2012.12.17
民主の「脱世襲」って違憲か
岡田克也副総理(行政刷新担当大臣)が自民党との違いを鮮明にするために、民主党は「脱世襲」であることを強調する。羽田孜元首相の息子の羽田雄一郎参議院議員(国土交通相)が、父親の選挙区を地盤として衆院にくら替えしたい意向を示したが、同党はそれを許さず、出馬断念に追い込んだ。
しかし、果たして世襲であること自体、問題だろうか。民主党の内規では「3親等以内の親族が同じ選挙区から続いて出ること」が世襲であるとして禁止になっている。これは岡田氏が幹事長時代に決めたもので、岡田氏らしい硬直的な発想から生まれたルールだと言える。
これについて自民党の高村正彦副総裁は「お父さんが羽田孜だというだけで公認しないのは、まさに血による差別だ」とし、「国民のためになるかならないかを決めるのは国民自身である」と語ったが、その通りだ。自民党は衆院選に、福田元首相の長男、武部勤・元幹事長の長男、中川秀直・元官房長官の次男らを公認候補として擁立するなど世襲を事実上、容認している。
日本国憲法は第14条で、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と記しているが、民主党による「血による差別」はこの憲法条項に違反するものではないか。
民主党が候補者の発掘でもっと気を使うべきは、自己主張型の口達者なシロウトではなく、世襲であろうとなかろうと、教養、胆力、指導力のある良質な人材をいかに獲得するかである。〝赤い貴族〟の労働組合に頼りっきりの選挙戦術では、ますます国民の心から遠のくことに気づくべきだ。
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