2012.12.17
地方を痛めた小泉政治反省を
自民党の安倍晋三総裁は、念願の衆議院解散に追い込んだ当日( 16日)だけあって、記者会見では意気揚々と多弁に抱負などをアピールしていた。経済、外交、安全保障、教育などの政策方針に触れながら、安倍カラーを懸命に打ち出していた。
ただ、記者側から問われた「古い自民党」について3年間でどう総括したかについては急所ハズレで、危うい自民党の一側面を露呈したと言える。
安倍総裁は、今回の総裁選挙について「最後の決勝に残ったのは石破幹事長と私だ」としつつ、「両方とも、派閥単位、派閥出身者としてその出身派閥に全面的に応援された候補ではなかった」点を強調し、これが「古い自民党」政治ではないことを強調した。
だが、焦点を当てるべき問題は、二人が決勝に残ったものの、その前段での第一回投票で全国の党員票が安倍87票、石破165票となぜダブルスコアの大差がついたのかという点である。
決選では国会議員だけの投票だったため、108対89となり、2位だった安倍氏が逆転して勝利したが、これには派閥力学が働いたことは明瞭である。
石破氏の持論は、「小泉政権の下、あの(郵政)総選挙で圧倒的に勝ったときから自民党の劣化は始まった」というもの。議席は大幅に増やしたが、地方では得票数、得票率はともにかなり落とした地域が多かったことを直視し、その分析と対応を怠ってきたのではないか。
自民党はもともと地方の基盤が強かったのだが、石破氏は地方を何度も回って「悲哀」を聞き、小泉政治の荒っぽさを反省してきたのである。
安倍総裁がその反省抜きで新たな政策を次々と訴えても、新しい自民党の未来は確固たるものにはなるまい。
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