民を受け入れるという難民政策を打ち出すなら、難民に対する国民の理解が不可欠だ。それはとりもなおさず、国際社会に生きる覚悟を問うことでもある。